逍遙の殺人鬼

こあら

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「見ろ女、これが今若者がこぞって食べ散らかしているなる物だ。」

「それより良いんですか?仕事しなくて」

「女、その目は飾りなのか?今こうやって小説のネタの為に調査しているだろう。」

「私には楽しんでいるようにしか見えませんけど…。さっきっから食べ歩いてばかりだし…」

「経費で落ちる。これ食ってみろ、女。」

サックサクの衣が唇に当たった
はむっと一口噛めば、離すように私とは反対側に引く
私の口の隙間からチーズがびょーんと伸びて、それを見た朔夜さんは「これだこれ!」とたいそう嬉しそうにしていらっしゃる

その様子のまま、またもやパシャパシャ撮る
写真を撮る前に許可とか取ってもらえませんかね?









(さっきっから"若者"とか"流行りの"とか…)
次の作品は、流行り物と若者が中心の話なのかな?
でも、ひとりで回れるだろうに…

レストランで食事を取って水族館行って、お昼食べて植物園行ったり食べ歩きしたり…まるで、デートみたいではないか…
そう思うだけで11月だと言うのに暑くなってきた気がした

パタパタと顔面へ風を送っても、ちっとも冷めない
何考えてるんだか…
これは調査、現地調査よ……

「女、暑いのか?」

「っえ?熱いに決まってるじゃないですか!!…これ、出来立てですよ」

「確かに、湯気が出ている。この伸びる感じは温かいうちにやらないと出来ないらしい。でも、美味いだろ?」

「美味しいですけど…」(そんな笑顔で言われると…余計熱い……。)

口元を隠すように手で覆った
本当は顔面全部を覆って隠したかったけど、少しでも動揺してませんよ私…みたいな感じを演出したかった

ずっと怒ってばかりの朔夜さんは、今は笑ってらっしゃる
スマホの画面を操作して「いい感じだ。」と納得のいった表情かおをしている
これは小説作りの為の調査
私は、そのお手伝いをしているに過ぎない

(私みたいな人とデートしたいだなんて思う人居ないよね…)

そう思うだけで、また余計に落ち込んだ
自分でもデートしたいだなんて思わないと心の中のお喋りな私は、私に言い放った
激しく納得だ
得体の知れないこんな生命体、未確認生命体宇宙人みたいなものではないか

_____でも…臼田うすたさんは、こんな私でも好きと言ってくれた
この好きは、私のことを人としてと言ってくれた訳ではなく…ひとりの女の子としてと言ってくれたんだよね?…

まだ返事は出来ていない
次会う時
それまでに気持ちの整理はつくかな?

嫌いじゃない
勿論好きだけど…その好きが憧れからくるLIKEなのかLOVEなのかは、幼稚な私には区別が付かない
でも、一緒に居て苦じゃない
優しいし何より一緒に居て楽しい

朔夜さんと一緒に出かけているのに、臼田うすたさんのことが頭に浮かぶのは…きっと出会った頃に似ているこの格好姿のせいだ
身長も同じぐらい
もし今、朔夜さんと同じようにボサボサの髪の毛で現れたら、兄弟ですか?って思うに違いない

「何だ女、じっと見つめて。言いたいことがあるなら言ったらどうだ。」

「…いや、あの…初めて臼田うすたさんにお会いした姿と似てるなーって…思いまして」

「"臼田うすた"?あぁ、そう言えば少し前に世話になったな。あの男もオカマと同じ人種だ。能天気で騒がしい奴らめ。」

「朔夜さんもお会いしたことがあるんですか?」

「俺はあまり表に出ないからな。まぁ、面倒なやつには色々と出席してもらってたな。」

「それって…」(まるで臼田うすたさんが朔夜さんの影武者になってたって言ってるみたいに聞こえる)

ザワッとした…
心の中の私が何かに囁かれたみたいに、私の知る臼田うすたさんがそんな事をしていたなんて…とどよめいた

私が知っている臼田うすたさんだなんて、ほんの一部だと思い知らされた
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