封印されていたおじさん、500年後の世界で無双する

鶴井こう

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73 決勝第3試合は決着するが――

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わずかな隙を見て大きく振るわれたガゼットの剣。グレンが《峯炎剣》でそれを防ぐも、

「ぬう!?」

力で弾かれる。

「よくぞここまで鍛えた。だが――」

ガゼットが言って、大剣を振るう。《峯炎剣》の炎の勢いが弱まっていることに気づいたときには遅く、

「魔法は魔法。もれなく我がデクレッシェンドの弱体化の対象となる。魔法の剣ならば剣そのものも範囲の内だ」

グレンの《峯炎剣》は、それを握る腕ごと切られて飛んだ。

「ぐうっ!?」

グレンは顔をゆがめるも、峯炎でガゼットを攻撃。

ガゼットは峯炎を切り捨ててグレンに迫り、大剣を横に振るって――グレンの胴を分断した。

「――――!」

「すべて無駄だ。わが剣は、精霊剣でさえ力を徐々に奪っていく。魔法風情が、我が剣に敵うと思うな」

歓声とともに立会人がグレン死亡を確認し、勝負が決まった。

「やはり強いな。観客の人気も高い」

試合が終わっても、なかなか歓声がやまない。

「精霊剣でさえ対抗できねえのか。へぇー、面白そうな相手じゃねえか」

フューエルがつぶやいたが、我に返ったように立ち上がる。

「おっと、次は俺様の出番か」

「手ごわいぞ、相手は」

「わかってらあ」

フューエルが行こうとすると、

「その心配はねえぞ」

目の前に次の対戦相手――剣を差した老剣士《剣客》レインシードが立っていた。

「レインシード、どうしたよ? 一緒に仲良く入場するか?」

「その必要はねえ」

フューエルの挑発をレインシードは一笑に付した。

「俺ァ辞退したからよ。自動的にお前さんの勝ちだ」

「はあ!?」

フューエルから力が抜ける。

「レインシードは金が目的だったな。賭け事でその目途がついたということか?」

代わりに俺がレインシードに訊ねた。レインシードは頷く。

「ああ、大賭けさせてもらってよ。おかげで目標額には達した」

「ふざけんな! 表出ろ! 今から俺様と勝負だ!」

強者と闘えるとあって自分の試合を楽しみにしていたフューエルは激昂している。

これで本日行う決勝トーナメントのプログラムは終了。俺はこの場で暴れ出しそうなフューエルを押さえつけた。

――と、歓声とは別のざわめきが聞こえる。戸惑うような声だ。

「……なんだ?」

観客席に、ガラの悪い男たちが集団でなだれ込んできている。その男の一人が、文句を言いに来た観客の一人を――

「うぎゃああっ!」

切り伏せた。観客席は、さらに騒然となる。

「あの輩ども、見覚えがあるな」

「ああ」

俺とフューエルがうなずき、立ち上がって輩たちを見据える。

「ぎゃはははっ! 最初からこうすりゃよかったぜ! なあお前ら!」

輩たちの中心に、大柄な男がグレイブを持って笑っていた。ジョー・グレモンである。

「行くぜ! すべて奪ってトーナメントは俺たちの勝ちだ!」

取り巻きはジョー・グレモン盗賊団の構成員だが――ほかにもいる。大トーナメントを敗退した者たちも加わっていた。

「まったく懲りない男だな」

すべて力で奪うのが一番手っ取り早く簡単だ。大変わかりやすくて結構だが、こちらも手っ取り早く対応させてもらう。トーナメントをぶち壊されるわけにはいかないからな。

「敗退した参加者の一部を取り込んでいるな。みんなでズルすれば怖くない、といったところか」

「雑魚がわんさかと情けねえ」

「数は……多いな。五十人、いや、もっといるか。フューエル、何人相手にできる?」

「全員でもいいぜ。くすぶってるからよ!」

「いい威勢だ。だが観客たちを安全に避難させるのが先だな」

「お説教もご忠告もいらねえよ」

「ふん、そうだったな」

俺はブロードソードを抜いて、襲い掛かってきた盗賊の一人を切り倒した。
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