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(どうしてこうなったのやら…)
チャプンッと水の滴る音が耳の奥底に響く
その音に、少し反応してしまう
おぼつかない手付きで、手にはお湯を湿らせた布を握りしめて手を動かしている
硬い、私のとは違った感じの背中を洗っている
『っゆ、湯加減は…どうですか?…………』
『丁度いいよ。ありがとう、シスター。』
『そうですか…』(しっかりしろ!これは…一応仕事だから!)
『別に目隠ししなくてもいいのに。』
それは、こちらがよろしくありません…
シスターともあろう者が、異性の体を見るなど…
………ギュウ君のは見てしまったけど…あれは不可抗力!…
私は見ないように目元を隠して、手探りでクリスチャンさんのお風呂を手伝っている
翻訳者さんがやればいいのにとか思ったけど、院長と何やらする事があるとかで、私が仕方無く行うことになってしまった…
目元を隠してるせいか…余計緊張する
変な所を触らないように慎重に慎重に、彼の背中を布でなぞる
(見ずに洗うって…難しい。……てか、何でこんなことをしてるんだ?…)
不意に手が止まった
こんなことならギュウ君や他の男性を呼べばよかったんじゃ…と頭をよぎるが、時すでに遅し
結果として既に、こうやって手伝ってしまっているんだから……
「何で、私が、こんな事を…」
つい出たその言葉は小さくもなく、彼に確実に届いてしまった
こんなに…口って軽かったっけ?……………
『どうしました?』
『っ!!な、何でもありません…』
何で、私が、こんな事を?それは、施設にいる頃から思い続けたことで、未だに答えが見つからない私への問題文だった
何故か、重なって思えてしまう
私はいつだって正解を探して、何が正しいのか、何が悪いのかを見分けようとしてしまう
正しいことをすれば幸せになれる
そう信じて、何年も何年も、悩んで苦しんだ
でも……結局願いは叶わなくて……………絶望に落ちてしまう
『泣くな。』
「……え?私、泣いてなんか…」
『シスターには笑っていてほしい。涙、止めてくれ。』
いつからか目隠しに使っていた布が、湿っていた
それは私の目元から出たもので、クリスチャンさんから見れば泣いていると分かるほどのものだった
ボトボトと勢いよく落ちる水の音と、ピチャッと小さく鳴る音が聴こえた
私はどうしていいのか分からず、布を握り締めてその場に座りこけている
涙はまだ止まってくれていないようだ
見えない分、いつもより音に敏感になり彼の動く音が聴こえて、少し身体が身構える
反射的なものだったけど、視界というのは重要だった
だって、いくら音がしても、相手のクリスチャンさんがどう動いているのか、何をしようとしているのか、どんな表情をしているのか…分からないから
(院長に告げ口されたらどうしよう…)
こんな時だというのに、そんな馬鹿げたことしか頭に浮かばない
もっと考えることがあるだろうに
例えば、どうやって涙を止める?とか、どうやってこの状況を切り抜ける?とか……
『何がそんなに、悲しい?』
「…っ!?」(っな、なに…?)
『辛いのか?苦しいのか?』
肌と布の隙間から逃げ出した雫は、頬下で何か温かいものによって捕まえられてしまう
拭ったその場所には、微熱の余韻を残している
急なそれに、体がびくついてしまった
だって、見えないせいで余計な想像を膨らませてしまったから
彼が…私の涙を拭ってくれたことを、今と重ねてまぶたの裏に映して見てしまった
状況も人物も、触れた指の暖かさまでも違うのに…どうしてこんな時に限って見てしまうの?
『っすいません、泣くなんて…』(思い出しては泣くなんて…私、弱虫だな……)
『謝らなくていい。泣くのは弱いからじゃない、自分に素直なだけだ。それを責める権利は、誰にもない。』
『っク、クリスチャン…さん?……』
『貴女は奇麗だ。』
分からない
"奇麗"の意味も、頬にあった手が私の唇に触れている理由も
確実に近づく音も分からない
触れて離れる際に出た音も、何もかも分からない
チャプンッと水の滴る音が耳の奥底に響く
その音に、少し反応してしまう
おぼつかない手付きで、手にはお湯を湿らせた布を握りしめて手を動かしている
硬い、私のとは違った感じの背中を洗っている
『っゆ、湯加減は…どうですか?…………』
『丁度いいよ。ありがとう、シスター。』
『そうですか…』(しっかりしろ!これは…一応仕事だから!)
『別に目隠ししなくてもいいのに。』
それは、こちらがよろしくありません…
シスターともあろう者が、異性の体を見るなど…
………ギュウ君のは見てしまったけど…あれは不可抗力!…
私は見ないように目元を隠して、手探りでクリスチャンさんのお風呂を手伝っている
翻訳者さんがやればいいのにとか思ったけど、院長と何やらする事があるとかで、私が仕方無く行うことになってしまった…
目元を隠してるせいか…余計緊張する
変な所を触らないように慎重に慎重に、彼の背中を布でなぞる
(見ずに洗うって…難しい。……てか、何でこんなことをしてるんだ?…)
不意に手が止まった
こんなことならギュウ君や他の男性を呼べばよかったんじゃ…と頭をよぎるが、時すでに遅し
結果として既に、こうやって手伝ってしまっているんだから……
「何で、私が、こんな事を…」
つい出たその言葉は小さくもなく、彼に確実に届いてしまった
こんなに…口って軽かったっけ?……………
『どうしました?』
『っ!!な、何でもありません…』
何で、私が、こんな事を?それは、施設にいる頃から思い続けたことで、未だに答えが見つからない私への問題文だった
何故か、重なって思えてしまう
私はいつだって正解を探して、何が正しいのか、何が悪いのかを見分けようとしてしまう
正しいことをすれば幸せになれる
そう信じて、何年も何年も、悩んで苦しんだ
でも……結局願いは叶わなくて……………絶望に落ちてしまう
『泣くな。』
「……え?私、泣いてなんか…」
『シスターには笑っていてほしい。涙、止めてくれ。』
いつからか目隠しに使っていた布が、湿っていた
それは私の目元から出たもので、クリスチャンさんから見れば泣いていると分かるほどのものだった
ボトボトと勢いよく落ちる水の音と、ピチャッと小さく鳴る音が聴こえた
私はどうしていいのか分からず、布を握り締めてその場に座りこけている
涙はまだ止まってくれていないようだ
見えない分、いつもより音に敏感になり彼の動く音が聴こえて、少し身体が身構える
反射的なものだったけど、視界というのは重要だった
だって、いくら音がしても、相手のクリスチャンさんがどう動いているのか、何をしようとしているのか、どんな表情をしているのか…分からないから
(院長に告げ口されたらどうしよう…)
こんな時だというのに、そんな馬鹿げたことしか頭に浮かばない
もっと考えることがあるだろうに
例えば、どうやって涙を止める?とか、どうやってこの状況を切り抜ける?とか……
『何がそんなに、悲しい?』
「…っ!?」(っな、なに…?)
『辛いのか?苦しいのか?』
肌と布の隙間から逃げ出した雫は、頬下で何か温かいものによって捕まえられてしまう
拭ったその場所には、微熱の余韻を残している
急なそれに、体がびくついてしまった
だって、見えないせいで余計な想像を膨らませてしまったから
彼が…私の涙を拭ってくれたことを、今と重ねてまぶたの裏に映して見てしまった
状況も人物も、触れた指の暖かさまでも違うのに…どうしてこんな時に限って見てしまうの?
『っすいません、泣くなんて…』(思い出しては泣くなんて…私、弱虫だな……)
『謝らなくていい。泣くのは弱いからじゃない、自分に素直なだけだ。それを責める権利は、誰にもない。』
『っク、クリスチャン…さん?……』
『貴女は奇麗だ。』
分からない
"奇麗"の意味も、頬にあった手が私の唇に触れている理由も
確実に近づく音も分からない
触れて離れる際に出た音も、何もかも分からない
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