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20章 虹の国の後継者
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お母様の指にはめられていた指輪が一瞬、眩いばかりの光を放ち、すぐにその光は消えて行った。
私たちが驚きのあまり、誰も言葉を発せなくなっている中、神官長様がその指輪をお母様の手から外し、私に握らせる。
「これが、今エレノア様の名を語っている女が偽物だという証拠です」
「この指輪が?」
「はい。ボナールでは戴冠式で国王になる者にはこの指輪を渡されます。最初はただのプラチナの指輪ですが、ボナールの後継者たる国王が持ち続けていると、指輪には七色の光沢が出てくるのです。国王が伴侶になる者にその指輪を渡すと、うっすらとしていた七色ははっきりとした七色の光沢のある指輪に変わります。
この指輪は不思議なもので、どんなに削られても七色を無くすことはありません。偽物の指輪は削られればメッキが剥がれ、中からは普通のプラチナが見えることでしょう」
ライリー殿下はそれを聞いて呟いた。
「弟の国王もその事を知っていたなら、指輪に細工をしているかもしれないな……」
だが、神官長様は即座に否定する。
「いえ、この事は国王が伴侶を見つけ、結婚の義の中でわたくしども神官長の任を請け負う者から聞かされます。わたくしは、兄のコルビー陛下にしかこの事をお知らせしていません」
私は神官長様を見つめた。
「では、この指輪の偽物をしていれば、その者も指輪と同じ偽物。そして、この指輪の存在も知らない国王は、やはり偽物と断定できるということですね?」
神官長様は私を見つめ返す。
「さようでございます。それゆえ、エレノア様のご遺体がここにあるということが、血の誓約を課してまで守り通さねばならない秘密だったのでございます。もし、秘密が知られてしまえば、このご遺体は暴かれ、指輪は奪われていたことでしょう」
「あの、その血の誓約のことですが、マリーが秘密を私たちに打ち明けてくれたことは、正当な理由でしたよね? マリーは、これまで通り生活していけますよね?」
神官長様は私に微笑んでくれた。
「ええ。もちろんです。この事実を、偽りの王妃を名乗ったの者に突きつけて、正統な後継者のシャーロット様に、この国の全てを明け渡すように伝えてください」
ライリー殿下も神官長へ尋ねる。
「では、我々も誓約は……」
「はい。必要ありません」
ほっと、した。
ライリー殿下を巻き込まずに済んでほっとした。
「では、急ぎ国境近く、元国王のところへ急ごう」
ライリー殿下を先頭に、みんなは部屋を出て行った。
私はその場に残り、神官長様がお祈りを捧げ、お母様の棺にお妃の王冠を乗せるの見届けた。
そして、私も部屋を出ようとした時に、神官長様に呼び止められた。
「シャーロット陛下。後継者の御印をご存知ですか?」
私は首を振る。
「いいえ。なんのことでしょうか」
「この国は昔、虹の国と呼ばれておりました。虹の精霊に愛された者が治める国と。国を治める者が生を受けた時に、天に虹がかかる。実際に大地に恵まれ、作物の実りがとても良い時代を治めていた国王が生まれた時には、空に虹がかかっていたと言う事実は歴史に残っております。
コルビー陛下の前何代かは虹の後継者に恵まれず、国は飢饉も経験しました。コルビー陛下がお生まれになった時、大きな虹が空にかかっていたと聞きます。我々は、虹の後継者が現れたと喜びました。
それが、暗殺されてしまう悲劇に見舞われたそのすぐ後で、シャーロット陛下がお生まれになり、空には小さいながらも7つの虹が現れました。
時代の後継者はあなた様で間違いないのです。その髪の色が何よりの証拠。初代の虹の力をもつ国王は、白金の髪とすみれ色の瞳を持っていたといいます。その者は、歴代の中で、一番力を持っていました。国中が豊穣の地であったと。その色に近ければ近いほど力が強いと言われています。そして、シャーロット陛下はその色そのものをお持ちになりました。髪色や瞳の色が変わったのは、力が強くなったせいでしょう。
シャーロット陛下。どうか、この国を良き方へ導いてください」
神官長様は私に頭を下げる。
「いえ、やめてください。私は、そんなに立派な者ではありません……」
「そんなことはありません。あなた様が王としてこの地を治めてくださる限り、この国はまた、平和で豊かな国となるでしょう」
「わ、私、みんなと行かなきゃ……」
神官長の言葉に何も返せずに、私はその部屋を後にした。
私が国王でいたら、平和で豊かな国になるの?
こんな私が国を治めていいの?
ライリー殿下は、共和国にするためにがんばっている。
私が国王を続けることなんか……。
私たちが驚きのあまり、誰も言葉を発せなくなっている中、神官長様がその指輪をお母様の手から外し、私に握らせる。
「これが、今エレノア様の名を語っている女が偽物だという証拠です」
「この指輪が?」
「はい。ボナールでは戴冠式で国王になる者にはこの指輪を渡されます。最初はただのプラチナの指輪ですが、ボナールの後継者たる国王が持ち続けていると、指輪には七色の光沢が出てくるのです。国王が伴侶になる者にその指輪を渡すと、うっすらとしていた七色ははっきりとした七色の光沢のある指輪に変わります。
この指輪は不思議なもので、どんなに削られても七色を無くすことはありません。偽物の指輪は削られればメッキが剥がれ、中からは普通のプラチナが見えることでしょう」
ライリー殿下はそれを聞いて呟いた。
「弟の国王もその事を知っていたなら、指輪に細工をしているかもしれないな……」
だが、神官長様は即座に否定する。
「いえ、この事は国王が伴侶を見つけ、結婚の義の中でわたくしども神官長の任を請け負う者から聞かされます。わたくしは、兄のコルビー陛下にしかこの事をお知らせしていません」
私は神官長様を見つめた。
「では、この指輪の偽物をしていれば、その者も指輪と同じ偽物。そして、この指輪の存在も知らない国王は、やはり偽物と断定できるということですね?」
神官長様は私を見つめ返す。
「さようでございます。それゆえ、エレノア様のご遺体がここにあるということが、血の誓約を課してまで守り通さねばならない秘密だったのでございます。もし、秘密が知られてしまえば、このご遺体は暴かれ、指輪は奪われていたことでしょう」
「あの、その血の誓約のことですが、マリーが秘密を私たちに打ち明けてくれたことは、正当な理由でしたよね? マリーは、これまで通り生活していけますよね?」
神官長様は私に微笑んでくれた。
「ええ。もちろんです。この事実を、偽りの王妃を名乗ったの者に突きつけて、正統な後継者のシャーロット様に、この国の全てを明け渡すように伝えてください」
ライリー殿下も神官長へ尋ねる。
「では、我々も誓約は……」
「はい。必要ありません」
ほっと、した。
ライリー殿下を巻き込まずに済んでほっとした。
「では、急ぎ国境近く、元国王のところへ急ごう」
ライリー殿下を先頭に、みんなは部屋を出て行った。
私はその場に残り、神官長様がお祈りを捧げ、お母様の棺にお妃の王冠を乗せるの見届けた。
そして、私も部屋を出ようとした時に、神官長様に呼び止められた。
「シャーロット陛下。後継者の御印をご存知ですか?」
私は首を振る。
「いいえ。なんのことでしょうか」
「この国は昔、虹の国と呼ばれておりました。虹の精霊に愛された者が治める国と。国を治める者が生を受けた時に、天に虹がかかる。実際に大地に恵まれ、作物の実りがとても良い時代を治めていた国王が生まれた時には、空に虹がかかっていたと言う事実は歴史に残っております。
コルビー陛下の前何代かは虹の後継者に恵まれず、国は飢饉も経験しました。コルビー陛下がお生まれになった時、大きな虹が空にかかっていたと聞きます。我々は、虹の後継者が現れたと喜びました。
それが、暗殺されてしまう悲劇に見舞われたそのすぐ後で、シャーロット陛下がお生まれになり、空には小さいながらも7つの虹が現れました。
時代の後継者はあなた様で間違いないのです。その髪の色が何よりの証拠。初代の虹の力をもつ国王は、白金の髪とすみれ色の瞳を持っていたといいます。その者は、歴代の中で、一番力を持っていました。国中が豊穣の地であったと。その色に近ければ近いほど力が強いと言われています。そして、シャーロット陛下はその色そのものをお持ちになりました。髪色や瞳の色が変わったのは、力が強くなったせいでしょう。
シャーロット陛下。どうか、この国を良き方へ導いてください」
神官長様は私に頭を下げる。
「いえ、やめてください。私は、そんなに立派な者ではありません……」
「そんなことはありません。あなた様が王としてこの地を治めてくださる限り、この国はまた、平和で豊かな国となるでしょう」
「わ、私、みんなと行かなきゃ……」
神官長の言葉に何も返せずに、私はその部屋を後にした。
私が国王でいたら、平和で豊かな国になるの?
こんな私が国を治めていいの?
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私が国王を続けることなんか……。
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