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リヒト
花嫁の秘密
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許可を得たので、解析してみる。
種族は狼犬。
性別は雄だけど妊娠可、と出てる。
血も血管も問題なし。骨、内臓、神経、筋肉全て悪い箇所なし。健康。
もっと詳しくみてみると。
どうやら睾丸と肛門の間に、人工的に孔を開けるようだ。
この孔を、魔法で作った子宮と繋いで、広げていくのか。
もう子宮は完成している。
肛門から産むんじゃ、色々困るだろうし。
納得した。
†‡†‡†
「血液、肉体には何の問題もなく、健康体です。医者としては以上、」
『うん。ありがとう?』
首を傾げてる。
メイベルの身体のことを知ってしまったし。
僕も隠し事なく、正直に言わなければ、フェアじゃない。
恥ずかしいけど。そこはお互い様だろう。
姿勢を正して。
深呼吸。
「やっぱり、僕の場合とは違うと思うけど。……僕の身体は、ツガイに触れられると、性交をする部分であるお尻から、分泌液が出ます」
『分泌液?』
メイベルは更に首を傾げた。
遠回しに言いすぎたか。
「直腸が濡れるので、異物を受け入れやすくなる……って言えばわかるかな?」
『!!』
気が付いて、真っ赤になった。
おそらく僕も真っ赤になっているだろう。
顔が熱い。
痛かったか、って質問だったな。
「濡れるから、楽にはなった。それでも、……大きいし。全然痛くなかったわけでもなかったけど。痛みより、愛しい相手とひとつに繋がれるって喜びのほうが勝った感じだった」
『……怪我とか、しなかった?』
そういう不安もあったか。
僕とジャンじゃ、かなり体格差あるし。
普通に考えれば、大惨事になるだろうな。
でも。
「痛くないように少しずつ、慣らしてくれたし。……メイベルも、初めてだから優しくしてください、ってお願いしてみたらどうかな?」
ジェローム王と会った時の印象としては、ギラギラがっついた感じじゃなかったな。
親しいルロイ王の大切な妹姫な訳だし。大事にしてくれそう、だとは思うけど。それは夫婦になってみないとわかんないかも。
†‡†‡†
『そういうの、全部、覚悟の上で来たんじゃないかって。怒られないかな……?』
王女として、そういう風に育てられて嫁いできたんだから。
そういう教育も受けてるはずだって?
「そんな身勝手なことを言うような男に可愛いメイベルをお嫁になんて行かせたくないよ。もし無体なことをしようとしてきたら、張っ倒して帰ってきちゃいなよ。この世界の救世主である、僕が許すから」
ジェローム王には大きな貸しがあるし。
文句は言えないだろう。
っていうか、言わせない。
『……帰ってきちゃっても、いいのかな?』
メイベルは潤んだ目で僕を見た。
「もちろん。メイベルの事を幸せにできないような男になんて、任せられないよ。ルロイ王だって、その気持ちは同じだと思う」
僕以上に、幸せになって欲しいと願っているに違いない。
『そうかな……。もし出戻ってきても。また、僕のお話し相手になってくれる?』
メイベルの長い睫毛が震えてる。
「当たり前じゃないか。出戻らなくて、幸せに暮らしていても、会いに行くよ?」
『ありがとう、クロエ。ずっと友達でいてね?』
メイベルが抱き着いてきた。
その華奢な肩に、切なくなった。
男の身で、子供を産めるような身体にされて。
他国の王に嫁ぐことも決まっていて。
王女としての責任もあるし。
逃げられない、逃げてはいけないと。
今まで誰にも相談できず、たくさん不安を抱えてたんだろう。
幸せになって欲しいと。
心から願った。
†‡†‡†
メイベルが落ち着くまで待って。
廊下に出たら、ジャンが部屋の手前でうろうろしていた。
見張りの兵士が困ったような顔をしている。
全くもう。
食堂で待っててって言ったのに。
『リヒト!』
僕の顔を見るなり、笑顔で寄ってきた。
こういうところが可愛いと思う。
相手はクマ男だというのに。
我ながら末期である。
新婚だし、しょうがないか。
『狼犬のにおいがする』
ジャンがふんふんと匂いを嗅いで言った。
狼犬って。
メイベルのこと?
そりゃ抱き着かれたんだから。
匂いくらい移るだろう。
『そんなにおいが移るほど、何の話をしていたんだ?』
嫉妬してるようだけど。
いくら愛するツガイでも、これだけは言えない。
「駄目。いくらツガイでも教えられない。花嫁同士の秘密だって約束したし」
『……そうか、秘密か』
ジャンは意外にも、あっさり引いた。
何でそんな嬉しそうにニヤニヤしてるんだよ。
全く。
†‡†‡†
家に戻って。
軽くシャワーを浴びた後で。
「ジャン、ちょっと左手貸して」
手を出したら。
お手、みたいな感じで手を出してきた。
左手だとおかわりだっけ?
大きな手だ。
指の太さも、僕の倍はある。
この大きな手で撫でられるのが好きだ。
頭だけじゃなくて、色々な場所を撫でて欲しい。
いつも優しく触れてくる、この手も。
力強い腕も。
男っぽく整ってる顔も。
もさもさの、毛深い身体すら愛おしい。
ジャンの全部、好きだと思う。
ジャンのことが大好きだって。伝えたくて、たまらなくなった。
種族は狼犬。
性別は雄だけど妊娠可、と出てる。
血も血管も問題なし。骨、内臓、神経、筋肉全て悪い箇所なし。健康。
もっと詳しくみてみると。
どうやら睾丸と肛門の間に、人工的に孔を開けるようだ。
この孔を、魔法で作った子宮と繋いで、広げていくのか。
もう子宮は完成している。
肛門から産むんじゃ、色々困るだろうし。
納得した。
†‡†‡†
「血液、肉体には何の問題もなく、健康体です。医者としては以上、」
『うん。ありがとう?』
首を傾げてる。
メイベルの身体のことを知ってしまったし。
僕も隠し事なく、正直に言わなければ、フェアじゃない。
恥ずかしいけど。そこはお互い様だろう。
姿勢を正して。
深呼吸。
「やっぱり、僕の場合とは違うと思うけど。……僕の身体は、ツガイに触れられると、性交をする部分であるお尻から、分泌液が出ます」
『分泌液?』
メイベルは更に首を傾げた。
遠回しに言いすぎたか。
「直腸が濡れるので、異物を受け入れやすくなる……って言えばわかるかな?」
『!!』
気が付いて、真っ赤になった。
おそらく僕も真っ赤になっているだろう。
顔が熱い。
痛かったか、って質問だったな。
「濡れるから、楽にはなった。それでも、……大きいし。全然痛くなかったわけでもなかったけど。痛みより、愛しい相手とひとつに繋がれるって喜びのほうが勝った感じだった」
『……怪我とか、しなかった?』
そういう不安もあったか。
僕とジャンじゃ、かなり体格差あるし。
普通に考えれば、大惨事になるだろうな。
でも。
「痛くないように少しずつ、慣らしてくれたし。……メイベルも、初めてだから優しくしてください、ってお願いしてみたらどうかな?」
ジェローム王と会った時の印象としては、ギラギラがっついた感じじゃなかったな。
親しいルロイ王の大切な妹姫な訳だし。大事にしてくれそう、だとは思うけど。それは夫婦になってみないとわかんないかも。
†‡†‡†
『そういうの、全部、覚悟の上で来たんじゃないかって。怒られないかな……?』
王女として、そういう風に育てられて嫁いできたんだから。
そういう教育も受けてるはずだって?
「そんな身勝手なことを言うような男に可愛いメイベルをお嫁になんて行かせたくないよ。もし無体なことをしようとしてきたら、張っ倒して帰ってきちゃいなよ。この世界の救世主である、僕が許すから」
ジェローム王には大きな貸しがあるし。
文句は言えないだろう。
っていうか、言わせない。
『……帰ってきちゃっても、いいのかな?』
メイベルは潤んだ目で僕を見た。
「もちろん。メイベルの事を幸せにできないような男になんて、任せられないよ。ルロイ王だって、その気持ちは同じだと思う」
僕以上に、幸せになって欲しいと願っているに違いない。
『そうかな……。もし出戻ってきても。また、僕のお話し相手になってくれる?』
メイベルの長い睫毛が震えてる。
「当たり前じゃないか。出戻らなくて、幸せに暮らしていても、会いに行くよ?」
『ありがとう、クロエ。ずっと友達でいてね?』
メイベルが抱き着いてきた。
その華奢な肩に、切なくなった。
男の身で、子供を産めるような身体にされて。
他国の王に嫁ぐことも決まっていて。
王女としての責任もあるし。
逃げられない、逃げてはいけないと。
今まで誰にも相談できず、たくさん不安を抱えてたんだろう。
幸せになって欲しいと。
心から願った。
†‡†‡†
メイベルが落ち着くまで待って。
廊下に出たら、ジャンが部屋の手前でうろうろしていた。
見張りの兵士が困ったような顔をしている。
全くもう。
食堂で待っててって言ったのに。
『リヒト!』
僕の顔を見るなり、笑顔で寄ってきた。
こういうところが可愛いと思う。
相手はクマ男だというのに。
我ながら末期である。
新婚だし、しょうがないか。
『狼犬のにおいがする』
ジャンがふんふんと匂いを嗅いで言った。
狼犬って。
メイベルのこと?
そりゃ抱き着かれたんだから。
匂いくらい移るだろう。
『そんなにおいが移るほど、何の話をしていたんだ?』
嫉妬してるようだけど。
いくら愛するツガイでも、これだけは言えない。
「駄目。いくらツガイでも教えられない。花嫁同士の秘密だって約束したし」
『……そうか、秘密か』
ジャンは意外にも、あっさり引いた。
何でそんな嬉しそうにニヤニヤしてるんだよ。
全く。
†‡†‡†
家に戻って。
軽くシャワーを浴びた後で。
「ジャン、ちょっと左手貸して」
手を出したら。
お手、みたいな感じで手を出してきた。
左手だとおかわりだっけ?
大きな手だ。
指の太さも、僕の倍はある。
この大きな手で撫でられるのが好きだ。
頭だけじゃなくて、色々な場所を撫でて欲しい。
いつも優しく触れてくる、この手も。
力強い腕も。
男っぽく整ってる顔も。
もさもさの、毛深い身体すら愛おしい。
ジャンの全部、好きだと思う。
ジャンのことが大好きだって。伝えたくて、たまらなくなった。
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