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106 その時を待ちわびる
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長すぎる。
魔王が超巨大星外獣を倒しに行ってから、すでに七日が経っていた。
数日前に超巨大星外獣がばらばらに崩れた。
おそらく倒してくれたのだろうが、魔王はまだ帰ってきていない。
ばらばらになった破片が今も絶えずこの星に降り注いでいる。
被害が出そうな大きさの破片は精霊王やゼビカたちが切り刻んでおり、生きた星外獣が落ちてくることはなかった。
根こそぎ持っていかれたおかげで、魔力がまだ完全には戻っていない。半分といったところか。
剣術だけでも生きていけるので、生活だけならまったく困難ではない。
精霊剣も魔力を吸われた際にすべて消滅したので、もし生きている星外獣が落ちてきたら対処は難しいだろう。
ただ、事の次第を見届けるために、俺は今も祠付近に野宿して生活している。
そして精霊剣なしでも星外獣に対処できるよう修行をしている。
取ってきたウサギを焚火で焼いて、カレー粉をかけて食べる。
それから、俺と魔王が復活したときのことを考える。
「結局ロイが期待していたのは、こういうことだったんだな……」
俺と魔王が結託すれば、星外獣の排除が可能かもしれない。そう目論んで魔王ごと封印を解いたにに違いない。
……いや、これはロイにとっても賭けだったはずだ。俺と魔王が結託しても、超巨大星外獣を倒せる保障などどこにもないのだから。
「結果的には、星外獣を排除できた」
しかし、魔王はまだ帰ってきていない。
「……よもや、よもや死んでいるのではあるまいな」
あれだけの巨大な敵だ。道連れにして殺すほどの壮絶な戦いが繰り広げられた可能性もある。
「だとしたら、許さん」
世間は破壊の爪痕を色濃く残しながら。平穏を取り戻しつつある。
だが、俺の心中は、戦の最中のようにおだやかではない。
決着がまだついていない。こんな中途半端なまま騒動が終わられても、俺は納得できない。
考えて、俺は浮かんでくる思いを頭を振って止めた。
「……まあ、べつに魔王が生きているかどうかなど気にしてはいないがな!」
ウサギを食べながら俺はつぶやく。
「見届けると決めた以上、終わったことを徹頭徹尾確認するまでは納得できん。これは魔王の帰還を待っているわけではなく、星外獣のかけらが降り注ぎ終わるのを待っているのだ」
よくランドが俺にカレー粉や水、食料などを届けてくれるので不便はない。
たまにガゼットやヒューエルがやってきて俺と稽古をしてくれるが、精霊剣がなくても俺の方が強く、あまり張り合いがなかった。
なんともいえない複雑な七日間である。
「で、なんでお前ら集合してるんだ」
俺は今まで敵だったやつらが遠巻きに俺のことを見ていることに気が付いた。
「私たちはウルカ様の部下だからだ」
ブランク――いや、本名はフェネンというらしく、そいつが世話係っぽい女性たちを連れていた。
「俺たちはもうすぐ《魔弾》発射のカウントダウンの時間制限になるから、魔王様に更新してもらわないと……」
ライジングら今まで敵として出会ってきたやつらは焦燥に駆られた表情だ。
たしかに男どもの額を見ると《魔弾》の魔法陣が浮かんでいた。
「お前らそうやって魔法で脅されて今まで言うこと聞いていたのか。まあ時間が来たらあきらめるんだな」
「そんな……」
しかしうっとうしいな。
どこかにやるか、それとも剣の修行につきあってもらうか。
ブランクはかなり腕が立つからな。祠のある山一帯を範囲として、全員対俺で模擬戦でもやってみるか。
俺はウサギを食べ終えて立ち上がると同時に、何かが落ちてくる風切り音が聞こえた。
「…………!」
ちょうど俺の真上だった。とっさに半歩下がってよけると、地響きを立てながら着地した魔王がいた。
幼女の姿に戻っている。
「ま、三日というところか。砕けた巨大な塊を細かくするのに手間取ったが、我ながらまあまあの戦果だ。魔剣アノドスは壊れてしまったが……」
魔王は得意げな顔で立ち上がった。
「いやもう七日経っている」
自信満々すぎる魔王の表情に眉をひそめながら、俺は返した。
「七日だと!?」
「ああ、七日だ」
心なしか魔王は悔しそうだ。しかし次の瞬間にはいたずらっぽい笑みを浮かべて言った。
「……我が帰ってくるまで七日も待っていたのか? 心配性だな貴様も」
「んなわけあるか! 破片が落ちてきてるのが心配で動けなかっただけだ!」
「そんなこと言って我のことが心配だったのではないか?」
「寝言は寝て言え」
「やるか?」
「張り合いがなくて困っていたところだ。相手してもらうぞ」
「ふん」
魔王は魔法陣を構え、俺は腰のブロードソードを抜こうとして、やめた。
「いや、まだいい。幼女になっているということは魔力を使い果たしたのだろう。全快してから決着をつける。今やってもつまらん」
「貴様も律儀だな」
魔王はあきれていた。俺は毅然として言い放つ。
「ファスターに連絡して迎えに来てもらう。英雄になれ。結果的にお前はここに生きるすべての生き物を救った。お前の思惑とは別に、だ。栄誉は受けてもらう」
「断る。それもいいと思ったが、我は我のやり方で世界を手に入れる」
「ふざけるな。絶対に連れて行くからな」
「力ずくでいくか?」
「それもいいかもな。今なら力ずくでいける。魔力がなければ手ごたえがない」
「そちらこそ精霊剣がもはやないではないか。今の状態でも我が勝つが、全快だったら絶対に我が勝つわ」
魔王が歩き出し、俺は荷物をまとめて追いつき横に並び、にらみつける。
「やってみんとわからん」
「わかる」
「強情だな」
「貴様もな」
「ふん!」
「ふん!」
それから俺たちは同時にそっぽをむいた。
魔王が超巨大星外獣を倒しに行ってから、すでに七日が経っていた。
数日前に超巨大星外獣がばらばらに崩れた。
おそらく倒してくれたのだろうが、魔王はまだ帰ってきていない。
ばらばらになった破片が今も絶えずこの星に降り注いでいる。
被害が出そうな大きさの破片は精霊王やゼビカたちが切り刻んでおり、生きた星外獣が落ちてくることはなかった。
根こそぎ持っていかれたおかげで、魔力がまだ完全には戻っていない。半分といったところか。
剣術だけでも生きていけるので、生活だけならまったく困難ではない。
精霊剣も魔力を吸われた際にすべて消滅したので、もし生きている星外獣が落ちてきたら対処は難しいだろう。
ただ、事の次第を見届けるために、俺は今も祠付近に野宿して生活している。
そして精霊剣なしでも星外獣に対処できるよう修行をしている。
取ってきたウサギを焚火で焼いて、カレー粉をかけて食べる。
それから、俺と魔王が復活したときのことを考える。
「結局ロイが期待していたのは、こういうことだったんだな……」
俺と魔王が結託すれば、星外獣の排除が可能かもしれない。そう目論んで魔王ごと封印を解いたにに違いない。
……いや、これはロイにとっても賭けだったはずだ。俺と魔王が結託しても、超巨大星外獣を倒せる保障などどこにもないのだから。
「結果的には、星外獣を排除できた」
しかし、魔王はまだ帰ってきていない。
「……よもや、よもや死んでいるのではあるまいな」
あれだけの巨大な敵だ。道連れにして殺すほどの壮絶な戦いが繰り広げられた可能性もある。
「だとしたら、許さん」
世間は破壊の爪痕を色濃く残しながら。平穏を取り戻しつつある。
だが、俺の心中は、戦の最中のようにおだやかではない。
決着がまだついていない。こんな中途半端なまま騒動が終わられても、俺は納得できない。
考えて、俺は浮かんでくる思いを頭を振って止めた。
「……まあ、べつに魔王が生きているかどうかなど気にしてはいないがな!」
ウサギを食べながら俺はつぶやく。
「見届けると決めた以上、終わったことを徹頭徹尾確認するまでは納得できん。これは魔王の帰還を待っているわけではなく、星外獣のかけらが降り注ぎ終わるのを待っているのだ」
よくランドが俺にカレー粉や水、食料などを届けてくれるので不便はない。
たまにガゼットやヒューエルがやってきて俺と稽古をしてくれるが、精霊剣がなくても俺の方が強く、あまり張り合いがなかった。
なんともいえない複雑な七日間である。
「で、なんでお前ら集合してるんだ」
俺は今まで敵だったやつらが遠巻きに俺のことを見ていることに気が付いた。
「私たちはウルカ様の部下だからだ」
ブランク――いや、本名はフェネンというらしく、そいつが世話係っぽい女性たちを連れていた。
「俺たちはもうすぐ《魔弾》発射のカウントダウンの時間制限になるから、魔王様に更新してもらわないと……」
ライジングら今まで敵として出会ってきたやつらは焦燥に駆られた表情だ。
たしかに男どもの額を見ると《魔弾》の魔法陣が浮かんでいた。
「お前らそうやって魔法で脅されて今まで言うこと聞いていたのか。まあ時間が来たらあきらめるんだな」
「そんな……」
しかしうっとうしいな。
どこかにやるか、それとも剣の修行につきあってもらうか。
ブランクはかなり腕が立つからな。祠のある山一帯を範囲として、全員対俺で模擬戦でもやってみるか。
俺はウサギを食べ終えて立ち上がると同時に、何かが落ちてくる風切り音が聞こえた。
「…………!」
ちょうど俺の真上だった。とっさに半歩下がってよけると、地響きを立てながら着地した魔王がいた。
幼女の姿に戻っている。
「ま、三日というところか。砕けた巨大な塊を細かくするのに手間取ったが、我ながらまあまあの戦果だ。魔剣アノドスは壊れてしまったが……」
魔王は得意げな顔で立ち上がった。
「いやもう七日経っている」
自信満々すぎる魔王の表情に眉をひそめながら、俺は返した。
「七日だと!?」
「ああ、七日だ」
心なしか魔王は悔しそうだ。しかし次の瞬間にはいたずらっぽい笑みを浮かべて言った。
「……我が帰ってくるまで七日も待っていたのか? 心配性だな貴様も」
「んなわけあるか! 破片が落ちてきてるのが心配で動けなかっただけだ!」
「そんなこと言って我のことが心配だったのではないか?」
「寝言は寝て言え」
「やるか?」
「張り合いがなくて困っていたところだ。相手してもらうぞ」
「ふん」
魔王は魔法陣を構え、俺は腰のブロードソードを抜こうとして、やめた。
「いや、まだいい。幼女になっているということは魔力を使い果たしたのだろう。全快してから決着をつける。今やってもつまらん」
「貴様も律儀だな」
魔王はあきれていた。俺は毅然として言い放つ。
「ファスターに連絡して迎えに来てもらう。英雄になれ。結果的にお前はここに生きるすべての生き物を救った。お前の思惑とは別に、だ。栄誉は受けてもらう」
「断る。それもいいと思ったが、我は我のやり方で世界を手に入れる」
「ふざけるな。絶対に連れて行くからな」
「力ずくでいくか?」
「それもいいかもな。今なら力ずくでいける。魔力がなければ手ごたえがない」
「そちらこそ精霊剣がもはやないではないか。今の状態でも我が勝つが、全快だったら絶対に我が勝つわ」
魔王が歩き出し、俺は荷物をまとめて追いつき横に並び、にらみつける。
「やってみんとわからん」
「わかる」
「強情だな」
「貴様もな」
「ふん!」
「ふん!」
それから俺たちは同時にそっぽをむいた。
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