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第14話 檻の中で、出会う瞳
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――冷たい。
でも、暗闇じゃなかった。
「……?」
わたしは、ゆっくり 目をあける。
石の 天井。
知らない 部屋。
(……ここ、どこ)
体は、ちゃんと動く。
痛くも、苦しくもない。
「……りりあ?」
声を出してみる。
返事は、なかった。
かわりに。
「起きたか」
低く、落ち着いた声。
「……!」
びくっと して、体が こわばる。
視線を 向けると――
そこに いた。
銀に近い白い髪の毛。
冷たくも整った綺麗な顔。
でも。
(……こわく、ない)
その 人は、檻の 外に 立っていた。
「……だれ?」
わたしが聞くと、
その人は、少し目を見ひらいた。
そして――
息を、のんだ。
(……あ)
その瞬間。
ルシアス・ヴァルディオスは、理解した。
――あぁ。
――これは、いけない。
理性より 先に、
心臓が うるさく なる。
五歳の 少女。
なのに。
世界の どんな 宝石よりも、
目を 奪われる。
(……美しい)
魔力でも、血でも ない。
ただ、存在 そのもの。
「……名は?」
声が、思ったより 低くなった。
「せらふぃな」
「姓は?」
「……のわーる」
その 名を きいた しゅんかん、
胸の 奥が、ひどく いたんだ。
(魔王の 娘)
(なるほど)
「……そうか」
ルシアスは、ゆっくり膝をついた。
檻の外で。
目線を、合わせる ために。
「俺は、ルシアス・ヴァルディオス」
「……るしあす」
わたしは、真似をして呼ぶ。
「るしあす、ここ なに?」
「……安全な 場所だ」
嘘じゃない。
でも、本当でもない。
「りりあ、いない」
「無事だ」
即答 だった。
「怖い ことは、していない」
(……ほんと?)
わたしは、檻の手すりを ぎゅっと握る。
「じゃあ」
「なんで、ここ?」
ルシアスは、答えに詰まった。
――攫った 理由は、いくつもある。
均衡。
世界。
王族の 血。
だが。
目の 前の 少女を 見て。
(……全部、言い訳だな)
「……君を」
一瞬、ことばを 選んでから。
「誰かの 手で、壊されたく なかった」
わたしは、首を かしげる。
「こわれる?」
「……あぁ」
「きみは、知らない」
ルシアスは、苦く 笑った。
「知らない まま、
人の 心を さらって いく」
(……?)
よく わからない。
でも。
この人は――
(わたしを、叩かない)
(怒らない)
(怖い顔、してない)
「……るしあす」
「なんだ」
「ここ、でられる?」
ルシアスは、すぐには 答えなかった。
(出せば、奪われる)
(戻せば、守れない)
沈黙の あと。
「……今は、だめだ」
その 声は、やさしかった。
「だが、約束する」
「君に、指一本 触れない」
「君が、泣く ことも させない」
わたしは、じっと 見つめる。
(……変な人)
でも。
胸の 奥が、
ちょっとだけ――
落ち着いた。
その 瞳を 見つめながら。
ルシアスは、はっきり 知った。
――これは、ただの 誘拐じゃ ない。
――人生を かけて しまう 類の、恋だ。
そして。
檻の 中の 姫は、まだ 知らない。
この 男が、
世界を 敵に 回してでも
自分を 離さない 存在に なることを。
――運命は、
檻の 中で、静かに 微笑んだ。
でも、暗闇じゃなかった。
「……?」
わたしは、ゆっくり 目をあける。
石の 天井。
知らない 部屋。
(……ここ、どこ)
体は、ちゃんと動く。
痛くも、苦しくもない。
「……りりあ?」
声を出してみる。
返事は、なかった。
かわりに。
「起きたか」
低く、落ち着いた声。
「……!」
びくっと して、体が こわばる。
視線を 向けると――
そこに いた。
銀に近い白い髪の毛。
冷たくも整った綺麗な顔。
でも。
(……こわく、ない)
その 人は、檻の 外に 立っていた。
「……だれ?」
わたしが聞くと、
その人は、少し目を見ひらいた。
そして――
息を、のんだ。
(……あ)
その瞬間。
ルシアス・ヴァルディオスは、理解した。
――あぁ。
――これは、いけない。
理性より 先に、
心臓が うるさく なる。
五歳の 少女。
なのに。
世界の どんな 宝石よりも、
目を 奪われる。
(……美しい)
魔力でも、血でも ない。
ただ、存在 そのもの。
「……名は?」
声が、思ったより 低くなった。
「せらふぃな」
「姓は?」
「……のわーる」
その 名を きいた しゅんかん、
胸の 奥が、ひどく いたんだ。
(魔王の 娘)
(なるほど)
「……そうか」
ルシアスは、ゆっくり膝をついた。
檻の外で。
目線を、合わせる ために。
「俺は、ルシアス・ヴァルディオス」
「……るしあす」
わたしは、真似をして呼ぶ。
「るしあす、ここ なに?」
「……安全な 場所だ」
嘘じゃない。
でも、本当でもない。
「りりあ、いない」
「無事だ」
即答 だった。
「怖い ことは、していない」
(……ほんと?)
わたしは、檻の手すりを ぎゅっと握る。
「じゃあ」
「なんで、ここ?」
ルシアスは、答えに詰まった。
――攫った 理由は、いくつもある。
均衡。
世界。
王族の 血。
だが。
目の 前の 少女を 見て。
(……全部、言い訳だな)
「……君を」
一瞬、ことばを 選んでから。
「誰かの 手で、壊されたく なかった」
わたしは、首を かしげる。
「こわれる?」
「……あぁ」
「きみは、知らない」
ルシアスは、苦く 笑った。
「知らない まま、
人の 心を さらって いく」
(……?)
よく わからない。
でも。
この人は――
(わたしを、叩かない)
(怒らない)
(怖い顔、してない)
「……るしあす」
「なんだ」
「ここ、でられる?」
ルシアスは、すぐには 答えなかった。
(出せば、奪われる)
(戻せば、守れない)
沈黙の あと。
「……今は、だめだ」
その 声は、やさしかった。
「だが、約束する」
「君に、指一本 触れない」
「君が、泣く ことも させない」
わたしは、じっと 見つめる。
(……変な人)
でも。
胸の 奥が、
ちょっとだけ――
落ち着いた。
その 瞳を 見つめながら。
ルシアスは、はっきり 知った。
――これは、ただの 誘拐じゃ ない。
――人生を かけて しまう 類の、恋だ。
そして。
檻の 中の 姫は、まだ 知らない。
この 男が、
世界を 敵に 回してでも
自分を 離さない 存在に なることを。
――運命は、
檻の 中で、静かに 微笑んだ。
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