オタク眼鏡が救世主として異世界に召喚され、ケダモノな森の番人に拾われてツガイにされる話。

篠崎笙

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J・J

耀ける明日

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様々な感情でいっぱいになり、胸が詰まる。


欲望の赴くまま噛んでしるしをつけ。
ツガイにしてしまったことでリヒトをここに縛りつけ。

もう二度と、元の世界に帰れなくなったというのに。
嬉しいと、言ってくれるのか。

俺を見て。
そんな風に、幸せそうに笑ってくれるのか。

たまらず、リヒトを抱き締めた。


「ひと目見た時から欲しくてたまらなかった。そこまで感情を揺さぶられるのは初めてだった。俺の身勝手を許し、受け入れてくれてありがとう。……愛している」
リヒトの首のに軽く歯を立てる。

「ん、」
リヒトはすぐに反応した。

を、膝頭で刺激してやる。
視線が、俺の股間へ下がった。

自分も勃っているじゃないか、と言いたげな目で見上げられる。

可愛いツガイにあんなことをされたのだ。
反応するのは当たり前ではないか。


「リヒトに小指を噛まれてこうなった」

「じゃ、責任取らなくちゃ」
悪戯っぽく笑って。

リヒトの手が、俺の背中に回った。


†‡†‡†


俺のを受け入れられるよう、充分拡がるまで慣らそうとしたが。

早く、とせがまれた。
ツガイの可愛いおねだりは叶えてやりたいし、俺も今すぐにでも挿れたい。

しかし、身体が変化したとはいえ、臓器の大きさが変わった訳ではない。
きちんと慣らさなければ辛いはずだ。


「苦しくても、いいから……っ、」
涙目でそこまで乞われ。

さすがにそれを叶えてやらなければ男が廃る。

せめて楽な体勢を、と思い、うつ伏せにさせる。
正面からがいい、とねだられても。ここだけは譲れない。


「慣れたら、正面からする」
そう告げて。リヒトのやわらかな桃色の蕾に挿入していく。

ぬちゅっ、と先端を包み込む、あたたかいそこを。一気に貫いてしまいたい衝動に駆られるが、ぐっと堪える。
痛い思いはさせたくない。快楽だけを感じて欲しい。


「ん、……んっ、」
快楽を堪える、股間を刺激する色っぽい声。

ぬるつき、きゅうきゅうと締め付けてくる肉の筒。

これほど気持ち良いのは、相手がリヒトだからだろう。
他など知りたくもない。

俺を欲情させたのは、唯一、リヒトだけだ。


「は……っ、」
「……全部、入ったぞ」

「ん、お腹、いっぱいになってる……、」

リヒトは俺を含んで膨らんでいる自分の腹を撫でた。
何故そんな可愛いことを。

「っ、」
「ひぁ……っ!? おっき……、」

ついリヒトの中で、更に大きくしてしまったようだ。
リヒトが、あまりにも可愛らしいことを言うのがいけない。


「すまない、苦しいか?」

首を横に振った。
「ん、全部がいいところに当たってて、動かなくても、気持ち良い……」

「俺も、すごく気持ち良い。一日中こうしていたいくらいだ」

それは駄目、と言われてしまった。
つれない。


†‡†‡†


しばらくして、俺の大きさにも慣れてきたので、正面から抱き直した。

向かい合った形で身体全体を使って揺すっていると。
互いの首飾りパンダンティフが触れ合い、妙なる音色を奏でた。

リヒトがそれを聞き、ふわりと微笑んだ。


今、初めてこの石のに気付いたようだ。
初めての時にはそんな余裕は無かったか。

微笑むリヒトの唇を、挟み込むように口づけると。
リヒトは俺の背に、手を回した。


リヒトの中に放ち、もう一度足を抱え上げようとしたら。

「あ、明日は診察があるから、もう寝たいんだけど……」
拒まれてしまった。


「……新婚だというのに……」
「また明日!」

まだまだし足りなかったが。
愛するツガイがそう望むなら我慢しなくては。

足らない分は、休みの日にでも取り戻そう。


「おやすみ、リヒト。良い夢を」
「ん、おやすみ」

口づけを交わし、目を閉じた。


明日を楽しみに思う。
そんな気持ちを教えてくれたのはリヒトだ。

寝る前にお休みと言い、朝起きたらおはようと言う。
共に食事をし、仕事をする。

週末には、充分愛し合う。

そんな毎日が楽しみで、幸せで。
嬉しいと思うのは。全てリヒトのお陰だ。


俺に、様々な感情を教えてくれた。
嫉妬だけは、厄介だが。


†‡†‡†


収穫祭や年末年始の催しも楽しみだと言っていたな。

この世界には、まだリヒトが知らないことが山ほどあるだろう。
驚く顔が見たい。


これから、二人で色々な景色を見よう。
たまに旅行するのもいい。

来年はメイベルの嫁入りだが。リヒトも招待されるだろう。

救世主であるリヒトは、たまにペイ・プリマットへメイベルの顔を見に行っても咎められまい。
あの温泉は良かった。


リヒトの手料理も楽しみだ。
俺も材料を切ったり焼くくらいなら出来るが、リヒトに食べさせて、美味いと言ってもらいたい。

俺もキュイジニエに料理を教わるか。
いっそ二人一緒に教わるのも楽しそうだな。

ロイやメイベルも乱入するかもしれないが、それも賑やかで楽しいか。


朝、出掛けに家の扉の隙間に伝言が挟まっているのに気付いた。
暗号文なので、俺しか読めないものだ。

送り主はリオだった。
今日、診察を受けたい、とだけ。

ようやく治療を受ける気になったか。
了解の合図に、指笛を鳴らした。


「リヒト。診療時間が終わった後。……俺の、古くからの友人を診て欲しい。理由があって、人前には顔を出せないんだが……」

リヒトは驚いたように目を瞬かせ。
「勿論だよ。紹介、してくれるよね?」

微笑みながら、頷いた。


†‡†‡†


ああ、そうだ。
俺の大切な家族リヒトに、昔の話をもっと沢山しよう。

楽しい話ではないかもしれないが。
現在の俺を形作った経緯を知ってもらいたい。

思えばパーシーも、他の者から距離を置いて独りで暮らしていた俺を心配して、ちょくちょく様子を見に来てくれていたのだ。
ロイも、パーシーに俺の様子を聞いたりしていたらしい。


俺は随分と傲慢で鈍感だった。
他人の気持ちにも、自分の気持ちにも気付かずに。

さすがにメドゥサンになるには技量が足らないが。

患者のことをもっと理解し、寄り添い。
隣でリヒトを支え、頼りになる助手になりたいと思う。


リヒトが開けた窓から、初夏の風が入ってくる。

「じゃあ、そろそろ診療所を開けようか!」
「はい!」
ルイとベルナールは元気に返事をし。

診察開始の看板を出しに行った。
彼らが一人前のメドゥサンになる日もそう遠くはないだろう。

何せ、師匠が良いからな。


今まで魔法でも完治せず、治らないと諦めていた者は、診療所ここに来ればいい。
何も心配はいらない。

俺の大切な可愛いツガイであり、異世界から来てこの世界を救った救世主であり、薬の知識にも長けた世界一の名医ボン・メドゥサンであるDr.クロエが居るのだから。
ただし、休診日である週末だけは遠慮して欲しいが。




おわり
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2022.07.16 ユーザー名の登録がありません

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