逍遙の殺人鬼

こあら

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体が重い
動かない
なんだか誰かに動きを封じ込められてるみたいに感じた

眠りから覚め、ゆっくりとまぶたを上げ目を開く
カーテンから差し込む光は眩しく夜でないことを告げていた


「…?」

目を開けた先には、寝癖のついた頭に長いまつげを持った男性がいた
互いの顔の距離はほとんどなく、息が交差し合う

(っえ!?臼田うすたさん!?どうして…)

彼が目の前に居る事に困惑するも、昨日一緒に眠りについたのだと思い出す
反射的に離れようとするが、抱きしめられ離れることを彼の腕が許さなかった

寝ているというのに、何という腕力…

おかしい…昨日少し距離を取って寝たはずなのに…

ダブルサイズのベッドの中央にくっつく2人
離れたくても離れられず赤面する


(待って…今何時?)

壁にかかった時計に目をやる

…9時…………、よんじゅ…49!?

まずい完全に遅刻だ









臼田うすたさん」

彼に呼びかけるが、綺麗な寝顔は崩れることなく寝息をたてている


臼田うすたさん!!」

先程よりも大きな声で名前を呼ぶと、んうぅ…っと眉をひそめ抱きつく腕を組み替えて抱き直す

いや、起きて!!!!!!!

離さないっと言わせるように腕は力を入れ、先程よりも距離が狭まる


起きてください!っとちょっと乱暴だが、唯一動く腕で彼をバシバシ叩く

その衝撃で、目を少し開くと彼と目が合う

おはよう…とニコッと笑うと、また寝ようとするので少し大袈裟だけど「痛いっ!!」と言ってやる
その言葉にっは、っとしたのか腕を緩め起き上がる

「ごめん痛かった?」と心配しきった目で私を見てくる臼田うすたさんに時間を教える

ん?っと状況を読み込めていない様子で、寝起の頭の回転は悪いんだ、と失礼を承知で思ってしまう


「10時にジャンさんを迎えに行くんでしょう!?」

「……」

「もう9時50分!!」

「やっっばっ!」

ようやく状況を把握した彼は焦り、家を出る準備をし始める
私も続いて支度を始めた
(こんな時間まで寝ちゃうなんて……)
熟睡したとはいえ、あまりに遅く起きた自分に1番驚いていた



荒れ狂う髪をみつ編みで1つに結い、軽く顔を洗う

朝食なんて作ってる時間も、食べている余裕もない



(ジャンさんを待たせたら、殺されそう………)
そんな恐怖をひしひしと感じながらバタバタと2人で、家の中を走り回っていた

一足早く支度を終え玄関で靴を履き臼田うすたさんを待つ

そう言えばどこに行くのか聞いていなかったが、迎えに行くのだからすぐそこって訳ではないだろう
もう9時55分
どこであれ、遅刻だ…
いつもなら時間を守り5分前どころか、少し心配性な私は10分前行動を心がけている


(なのに…)

今回に限って遅くなってしまった
どうしてだろう…っと考えていると、車のキーを片手に「お待たせっ」と走ってくる

車、持ってたんた…


「急ぎましょ!」

そう言って臼田うすたさんの後について行き、少し離れた場所にある駐車場に向かう

車のロックを解除し、「どうぞー」なんてのんきに言いながら助手席のドアを開けてくれる
こんな時まで紳士だな
それがまた、彼の優しさだと感じる

「シートベルトしてねー」と言いながらエンジンをかけると車のモニターに時刻が表示される

{4月12日9時58分 晴れ}


58分…、そう嘆いていると、隣で「ありゃりゃ」っと笑いながらハンドルに手を置く臼田うすたさん

何でそんなに笑っていられるんだ

私ですらこんなに冷や汗をかいているというのに…
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