目覚めたら大好きなアニメの悪役令嬢でしたが、嫌われないようにしただけなのに全員から溺愛されています

月影みるく

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第20話 避けられぬ未来

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意識を取り戻してから、数日が経った。

 体は安定している。
 倒れることもなく、魔力の暴走も起きていない。

 ――けれど。

(……落ち着かない)

 胸の奥で、光と闇が静かに揺れているのを、はっきりと感じていた。

 その日、王宮から正式な招集がかかる。

 集められたのは、王と王妃。
 父と母。
 騎士団長アルベルト。
 そして数名の宮廷魔導士だった。

 私は、母の隣に座らされている。

「結論から言おう」

 王が、静かに切り出した。

「ルクシアの魔力は、すでに外部へ影響を及ぼし始めている」

 その言葉に、空気が張りつめる。

 宮廷魔導士の一人が、魔導具を操作した。

 淡い光の中に映し出されたのは、
 王都周辺で観測された魔力の揺らぎ。

「この波動は、光と闇が混在しています」
「通常ではあり得ない反応です」

 父が、低く問う。

「娘が、意図せず放っていると?」

「はい」

 はっきりとした答えだった。

「現在は微量。
 しかし成長と共に、制御が追いつかなくなる可能性が高い」

 母の手が、ぎゅっと強くなる。

「……危険なのですか」

 王妃が、ゆっくりと口を開いた。

「制御を誤れば、周囲に影響を及ぼします。
 噂が広がれば、恐れを抱く者も出るでしょう」

(……もう、始まってる)

 貴族たちの視線。
 囁かれる言葉。

 “光の子”
 “闇を孕む存在”

 どちらも、私を縛る。

「だからこそ」

 王が、はっきりと言った。

「ルクシアには、正式な管理と教育が必要だ」

 視線が、私に集まる。

「王立魔法学院への入学を、義務とする」

 その言葉に、ユリウスが思わず声を上げた。

「義務……?」

「年齢は、十六」

 静かな宣告だった。

「王立魔法学院は、王国で最も高度な結界と教育体制を持つ」
「そこで、光と闇、両方の制御を学ばせる」

 レオンハルト王子が、拳を握る。

「……選択の余地は?」

 王は、首を横に振った。

「ない」

 はっきりとした言葉だった。

「これは、王国としての決定だ」

 父は、目を閉じる。

 母は、私の肩を抱き寄せた。

「……ルクシア」

 私は、少しだけ考えてから、顔を上げる。

「……行きます」

 全員が、息を止めた。

「怖いです。でも」

 胸の奥で、光と闇が静かに応えた。

「ちゃんと、知りたい。
 私の力が、何なのか」

 王は、深く頷いた。

「覚悟があるなら、我々も守ろう」

 アルベルトが、低く告げる。

「学院入学までの十数年」
「王国は、全力であなたを秘匿し、守備を固めます」

 それは、守りであり、
 同時に――檻でもあった。

(……16歳)

 遠い未来のようで、
 確実に近づいてくる日。

 王立魔法学院。

 そこが、私の運命の分岐点になる。

 ――光と闇を抱えたまま。

 逃げることは、もう許されない。
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