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第二十六話 再配分
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第二十六話 再配分
王都の広場に、新たな掲示が並んだ。
没収資産の一覧ではない。
再配分計画。
――国庫編入農地、分割貸与開始。 ――没収屋敷、行政庁舎および学校へ転用。 ――旧鉱山権、実地調査後に再入札。
人々は足を止め、読み上げる。
「貸与……?」 「買い戻しではないのか」
そこが違う。
所有から、利用へ。
虚飾を溜め込むのではなく、流す。
地方の農地。
かつて伯爵家が囲っていた広大な畑に、線が引かれる。
「小作契約、五年更新」
農民たちは顔を見合わせる。
永久ではない。
だが追い出されもしない。
初めて、自分の手で耕せる土地が与えられる。
没収された屋敷では、豪奢な舞踏室に机が並ぶ。
石の床に響くのは、靴音ではなく、子どもの声。
学校になるのだ。
王都では、旧貴族街の一角が行政区へ改装されていた。
帳簿室、監査局、相談窓口。
扉の上に掲げられた新しい紋章は、質素だ。
だが威圧的ではない。
宮殿。
リリアーナは再配分計画の最終案を確認する。
「反発はありますか」
シルヴィアが答える。
「あります。旧貴族層から」
「当然です」
「再入札制には特に」
女王は静かに言う。
「権利は、永遠ではありません」
鉱山権は再調査後、公開入札。
透明な条件。
保証金、実地確認、報告義務。
虚偽の余地を消す。
同時刻、広場の片隅。
元伯爵レノックスが、仕事募集の掲示を見つめている。
公共事業、監督補助。
日給は明記されている。
誇りはない。
だが食える。
彼はしばらく立ち尽くした後、紙に名前を書く。
かつての使用人が、それを遠くから見ている。
笑わない。
哀れまない。
ただ、時代が変わったことを理解する。
宮殿の執務室。
財務卿代理が報告する。
「国庫収支、黒字転換の見込み」
「投機税の影響ですか」
「没収資産の整理も」
リリアーナは頷く。
「富は消えたのではありません」
「流れを変えただけ」
夕刻。
王都に灯がともる。
かつて投機で輝いていた夜景ではない。
工事現場の灯り。
倉庫の灯り。
学校準備の灯り。
静かな明るさ。
シルヴィアが問う。
「これで、平等になりますか」
「平等は幻想です」
リリアーナは答える。
「ですが、機会は整えられます」
窓の外、元貴族たちが列に並ぶ姿が見える。
豪奢な服はない。
だが背を丸めてはいない。
働く者の列だ。
再配分は、復讐ではない。
秩序の修正。
虚飾の蓄積から、実体の循環へ。
王国は、ようやく流れを取り戻し始めていた。
王都の広場に、新たな掲示が並んだ。
没収資産の一覧ではない。
再配分計画。
――国庫編入農地、分割貸与開始。 ――没収屋敷、行政庁舎および学校へ転用。 ――旧鉱山権、実地調査後に再入札。
人々は足を止め、読み上げる。
「貸与……?」 「買い戻しではないのか」
そこが違う。
所有から、利用へ。
虚飾を溜め込むのではなく、流す。
地方の農地。
かつて伯爵家が囲っていた広大な畑に、線が引かれる。
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だが追い出されもしない。
初めて、自分の手で耕せる土地が与えられる。
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石の床に響くのは、靴音ではなく、子どもの声。
学校になるのだ。
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帳簿室、監査局、相談窓口。
扉の上に掲げられた新しい紋章は、質素だ。
だが威圧的ではない。
宮殿。
リリアーナは再配分計画の最終案を確認する。
「反発はありますか」
シルヴィアが答える。
「あります。旧貴族層から」
「当然です」
「再入札制には特に」
女王は静かに言う。
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鉱山権は再調査後、公開入札。
透明な条件。
保証金、実地確認、報告義務。
虚偽の余地を消す。
同時刻、広場の片隅。
元伯爵レノックスが、仕事募集の掲示を見つめている。
公共事業、監督補助。
日給は明記されている。
誇りはない。
だが食える。
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かつての使用人が、それを遠くから見ている。
笑わない。
哀れまない。
ただ、時代が変わったことを理解する。
宮殿の執務室。
財務卿代理が報告する。
「国庫収支、黒字転換の見込み」
「投機税の影響ですか」
「没収資産の整理も」
リリアーナは頷く。
「富は消えたのではありません」
「流れを変えただけ」
夕刻。
王都に灯がともる。
かつて投機で輝いていた夜景ではない。
工事現場の灯り。
倉庫の灯り。
学校準備の灯り。
静かな明るさ。
シルヴィアが問う。
「これで、平等になりますか」
「平等は幻想です」
リリアーナは答える。
「ですが、機会は整えられます」
窓の外、元貴族たちが列に並ぶ姿が見える。
豪奢な服はない。
だが背を丸めてはいない。
働く者の列だ。
再配分は、復讐ではない。
秩序の修正。
虚飾の蓄積から、実体の循環へ。
王国は、ようやく流れを取り戻し始めていた。
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