逍遙の殺人鬼

こあら

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手紙を読み進めていたら、もう夕餉ゆうげの時間になってしまった
続きが気になるところだが、夕餉ゆうげの時間を正式な理由無く破るのは規則違反だ
これ以上罰せられるは嫌だ……

私は回復しつつある体で食堂へと向かった
正直お腹はペコペコだ
お腹と背中がくっつきそうとはこのことで、飢餓状態とまではいかないがたった2食抜いただけでヘロヘロだ…

(情けない……)

自分が招いた事だろう…
心の何処かでは、多分わかってた

いけない事だって、普通じゃ無いって
なのに、従ってしまった自分が悪い
院長の言うことも、シスターエリの言い分も分かるような気がしてきた…









食堂に入れば、冷めた目が私を待っていた
それは院長とシスターエリで、その突き刺さるようなその険しい眼差しが私の心を石の様に重くずっしりとさせる
それに続きて、他の老シスター達までもが冷たい眼差しを向けてくる
まるで、冷たい冷め切った刃物をあらゆる角度で向けららえる様な、そんな感じだ

触らなければ怪我はしない
でも、どれだけ触らないようにと気を付けても、距離が近ければ擦り傷程度は付いてしまう
それどころかいくつも向けられていれば小さな傷でも大怪我になる
その傷が、深くて痛くて動けずにいる…

「シスターちさ座りなさい。」

「…っ!……は、い」

冷たい目だ……
柔らかい顔だと言うのに、こうも背中に悪寒が走るなんて…
次席に座ってもそれは継続された

私は透明な仮面を被って、心を悟られない様にその場に座り続ける
自分は平気だと言い聞かせてなんでもない事だと自己暗示して、なんとも思ってないような顔をした
別に難しい事じゃない
ずっと前からやっていた事だし、辛くもない
こう言う時は、傷ついた顔や嫌そうな顔をすれば逆効果で、相手を煽るだけだ
知ってる、だから自分を欺くしかないんだ…

今何を言ってもきっと聞く耳を持ってくれないだろう
多勢に無勢とは、こう言うことを言うのだろうか…?

「シスターちさ?大丈夫ですか、あまり気にされない方が…」

「大丈夫です。問題ないです」

「シスターちさ…」

夕餉ゆうげを終えてもシスターの白い目は終わる事はなかった
その視線は、正直言ったら辛い
でも、どうしようもない事だ
一度向けられた目はそう変わる事はない
ましてや仲良くないシスター達だ、好ましくは思われないだろう

自室に戻っても、私の心は石のままだった
固く冷たく、重かった
このまま心を中心に体全体へと拡大して、私自身が石像のようになってしまうのかと思ってしまう
季節のせいか分からないけど、体が冷たく感じた
鏡を見れば酷い顔をしている

「相変わらず、変な顔」

自分の顔が醜く感じる
悍ましく感じた夢の中の自分と、そう大差ない様にすら思ってしまう
人間の皮を被った、醜い醜い化け物のようだ
まるで呪いの様なそれは、いつまで経っても私をむしばんで澱んだものに退化させようとしてくる

________やっぱり私は…私が嫌いだ……………

遠い遠い、誰も来ない場所に閉じ込められて独り生きているみたいで苦しい
最初からこの世界に自分しかいないとしたらどうも思わなかったのに、私の他にいるのだと気づけばその人に会いたくて、暖かさを欲してしまう
私の心は、高い高い塔に置いてきぼりにされている
誰も分かってはくれない、理解してくれない
もどかしくて、本当に辛い
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