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#010 『こびと』
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ひどい妖怪ですよ、と。勝俣さんは口を尖らせながら語り始めた。
ついこの間のこと。
彼が夜中にちょっとコンビニに行き、帰って来ると、庭先の一角が ぼぅっとおぼろげに光っているのを見つけた。
何だ、こんな秋口にホタルでもいるのかと近寄ってみると、お祖父ちゃんが大事にしているウチワサボテンの鉢のまわりで、何か小さなものがたくさん動いている。
変なホタルだなぁと思って目を凝らし、いや、別のものだったと気付いた瞬間、身体が凝固した。
こびとなのだ。
西洋が舞台の絵本なんかに登場しそうな、緑色のとんがり帽子を被って同じ色の服を着た、とても小さな人間たち。
一、二、三、四、五匹。いやこの場合五人、というべきか。
とにかく、それだけ居た。
サボテンの鉢の周囲を、円を描くようにおかしな踊りを踊っている。よくよく耳を澄ませてみれば、小さくチントンシャンと変な音楽まで聞こえる。
ちょっと 混乱してしまったのだろう、という。
とっさに、「こらー!!」と怒ってしまった。
踊りが止まった。
こびと達は、こちらをちょいと顧みて、直ぐさまフッと消えた。
その刹那、〝テケテンテン チントンシャン〟と例の音楽が一際大きくなり、それも消えた。
※ ※ ※ ※
「翌日、気になって見てみたら サボテン、完全に萎れて死んでいました」
なるほど。
「謎の踊りでサボテンを枯らすなんて、確かに悪いこびとですね」
「・・・・・・いえ。実は、被害はそれだけじゃないんです、松岡さん」
「被害?」
「実は、お祖父ちゃんが・・・」
何でも、丹精込めて育てていたサボテンが枯れてしまって以来、ひどく気落ちしてしまったお祖父ちゃんに認知症の症状が出始めたのだという。
さっき食べたのに「昼飯はまだか」、眼鏡をかけながら「眼鏡は何処だ」などと言い始め、更に――
「・・・最近では、『枕元で緑の人が踊っておる。上手だ上手だ』と言うんです」
とても心配しているのだけれど、どうしたらいいのか皆目わからない、と勝俣さんは忌々しそうに苦笑した。
ついこの間のこと。
彼が夜中にちょっとコンビニに行き、帰って来ると、庭先の一角が ぼぅっとおぼろげに光っているのを見つけた。
何だ、こんな秋口にホタルでもいるのかと近寄ってみると、お祖父ちゃんが大事にしているウチワサボテンの鉢のまわりで、何か小さなものがたくさん動いている。
変なホタルだなぁと思って目を凝らし、いや、別のものだったと気付いた瞬間、身体が凝固した。
こびとなのだ。
西洋が舞台の絵本なんかに登場しそうな、緑色のとんがり帽子を被って同じ色の服を着た、とても小さな人間たち。
一、二、三、四、五匹。いやこの場合五人、というべきか。
とにかく、それだけ居た。
サボテンの鉢の周囲を、円を描くようにおかしな踊りを踊っている。よくよく耳を澄ませてみれば、小さくチントンシャンと変な音楽まで聞こえる。
ちょっと 混乱してしまったのだろう、という。
とっさに、「こらー!!」と怒ってしまった。
踊りが止まった。
こびと達は、こちらをちょいと顧みて、直ぐさまフッと消えた。
その刹那、〝テケテンテン チントンシャン〟と例の音楽が一際大きくなり、それも消えた。
※ ※ ※ ※
「翌日、気になって見てみたら サボテン、完全に萎れて死んでいました」
なるほど。
「謎の踊りでサボテンを枯らすなんて、確かに悪いこびとですね」
「・・・・・・いえ。実は、被害はそれだけじゃないんです、松岡さん」
「被害?」
「実は、お祖父ちゃんが・・・」
何でも、丹精込めて育てていたサボテンが枯れてしまって以来、ひどく気落ちしてしまったお祖父ちゃんに認知症の症状が出始めたのだという。
さっき食べたのに「昼飯はまだか」、眼鏡をかけながら「眼鏡は何処だ」などと言い始め、更に――
「・・・最近では、『枕元で緑の人が踊っておる。上手だ上手だ』と言うんです」
とても心配しているのだけれど、どうしたらいいのか皆目わからない、と勝俣さんは忌々しそうに苦笑した。
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