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第8章 国立学校編
みんなへの報告
しおりを挟む俺達は先ほどみんなに見送られた部屋へと転移をして帰ってきた。
部屋ではみんなソファーに座って何かを話し合っていたが、俺たちが転移してきたことに気づくとこちらへとやってきた。
「どうだった、王妃たち?」
スコットさんは真剣な顔で俺に聞いてきた。
俺があっちで見た事や起きた事をを皆に聞かせると、皆一様に深刻そうな顔になった。
「王妃は度々神父から『隷属の魔法』を重ねがけされていたていたから深刻な被害を受けたのかもしれないが……そういえば長年かけられていた、といえばこの王都の住民もそうかも知れないな。あの神父になってから何年になるのかわからないが、毎年この前の様な儀式があるんだ。その度にかけられていたとしたら、徐々にこの街の住民が神父に支配されていくってことだ。行動まで支配されるほどに魔法がかかると、一体何をされるか分かったものじゃない。」
リッキーが苦々しそうな顔でそう吐き捨てると、リーシェさんも頷いて「そこが怖いところですよね。」
と言った。
「やはり神父は国家転覆を狙っているんでしょうね。国民がみんな操られてクーデターが起こり、第1王妃は証拠隠滅の為に死に、国王の血の流れない子を旗印にして『隷属の魔法』で操る……意外と『その時』は近いのかもしれませんね……。」
リーシェさんは自分で今後起こりそうな事をあげているうちに、その可能性に気がついたようだ。
そう、もうすでに何年も前から準備をされていたのだから、いつ『その時』が来てもおかしくはないのだ。
何故なら、先程見た第1王妃の状態が如実に物語っている。
彼女は多分、今夜回復の為に『隷属の魔法』の解除をしていなかったら、1か月は確実に保たなかっただろう。
そしてその頃になるとエドモンドの『隷属の魔法』が定着し、自分の思った通りに操ることができるようになるだろうとリーシェさんが言っていた。
でも今回それを阻止できたので、少しは時間が稼げるだろう。
神父がエドモンドの様子をまた見に来た時に、魔法の効果があまり無かったと思って重ねがけをした場合、その時はまた解除しに行かなければならないだろうが……いつまでこっそりと行動ができるだろうか?
「ところでシエル、さっきみんなと話していたんだが、明後日は1学年の生徒全員での遠征授業だぞ。引率は俺達とマール先生、そしてリーシェさんの6人だ。いつもならもっと少ない人数で行くんだが、今回は王族3人組も行くことになっている。だからいつもならいないはずの王国騎士団からも腕の立つ数名が護衛に来ることになっているんだ。いつもならすぐ近くのあのダンジョンへと行って1階層を回って帰ってくるのが常なんだが、今回に限って騎士団も参加しているからと『行けるところまで行く』という話になったらしい。……なんかきな臭くないか?」
リッキーが顔を顰めながらそんな事を言った。
……えっ、騎士団も来るわ、ダンジョンの中を行けるところまで行くなんて事になるわで異例づくしなの!?
この案、一体誰がそんな立案を……?
俺はチラッとリーシェさんを見ると、彼は首を激しく横に振り「私ではないよ?」と言った。
「悪いんだけど、この件に関しては全く関知してないんだよね。一体誰が決めたんだろうね?……まぁ、君たちがいるなら騎士団がいるより心強いけどね。というか、いると邪魔になったりしてね?」
リーシェさんは「まぁ、冗談だけどさ!」と言って笑った。
……でも案外それはあり得るかもしれない。
だって俺の実力を知っている人が来るなら平気で何かあったら助けられるんだけど、そうじゃなかった場合や思ったより弱い人が来たら俺たちが守らなければならなくなる。
生徒も騎士団も守りながら進まなければならないとなると、かなりの精神的ダメージがありそうだ。
俺は1つため息をつくと、リーシェさんに「騎士団のメンバーは決まっているんですか?」と聞いてみた。
「ん~~~……どうだろう。実力者というならまずは騎士団長のミラーは来そうだよね。他は……副団長かな?いや、まずは何人来るんだろうね?」
リーシェさんは首をひねりながらそんな事を言っている。……この分じゃ本当に何も知らないんだね。
「ともかく、何かあったらシエル君、君が結界を張って欲しいんだ。頼めるかな?」
リーシェさんは少し申し訳なさそうな感じで俺に頼んできた。もちろん俺は快諾だ。
「それはもちろんですよ。元々クラスメイト達は何かあったら守る予定でしたし。あとは俺が守っている間に他の人が戦ってくれれば心強いですね。」
「分かっているよ、シエル君。もちろん私も頑張るけど、リッキー達がいるじゃないか。心強いなんてもんじゃないと思うよ?」
リーシェさんは俺の返答にそう答えるとウインクをしてくる。……まぁ、確かに!
そんな感じで、みんなと行くダンジョンは今からちょっと浮かれてワクワクドキドキしているよ!
だって、ついこの前行ったばかりの所だから、どんなところかよく分かっているもんね!
……あれ?
『分かっている』で思い出したけど……前に行った時と違って出現する魔物が少しだけ強まったって、ロックさん言ってなかったっけ?
そんな所、まだ殆ど戦えないクラスメイトが行っても大丈夫なんだろうか……?
俺はそんな事を思い出した途端、なんとなく不安になってしまったよ……。
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