オタク眼鏡が救世主として異世界に召喚され、ケダモノな森の番人に拾われてツガイにされる話。

篠崎笙

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リヒト

溶けあうカラダ

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「え、」

足を抱え上げられて。
袋ごと、ジャンの口の中に含まれた。

ぴちゃぴちゃと、生々しい水音が部屋に響く。

そんな筈はないのに。
隣の部屋に人が居たら、聞こえてしまうんじゃないかと思ってしまう。

二人を城に留めてくれて、ありがたいと思った。


†‡†‡†


「やっ、だめ……、そんなとこ、」

精液なんて、美味しいはずないのに。
甘いとか言われて。

もう出ないってくらい、吸い取られて。


熱い舌先が、中に潜り込んでいる。
まさか、わざと大きな音を立ててるんじゃないだろうな?

「やぁだ、って……、ジャン、……ひっ、」

じゅぷじゅぷと、舌を抜き差しされる。
ぶ厚く、長い舌。

そんな場所を舌で愛撫されているという罪悪感と、背徳感。羞恥心。
それらを上回る、快感。

身体は、確かに感じて。気持ち良いと言っている。


「ジャン……、もう、お願いだから……、」

頭がおかしくなりそうだ。
もういい加減、解放して欲しい。

眼鏡は取り上げられて、手の届かない場所に置かれた。

ぼやけた視界には、自分の足と。
その間に埋まった灰色の髪しか見えない。

はっきり見えなくて良かったと思う。
こんな光景、直視できない。


†‡†‡†


「ん、」
舌が引き抜かれて。

視界に、ジャンの顔が迫ってくる。

『リヒト、』

下の名前を呼ばれただけなのに。
ドキドキしてしまう。

何度か呼ばれたら、慣れるのだろうか。
当たり前のように。

それも何だか寂しいような、不思議な気分だ。


さすがにこの距離まで近づけば、顔がよく見える。
無精ひげが生えた顔も男前だなあ、と見惚れてしまう。

ルロイ王ほど美形でもない、メイベルほど愛嬌も可愛くもないこの男くさい顔が、とても愛おしい。
まさか自分がこんな厳ついクマみたいな大男に惚れてしまう日が来るなんて。


その上、結婚式を挙げて。
抱くのではなく抱かれることになるなんて、ついこの間までは思いもしなかった。

生薬の研究をして。
たまに山に行ってサンプルを採取して。それで満足していた。


出会いも皆無。
一生結婚もせず日銭を稼いで。

独り身のまま、人生を終えるものと思ってたのに。

そんな自分が異世界で救世主になって、クマの獣人のツガイにされて。
それを受け入れただけじゃなく、好きになってしまうなんて。


人生って、本当にわからないものだ。


†‡†‡†


『リヒト、愛している』
ジャンは、獲物を捕らえた肉食獣のように目を光らせた。

食欲よりも激しい欲望で。


『お前は一生、俺のものだ。俺の傍にいろ』

その、獰猛な目つきや命令形の言葉とは裏腹に。
切なげな声でそう囁いて。


どろどろになるほど慣らされた場所に、熱くて大きなものがあてがわれた。

怖い気持ちもあるけど。待ち望んでいたそれが。
欲しい。


「……っ、う、」

指よりも太くて、圧迫感がある巨大なものが、隘路を割り開いて入ってくる。
形容しがたい感覚。

ジャンは、気持ちよさそうだ。
言葉も忘れて、ぐっ、ぐっ、と腰を進めてくる。


充分慣らしてくれたし。
分泌液のおかげか、恐れていたほどの痛みは無かったものの。

中から腹の奥を突かれるのは、未知の痛みを伴うものだった。

頭痛とか、怪我とかとは違う。
どこか別次元の痛みだ。


医学では、内臓や骨に痛覚や触感なんて無いっていうけど。
嘘だと思う。

腸を中から広げるみたいにギッチリ入ってるの、わかるし。

内側から筋肉や神経などの痛点を刺激されてるとか?
でも、内臓はもう一つの脳だって説もあるし。

魚に痛みを感じるレセプターがあるのすら、最近ようやく判明したんだし。
まだ詳しく研究されてないだけかも。

麻酔が効く仕組みもそうだけど。
人間の身体は、まだまだわからないことでいっぱいなんだから。


†‡†‡†


「い……っ、」

大きくて固いのでゴリゴリと内臓を擦られて。
咎めるような声が出てしまった。


『すまない。痛かったか?』
気遣うジャンに、首を横に振ってみせる。

我慢できないほどの痛みじゃないし。

痛みよりも、ジャンと一つになれたことが嬉しいと伝えたら。
余計興奮させてしまったようだ。


「あ……っ、あぅ、あぁっ、」
腹の奥を激しく突いてくるは、とても熱くて固い。

僕は中も外もぐちゃぐちゃにされて。
そこから身体中が、アイスみたいに溶けてしまいそうだ。

ジャンのものが、火傷しそうに熱く感じる。

体温でどろどろに溶けてしまうなんて。
ガリウムみたいだな。


『く、……蕩けそうだ』

呻くように呟いた。
ジャンも、溶けちゃいそうなんだ。

ジャンの方は29度より熱いから、ビスマス結晶かな?

ビスマス結晶はとても綺麗な元素鉱物で。
60度以上の熱を加えると、色も形も変わるんだ。

二人で。
どろどろに溶け合ってしまうのもいいかもしれない。


ジャンの青灰色の瞳は、暗い場所で見ると赤っぽく光って見えると知った。
興奮してるからかな? 不思議だ。

普段は汗もかかないし、冷静に見えるのに。

滴り落ちる汗。
切なげに寄せられた眉根。荒い息。


僕のこんな貧相な身体で、こんなに興奮してるんだ。
こんなジャンは、誰にも見せたくない。

この光景を、独り占めしたいと思った。


そうか、これが独占欲か。
自分にもそんな欲があったなんて、知らなかった。


†‡†‡†


ひっきりなしに猫が鳴くような声が聞こえると思ったら。
自分の口から出ていた。

こんな甘えた声、出せるんだ。
びっくりだ。


変な声出しちゃって引かれないかな、と思ったけど。

むしろジャンは嬉しそうで。
僕が声を上げる度、興奮してるとその反応でわかった。


「やぁ、おっぱいぐにぐにしながら中ゴリゴリしちゃ、やだぁ、」

親指の腹で乳首を刺激されながらジャンので奥を突き上げられると、ひどく感じてしまって。
怖いくらいで。

嫌だと言っても、やめてくれない。


ねだられるのが嬉しいのか。
ベッドでは意地悪なツガイを涙目で睨むと、更に興奮してしまうという悪循環。

もう、どうしたらいいんだよ!?
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