異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

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第8章 国立学校編

クラスの遠征当日 6

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クラスメイト達とはぐれてしまった翌日。
俺はローラの叫び声で目を覚ました。

「きゃ~!シエル、魔物が!」

……なんだよぉ、結界の外にいるんでしょ?

大丈夫だよ、俺が寝ていても結界は働いているからさ。……もう少し寝かせて?

俺のそんな心の声も虚しく、外にいたらしきローラはテントに飛び込んでくるとベッドにまだ寝ている俺に近寄りシーツごと俺をベッドから落とした。ひ、酷い!

「痛いなぁ……。ローラ、魔物は結界から入ってきてないんでしょ?なら俺が解除するまでは安全だよ。」

俺がまだ眠い目を擦りながらローラの方を見ると、焦った顔のローラがいた。

「違うのよぉ、シエル!それを理解してなかったセインが、まだ寝ているシエルの代わりに戦おうと結界の外へと出ちゃったのよっ!今、クロードも参戦して2人で戦っているの!」


懸命に俺に訴えたローラの言葉で俺の頭はすっかり覚めた。

俺は慌ててテントから出て2人がどこにいるのかを探したが、目に見える位置には居ない。

すぐに索敵魔法を使うと2人は思ったよりも遠くに行っていた。

しかも2人だけではなく、移動している最中のようだ。

「ローラはこの結界から絶対出るなよ!ユーリっ、ここを頼むっ!」

俺はそう叫ぶと、まだ寝ていたユーリにそう頼んだ。

……まぁ、聞こえてなくても結界があるから大丈夫か?

そしてすぐさま索敵魔法で確認した2人の所へと転移する。



進行方向を遮るように転移から出ると、目の前には見たことのない魔物が2人を抱えていた。

その魔物は、まるで神聖法国の高位神官に化けていた魔物のように牛と人を混ぜ合わせたかのような見た目をしていながらも、その目に知性を感じさせる雰囲気を持っている。

「止まれっ!2人をどうするつもりだ!?」

俺のその質問に、その魔物はニヤリと笑うと「さぁてな?」と答えた。やはり人語を理解するんだな。

「……きさま、もしかして神聖法国の生き残りか?」

「フフッ……もし、そうならどうした?ん?神竜の育ての親よ。」

「……っ!」

俺はその言葉に素早く身構える。

もちろん2人を傷つけないように武器は使えない。

あいつは俺のことを「神竜の育ての親」と言った。

……ということは、その情報をどこかで入手した、ということだ。

俺のその情報を知っている者はまだそこまで多くない。

その中には「神聖法国の女神」に通じる者もいる。

その事からも分かるが、間違いなく目の前の奴はあの国の残党なのだろう。



そう判断した俺は、2人を抱えている魔物を観察する。

魔物はゆっくりと俺から離れる様に動いているようだ。

これは逃げようとしてるなと判断を下し、俺は転移で一気に懐まで入り込む。

相手は俺がそんな芸当ができると思っていなかったのか、ぎょっとした表情をして両脇に抱えている2人を乱暴に振り回した。

俺は2人にぶつからない様に躱しながら、隙をうかがう。

俺が手を出さないことに気づいた魔物は、2人のうちの1人、セインを遠くに放り投げた。

その落下地点を見て、俺は慌てて向かう。

その場所が枯れ木で鋭利な槍みたいになっていたからだ。あのままでは串刺しになるかもしれない。

普通に向かっては無理なので、空中にいる間に転移して受け止める。

そのまま俺はクロードの方を見たが、すでに姿がなかった。

俺はセインを結界で囲むと、索敵魔法で2人の居場所を探る。

どうやら奴は俺と違って転移できないらしく、自力で移動しているらしい。

だがその進行方向は先ほど2人を抱えていた時と同じ方向なので、その先にこのダンジョンを抜けるための場所、25階層のボス部屋があるのだろう。


俺はその進行方向に見当をつけて転移をする。

するとやはり予想通りに以前見たボス部屋が視線の先に建っていた。

振り向いて確認をしたが、奴はまだ姿は見えないがどうやら俺の予想通りに進んできているようだ。

それならと俺はボス部屋の脇の草影にしゃがんで身を隠す。

程なくして奴がクロードを抱えてこちらへとやってきた。

たまに後ろを確認しているところを見ると、奴は周りの状況を目視でしか確認できないのだろう。

それが分かったので、前を見てボス部屋が見えた事で奴が油断しているところを真後ろに転移する。

「っ!?」

奴が振り向いた瞬間に、俺は掌に集めていた高密度の魔力の塊をその体内で破裂するようなイメージで奴の腹へと叩きつける。

すると奴は「うぐっ!」とうめき、クロードを落として跪き、俺はその瞬間にクロードを抱えて奴から距離をとった。

すると奴は荒い息を吐き、上から血を流してこちらを睨みつけた。

「……まさか貴様がここまでやるとは思わなかった。仕方がない、またの機会にするか……。」

奴はそう言うと一気にボス部屋へと向かい、この場から去っていった。

俺もクロードやセインをこのままにして奴を追うわけにはいかないので、追うことは諦めた。



それから俺は1人置いてきたセインを回収し、休憩所へと転移する。

休憩所では心配そうなローラがテントの入り口の所で膝を抱えて座っていた。

そんな彼女は、2人を担いだ俺を見つけると一目散に駆け寄ってくる。

「良かった!なかなか戻らないから心配したのよ!2人も無事なの!?」

俺はテントの中へと2人を連れて入り、それぞれのベッドへと寝かせる。


それからそれぞれに回復魔法を施すと、しばらくして目を覚ました。

2人とも起き出すと不思議そうな顔をして俺を見つめた。

そんな2人にローラが「なに無茶なことしてるのよ!」と言って怒り出す。

「あんた達、シエルに感謝しなさいよ!?私がシエルにあんた達のことを話すとすかさず探しに行ったんだからね!……ホント、無事に帰ってこれて良かったわよ……。」

ローラは最後には涙ぐんで、2人に抱きついた。

2人はローラに「心配かけてごめん」と謝り、俺には感謝の言葉を伝えてくれた。

ホント、攫われる前に見つけ出すことができたし、2人が無事で良かったよね。

俺もこれで一安心だよ!
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