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リヒト
ツガイと過ごす夜
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さて寝るか、と思ったら。
この部屋にはベッドは一つしかないようだ。
でも、かなり大きいので、二人くらい楽に寝られそうではある。
ジャンからはツガイ扱いされてるし、襲われる心配が全く無いわけじゃないけど。
まさか、さすがに子供だと思ってる相手に手を出したりしないよな……?
……おお、さすがお城の客室備え付けのベッドというべきか。
こっちはふとんがふかふかだったので、助かった。
「よく眠れそう……」
ベッドのクッション性を確かめていたら。
『クロエは、やわらかい寝床が好きなのか?』
ジャンに訊かれたので、そうだと答えた。
『では、家の寝床もそのようにしよう。他にも希望があれば遠慮なく言え』
大事にしたい、というのは本当だったようだ。
……はっ、いけない。
思わずキュンとしてる場合ではない。
他人から優しくされた経験が薄いと、ちょっと優しくされただけでときめいてしまう。
でも、こいつは無断で僕を噛んで、ツガイしたケダモノなんだぞ。
気を許しちゃ駄目だ。
†‡†‡†
「じゃあ、おやすみなさい」
ジャンに頭を下げて。
先にふとんに潜り込んだ。
これ、羽毛かなあ。軽くて暖かい。
使われてる布も肌触りがいいし。家のより、ずっと上等だ。
これなら気持ち良く眠れそう、と思って目を閉じた。
ギシリ、と。
ベッドが軋むような音がして。
『何故、そんな端に寄る?』
「うわ、」
ジャンはベッドに乗り上げると。
僕の身体を、真ん中らへんに引き寄せた。
……ちょっと獣っぽいにおいがする。
風呂に入らなかったせいかな。やっぱり半分はクマだからか。
っていうか。
ジャンは何で、服を全部脱いでるんだよ。裸で寝る派?
僕のバスローブを脱がすのやめろ。
うわあ、胸も腕も毛モジャだ! 背中がざりざりする。
こっちもついでに剃っておけばよかったのに。
首筋の匂いをスンスン嗅ぐなっての。
くすぐったい。
『……子供は欲しいか?』
ひっ。
なんて恐ろしいことを聞くんだ。
まさか僕に、今から子宮を作る魔法でも掛ける気か!?
「いいいいいいりません!!」
男がどうやって子供を生むのか、学術的な興味はあるけど。
自分で体験したいとは、これっぽっちも思ってない。
『俺も、子はいらない。クロエをいつまでも独占していたい。孕ませるつもりはないが。慣らしたほうがいいな』
慣らす?
何を慣らすんだろう。
†‡†‡†
くるりと身体をひっくり返されて。
「むぐ、」
がぶり、と。噛み付くみたいに口を塞がれた。
……これ、キスだ。
クマの姿だった時は、べろべろ舐められただけって感じで。
キスだって実感はなかったけど。
これは間違いなく、完全に、接吻といえよう。
まだ未成年の子供だと思ってる相手に手を出すなよ。
このケダモノ!!
「んう、……ふ、」
大きな舌が、口の中を這いまわって。
舌を吸われたり、絡まされたり。溢れた唾液を舐め取られたり。
キスって、こんな生々しいものなんだ。
もっとロマンティックなものかと思っていた、25歳童貞。
全然性欲持ってなさそうな植物系ヲタ眼鏡と呼ばれた僕だって、男だ。
性欲だって、人並みにあると思う。
自家発電オンリーだけど。
チャンスさえあれば、女の子とも付き合ってみたいって願望もある。
それなのに。
何で、女の子の存在しない異世界で無理矢理クマ男のツガイにされて。
貞操の危機に陥らないといけないんだよ!?
ジャンは、僕の首にもキスをして。
『細い首だ……、獣の姿のままだと、噛みちぎってしまいそうだった』
ひええ、こわいこと言うなよ!!
だから人間の姿になって、噛んだという。
その前に、人間の姿で現れて、きちんと話をしてもらいたかった。
その場合、きっぱり断るけど。
†‡†‡†
大男の身体を押しのけたいけど。
なんだか力が抜けてしまう。
おかしい。
身体が妙に熱くて。なんか、変だ。
『どこもかしこもすべすべだな』
大きな手で、身体を撫でながら言われる。
胸とか腕に毛が生えてないって? そりゃジャンに比べれば生えてないよ。
日本人は基本的に胸毛がそれほどモジャってないし。
「痛っ、」
胸をきつく吸われて。
胸の肉を持っていかれそうでこわいんだけど。何その吸引力。
『ああ、悪かった。……相当加減しないと壊してしまいそうだな』
気を付けないと、と呟いた。
壊しそうとか怖いし!
シャレになんないんですけど!
『だから、大人になったら俺を受け入れられるよう、今から少しずつ慣らしておかないといけない。痛い思いはさせたくないしな』
そんな事を言うなら。
その手を今すぐ、放してほしい。
†‡†‡†
大きな手が、僕のお尻を撫でている。
中指が、その狭間を割り広げようとして。
僕の下腹部には、ジャンの勃起した生殖器が当たっている。
獣人というけど、形状は人間と同様だ。
でも、僕のとは違う。
剥けてるし、かさも張ってるし、ずっと大きい。
血管がどくどく脈打ってるのがわかる。
全体が、ムンムンと熱気を放っているようだ。
これがどうしてこういった状態になっているか、その理由を考えるのがこわい。
まさか、自分に興奮して勃起してるなんて。
信じたくない。
『……たまらない、いい香りだ。感じているのか?』
ジャンは嬉しそうに呟いた。
しるしをつけられた者は、欲情するとツガイを誘うフェロモンを発したり、受け入れやすいように濡れたりするそうだ。
直腸が濡れるって? そんな馬鹿な。
何が出てるんだよ? 胆汁? それは病院に行ったほうがいい病気だ。
それとも、ジャンに噛まれてツガイになって。
細胞が変化したから。
こんな、変な分泌液が出ちゃう身体になっちゃったっていうのか!?
この部屋にはベッドは一つしかないようだ。
でも、かなり大きいので、二人くらい楽に寝られそうではある。
ジャンからはツガイ扱いされてるし、襲われる心配が全く無いわけじゃないけど。
まさか、さすがに子供だと思ってる相手に手を出したりしないよな……?
……おお、さすがお城の客室備え付けのベッドというべきか。
こっちはふとんがふかふかだったので、助かった。
「よく眠れそう……」
ベッドのクッション性を確かめていたら。
『クロエは、やわらかい寝床が好きなのか?』
ジャンに訊かれたので、そうだと答えた。
『では、家の寝床もそのようにしよう。他にも希望があれば遠慮なく言え』
大事にしたい、というのは本当だったようだ。
……はっ、いけない。
思わずキュンとしてる場合ではない。
他人から優しくされた経験が薄いと、ちょっと優しくされただけでときめいてしまう。
でも、こいつは無断で僕を噛んで、ツガイしたケダモノなんだぞ。
気を許しちゃ駄目だ。
†‡†‡†
「じゃあ、おやすみなさい」
ジャンに頭を下げて。
先にふとんに潜り込んだ。
これ、羽毛かなあ。軽くて暖かい。
使われてる布も肌触りがいいし。家のより、ずっと上等だ。
これなら気持ち良く眠れそう、と思って目を閉じた。
ギシリ、と。
ベッドが軋むような音がして。
『何故、そんな端に寄る?』
「うわ、」
ジャンはベッドに乗り上げると。
僕の身体を、真ん中らへんに引き寄せた。
……ちょっと獣っぽいにおいがする。
風呂に入らなかったせいかな。やっぱり半分はクマだからか。
っていうか。
ジャンは何で、服を全部脱いでるんだよ。裸で寝る派?
僕のバスローブを脱がすのやめろ。
うわあ、胸も腕も毛モジャだ! 背中がざりざりする。
こっちもついでに剃っておけばよかったのに。
首筋の匂いをスンスン嗅ぐなっての。
くすぐったい。
『……子供は欲しいか?』
ひっ。
なんて恐ろしいことを聞くんだ。
まさか僕に、今から子宮を作る魔法でも掛ける気か!?
「いいいいいいりません!!」
男がどうやって子供を生むのか、学術的な興味はあるけど。
自分で体験したいとは、これっぽっちも思ってない。
『俺も、子はいらない。クロエをいつまでも独占していたい。孕ませるつもりはないが。慣らしたほうがいいな』
慣らす?
何を慣らすんだろう。
†‡†‡†
くるりと身体をひっくり返されて。
「むぐ、」
がぶり、と。噛み付くみたいに口を塞がれた。
……これ、キスだ。
クマの姿だった時は、べろべろ舐められただけって感じで。
キスだって実感はなかったけど。
これは間違いなく、完全に、接吻といえよう。
まだ未成年の子供だと思ってる相手に手を出すなよ。
このケダモノ!!
「んう、……ふ、」
大きな舌が、口の中を這いまわって。
舌を吸われたり、絡まされたり。溢れた唾液を舐め取られたり。
キスって、こんな生々しいものなんだ。
もっとロマンティックなものかと思っていた、25歳童貞。
全然性欲持ってなさそうな植物系ヲタ眼鏡と呼ばれた僕だって、男だ。
性欲だって、人並みにあると思う。
自家発電オンリーだけど。
チャンスさえあれば、女の子とも付き合ってみたいって願望もある。
それなのに。
何で、女の子の存在しない異世界で無理矢理クマ男のツガイにされて。
貞操の危機に陥らないといけないんだよ!?
ジャンは、僕の首にもキスをして。
『細い首だ……、獣の姿のままだと、噛みちぎってしまいそうだった』
ひええ、こわいこと言うなよ!!
だから人間の姿になって、噛んだという。
その前に、人間の姿で現れて、きちんと話をしてもらいたかった。
その場合、きっぱり断るけど。
†‡†‡†
大男の身体を押しのけたいけど。
なんだか力が抜けてしまう。
おかしい。
身体が妙に熱くて。なんか、変だ。
『どこもかしこもすべすべだな』
大きな手で、身体を撫でながら言われる。
胸とか腕に毛が生えてないって? そりゃジャンに比べれば生えてないよ。
日本人は基本的に胸毛がそれほどモジャってないし。
「痛っ、」
胸をきつく吸われて。
胸の肉を持っていかれそうでこわいんだけど。何その吸引力。
『ああ、悪かった。……相当加減しないと壊してしまいそうだな』
気を付けないと、と呟いた。
壊しそうとか怖いし!
シャレになんないんですけど!
『だから、大人になったら俺を受け入れられるよう、今から少しずつ慣らしておかないといけない。痛い思いはさせたくないしな』
そんな事を言うなら。
その手を今すぐ、放してほしい。
†‡†‡†
大きな手が、僕のお尻を撫でている。
中指が、その狭間を割り広げようとして。
僕の下腹部には、ジャンの勃起した生殖器が当たっている。
獣人というけど、形状は人間と同様だ。
でも、僕のとは違う。
剥けてるし、かさも張ってるし、ずっと大きい。
血管がどくどく脈打ってるのがわかる。
全体が、ムンムンと熱気を放っているようだ。
これがどうしてこういった状態になっているか、その理由を考えるのがこわい。
まさか、自分に興奮して勃起してるなんて。
信じたくない。
『……たまらない、いい香りだ。感じているのか?』
ジャンは嬉しそうに呟いた。
しるしをつけられた者は、欲情するとツガイを誘うフェロモンを発したり、受け入れやすいように濡れたりするそうだ。
直腸が濡れるって? そんな馬鹿な。
何が出てるんだよ? 胆汁? それは病院に行ったほうがいい病気だ。
それとも、ジャンに噛まれてツガイになって。
細胞が変化したから。
こんな、変な分泌液が出ちゃう身体になっちゃったっていうのか!?
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