13 / 333
13
しおりを挟む
小さい頃に読んだ童話
それは、最後にハッピーエンドが待っているものばかりだった
主人公がどれだけ辛い思いをしても、幸せな結末で終わる
白馬の王子様が助けに来てくれる
白雪姫やシンデレラ、眠れる森の美女
施設の子たちが大好きなお話だった
私もこんな幸せな話、夢のようで、あったら素敵だなって思って、案外好きだった
けれど私には白馬の王子様も、助けてくれる魔法使いも、フェアリーゴッドマザーも、妖精も…来ることはなかった
里親に出される子たちはみんな、最後にはとびきりの笑顔で施設を出ていく
両手には大きくて優しい手が繋がれていて、あの温もりを私も味わいたかった
その温和そうな空間に私も入ることができたら………
いつもそう思って、1日が終わる
「………………っ……。」
誰かの声が聞こえる
聞いたことのある声だけど、聞き慣れていない声
優しそうな物腰の柔らかい声はだんだん大きく近づいて来て、まるで私を呼んでいるみたいだった
なんて言っているのか分からないその声が、耳元までやって来るが、五月蝿くなく、むしろ少し心地よかった
宝物を大切に奥に仕舞うように
心配しているようなその声がすっ、と耳に入って来る
ち……ちゃ…。っと、とぎれとぎれに聞こえる声は徐々に鮮明に聞き取れるようになり、声の主が誰なのか截然とした
「うす…た、さん……?」
少し汗ばんで、息を切らしながら私を心配するように抱き抱えているのは臼田さんで、眉を垂らし眼鏡の奥にある目は憂患しきっていた
いつ帰ってきたんだろう
お風呂から出て服を着て、濡れた髪をタオルで拭いて
それで…………
気がついたら臼田さんに抱きかかえられていた
「大丈夫?」と心配する臼田さん
出会って間もないけど、こんな顔はじめて見る
どうやら、家に帰って来たら私の姿がなく呼んでも返事は返ってこなくて探していたら、脱衣所で倒れていたらしい
ちょっと、お風呂に浸かりすぎたかな?
きっとそうだろう
「すいません、ちょっとのぼせたみたいで。でも、もう大丈夫です!!」
そう言っていつまでも抱きかかえ続ける彼から離れようとする
しかし、私の言葉が信じられないのかそれを邪魔するように、膝裏に片腕を通して肩をしっかり掴みながらお姫様抱っこをへと変体していく
今までのヒョロヒョロに見えた体は、私を軽々と持ち上げ落とすことなく抱えたまま歩き出す
今とても臼田さんが逞しく見える
おろしてください
そう言っても臼田さんは頑なにおろそうとはしない
「だーーめ」と、なんとも可愛らしく拒否されてしまう
いや、……恥ずかしいんですが………
それは、最後にハッピーエンドが待っているものばかりだった
主人公がどれだけ辛い思いをしても、幸せな結末で終わる
白馬の王子様が助けに来てくれる
白雪姫やシンデレラ、眠れる森の美女
施設の子たちが大好きなお話だった
私もこんな幸せな話、夢のようで、あったら素敵だなって思って、案外好きだった
けれど私には白馬の王子様も、助けてくれる魔法使いも、フェアリーゴッドマザーも、妖精も…来ることはなかった
里親に出される子たちはみんな、最後にはとびきりの笑顔で施設を出ていく
両手には大きくて優しい手が繋がれていて、あの温もりを私も味わいたかった
その温和そうな空間に私も入ることができたら………
いつもそう思って、1日が終わる
「………………っ……。」
誰かの声が聞こえる
聞いたことのある声だけど、聞き慣れていない声
優しそうな物腰の柔らかい声はだんだん大きく近づいて来て、まるで私を呼んでいるみたいだった
なんて言っているのか分からないその声が、耳元までやって来るが、五月蝿くなく、むしろ少し心地よかった
宝物を大切に奥に仕舞うように
心配しているようなその声がすっ、と耳に入って来る
ち……ちゃ…。っと、とぎれとぎれに聞こえる声は徐々に鮮明に聞き取れるようになり、声の主が誰なのか截然とした
「うす…た、さん……?」
少し汗ばんで、息を切らしながら私を心配するように抱き抱えているのは臼田さんで、眉を垂らし眼鏡の奥にある目は憂患しきっていた
いつ帰ってきたんだろう
お風呂から出て服を着て、濡れた髪をタオルで拭いて
それで…………
気がついたら臼田さんに抱きかかえられていた
「大丈夫?」と心配する臼田さん
出会って間もないけど、こんな顔はじめて見る
どうやら、家に帰って来たら私の姿がなく呼んでも返事は返ってこなくて探していたら、脱衣所で倒れていたらしい
ちょっと、お風呂に浸かりすぎたかな?
きっとそうだろう
「すいません、ちょっとのぼせたみたいで。でも、もう大丈夫です!!」
そう言っていつまでも抱きかかえ続ける彼から離れようとする
しかし、私の言葉が信じられないのかそれを邪魔するように、膝裏に片腕を通して肩をしっかり掴みながらお姫様抱っこをへと変体していく
今までのヒョロヒョロに見えた体は、私を軽々と持ち上げ落とすことなく抱えたまま歩き出す
今とても臼田さんが逞しく見える
おろしてください
そう言っても臼田さんは頑なにおろそうとはしない
「だーーめ」と、なんとも可愛らしく拒否されてしまう
いや、……恥ずかしいんですが………
0
あなたにおすすめの小説
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。
カレンと晴人はその後、どうなる?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)
MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。
愛しているなら拘束してほしい
守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
