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「ちさを離せ‼︎」
「なら喋るか?」
「だから、俺は何も知らない!ずっと言ってるだろ‼︎」
「なら離す訳にはいかないな」
何で揉めているのか…見当も付かない
何を喋るの?
ギュウ君は一体何を知っていると言うの?
冷たい物質の感覚、もし下手に動けば切れてしまう
そんな危うい状況にいるのに、死んでしまうかも知れないと言うのに、私を見下ろすジャンさんは私を殺そうとしていないように見えてしまう
私を傷つけることはあっても、生命を奪おうとは……していないように感じる
「俺はただ仕事場を紹介してもらっただけだ‼︎」
「へぇ、それは良かったな」
「本当だ!任された仕事をこなしていただけなんだよ。教会が全焼して、俺は職場を失ったから…。」
「だからわざわざこんな遠い場所で職探ししたのか?」
(教会は、やっぱり全焼してしまったんだ…。)
だから、ギュウ君は生きて行くために仕事探ししてあのカジノで働いていたんだ
「俺はずっと教会で育って来たから、他の場所のことは全く知らない。だから知人を頼って、あのカジノで働いてただけだ。」
「”知人”?知人って、誰なの?」
「誰って、三郎さんだよ。あの火事で生き残ったのは俺と三郎さんだけだ。」
「っえ…」
「あの夜、”怪しい人物が侵入して来た。”って三郎さんが言うから見回りに出たんだ。そしたら…。」
「”怪しい人物”って…」(私を攫おうとしていた人…。)
あの夜知らない人に眠らされて、目が覚めたら森の中だった
私に賞金が掛かってると言っていた
きっと施設の関係者だ…
(……生き残ったのがギュウ君と三郎さんだけだなんて…。)
あまりにも辛すぎる現実だった
もしかしたらって期待して、淡い望みは呆気なく崩れ去ってしまった
シスターシオリも亡くなってしまったんだと、知りたくなかった事実のせいで、私はまた泣いてしまった
シスターの中で彼女だけがちゃんと対等に扱ってくれたのに…
死ぬにはあまりにも若すぎる
あのお調子者の研さんも…もっといっぱい話してくだらない事を言い合っていたかった
あまりにも泣きすぎたせいか、ジャンさんは解放してくれた
起き上がっても止まることのない涙は、吐いた後の私の顔をさらに酷いものに劣化させたに違いない
「俺は…三郎さんに言われてあのカジノで働いてたんだ。」
「ちょっと待て、その”三郎”って奴は誰だ」
「……三郎さんはあのカジノ、ラストベガスの副支店長だ。」
「そっちが本命か、クソッ!」
人違いだとジャンさんはお店を出て行った
私は顔に残った涙を拭きながら、ギュウ君に近寄った
久しぶりに会うギュウ君は、出会った頃と変わらないように感じる
縛られているのはギュウ君なのに、こんな時でも私の心配してくれるなんて本当に変わっていない
「今解くからね」
「ちさは、大丈夫だったのか?」
「私よりもギュウ君の方が心配だよ。こんな風に再会するなんて…」
「俺は大丈夫だ、失うものも少ないしな。火事の事、知らなかったのか?」
「ううん、火事は知ってた。でも…みんな亡くなったのは知らなかった……」
ギュウ君は「泣かせちゃったな。」って優しく拭ってくれた
ギュウ君が悪いんじゃないって言っても、俺のせいだって全然折れてくれなかった
赤くなった手首、きっときつく縛られていたんだ
急に連れてこられて、怖い思いしたはずなのに笑顔作って…本当にごめんなさい
「なら喋るか?」
「だから、俺は何も知らない!ずっと言ってるだろ‼︎」
「なら離す訳にはいかないな」
何で揉めているのか…見当も付かない
何を喋るの?
ギュウ君は一体何を知っていると言うの?
冷たい物質の感覚、もし下手に動けば切れてしまう
そんな危うい状況にいるのに、死んでしまうかも知れないと言うのに、私を見下ろすジャンさんは私を殺そうとしていないように見えてしまう
私を傷つけることはあっても、生命を奪おうとは……していないように感じる
「俺はただ仕事場を紹介してもらっただけだ‼︎」
「へぇ、それは良かったな」
「本当だ!任された仕事をこなしていただけなんだよ。教会が全焼して、俺は職場を失ったから…。」
「だからわざわざこんな遠い場所で職探ししたのか?」
(教会は、やっぱり全焼してしまったんだ…。)
だから、ギュウ君は生きて行くために仕事探ししてあのカジノで働いていたんだ
「俺はずっと教会で育って来たから、他の場所のことは全く知らない。だから知人を頼って、あのカジノで働いてただけだ。」
「”知人”?知人って、誰なの?」
「誰って、三郎さんだよ。あの火事で生き残ったのは俺と三郎さんだけだ。」
「っえ…」
「あの夜、”怪しい人物が侵入して来た。”って三郎さんが言うから見回りに出たんだ。そしたら…。」
「”怪しい人物”って…」(私を攫おうとしていた人…。)
あの夜知らない人に眠らされて、目が覚めたら森の中だった
私に賞金が掛かってると言っていた
きっと施設の関係者だ…
(……生き残ったのがギュウ君と三郎さんだけだなんて…。)
あまりにも辛すぎる現実だった
もしかしたらって期待して、淡い望みは呆気なく崩れ去ってしまった
シスターシオリも亡くなってしまったんだと、知りたくなかった事実のせいで、私はまた泣いてしまった
シスターの中で彼女だけがちゃんと対等に扱ってくれたのに…
死ぬにはあまりにも若すぎる
あのお調子者の研さんも…もっといっぱい話してくだらない事を言い合っていたかった
あまりにも泣きすぎたせいか、ジャンさんは解放してくれた
起き上がっても止まることのない涙は、吐いた後の私の顔をさらに酷いものに劣化させたに違いない
「俺は…三郎さんに言われてあのカジノで働いてたんだ。」
「ちょっと待て、その”三郎”って奴は誰だ」
「……三郎さんはあのカジノ、ラストベガスの副支店長だ。」
「そっちが本命か、クソッ!」
人違いだとジャンさんはお店を出て行った
私は顔に残った涙を拭きながら、ギュウ君に近寄った
久しぶりに会うギュウ君は、出会った頃と変わらないように感じる
縛られているのはギュウ君なのに、こんな時でも私の心配してくれるなんて本当に変わっていない
「今解くからね」
「ちさは、大丈夫だったのか?」
「私よりもギュウ君の方が心配だよ。こんな風に再会するなんて…」
「俺は大丈夫だ、失うものも少ないしな。火事の事、知らなかったのか?」
「ううん、火事は知ってた。でも…みんな亡くなったのは知らなかった……」
ギュウ君は「泣かせちゃったな。」って優しく拭ってくれた
ギュウ君が悪いんじゃないって言っても、俺のせいだって全然折れてくれなかった
赤くなった手首、きっときつく縛られていたんだ
急に連れてこられて、怖い思いしたはずなのに笑顔作って…本当にごめんなさい
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