異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

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第8章 国立学校編

クラスの遠征当日 7

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「それにしても、あの魔物はなんだったんだろうな……?」

セインが眉を顰めて、そんな事を言う。

なので俺は、あの魔物と対峙した時の話をかいつまんで話してやった。

もちろん俺の予想も話したが、その予想が何を元にしているのかはまだ話してはいない。

案の定3人はそこに疑問を持ったらしく、「その根拠は?」と聞かれてしまった。

仕方がないので、スノーピークで何があったのかの話もしてやると、3人は驚きで開いた口が塞がらなくなったようだ。

彼らが冒険者というものを知らなさすぎるのもあるのだろう。

「……お前、いったい何者?」

それが、3人が話を聞いた後の第一声だった。



「……にぃにはね、神竜の育ての親、なんだよ。」

突然テントの中に、ユーリのその言葉が響く。

思わずみんなで声のする方を振り返ると、そこにはすっかり起きたユーリがベッドに座っていた。

「……どういうことだ?」

訝しそうな顔でユーリを見るセイン。

聡いクロードはそれで話が分かったらしく、驚きの表情で俺とユーリを交互に見た。

「どうもこうもないよ。そのままの言葉の通りさ。にぃには創造神から選ばれた『神竜の卵を孵して、育てる者』なんだよ。だから僕を育てているの。」

そのユーリの言葉に、セインはやっと理解したらしく、驚いてこちらを見た。

「お前……やっぱり『勇者』じゃないか!」

セインは俺を指さしながらそう叫ぶ。

……ねぇ、君の中の『勇者の定義』って、なんだい?

「……『勇者になる資格』があっても、俺はならないよ?そんな『身動き』の取れない立場になんてなりたくないからね。」

俺は肩をすくめて、改めてそう伝える。

するとセインは「ホント、欲ねぇなぁ。」と肩を竦める。……おや?以前と違って押してこなくなった?

「まぁ、その力をこの国の為に使ってくれるのが一番なんだが……しょうがないよな。それにしても以前の俺なら、お前が断った時点でめっちゃイライラしてしょうがなかったはずだ。だが今は無理強いをしようとすることはあまり考えなくなったな。これも『隷属の魔法』の影響がほぼ無くなったから、なんかな……。」

セインはそう言って、自らの手を見ている。

やはりそれは大なり小なり影響はあったとは思うね。



「ところで、このダンジョンから外に出る方法はどうするんだ?」

クロードが俺にそう聞いてきたので、俺は「25階層のフロアボスを倒せば1階層の転移装置まで転移できる転移石が出るんだよ」と教えてやった。

とりあえず俺はこの場にいる人数は平気で転移させることができるので、まずは朝ごはん食べてから向かうことにする。

かなり遅めの朝食を俺の手持ちの食事から選んで食べ、皆で手分けしてテントや結界を片付ける。

それが終わると早速俺の転移魔法で、先ほどあの魔物を追っていった時に見た『ボス部屋』へと転移した。



「ここがこのフロアのボス部屋なのか?なんか……ただの小屋にしか見えねぇな?」

セインが小屋を見た素直な感想を言ったが、それは多分初めて見た者の大多数の感想だろう。俺もそうだったし。

「中は……ボスが『変換期』で変わってなければ、巨大な熊の魔物なんだよ。」

俺がちらっと小屋の入り口を見る。

確かここって、中に入らないとボスが出てこないんだったよね?

「確かここのボスは毛皮の毛が硬いから刃物を通さないって言われているんだけど、俺がこの前模擬試合で見せた『武器への魔力コーティング』をすれば意外と簡単に倒せるよ。」

俺はそう言って刀を取り出し、自分の魔力でコーティングをしてみせた。

まぁどうせ俺1人で倒すのだからこんな知識は要らないのかもしれないけど、覚えておいても良いんじゃないかな?


俺の準備ができたので、皆で中へと入る。

もちろん4人には結界の中にいてもらうことにしたら、ユーリも戦いたいと主張してきた。

だが3人を守る者がいないのは、万が一があった時に困ると言って説得すると渋々了承してくれた。

ごめん、ユーリ。ありがとうね!みんなを頼むよ!


俺達が中に入ったことでボスの出現が始まり、何も無いボス部屋の中央に眩い光が集まっている。

やがてその光は目も開けていられないような光になり、弾けるように消えた。

光が収まったので目を開けると、目の前には『変換期』の時よりは小さいが、それでも初めて見た冒険者は戦うことに躊躇するほどの大きさはある。

あの時は横幅5メートルほどあったけど、今出現した魔物は一回り小さい。これなら1人でもいけるね。

「……お、おい、シエル?あの大きさの魔物をどうやって倒すんだ?いくら何でもお前1人では無理じゃね?」

セインがその魔物と俺を見比べて遥かに大きいのを見て、とても不安になったようだ。

「大丈夫……だと思うよ?んじゃあ、行ってくるね!」

俺はそう言って、3人に手を振りながら魔物へと歩いていく。

その途中で魔物の方へと向き直ると、持ち前の瞬発力で一気にフロアボスへと肉薄する。

相手はそんな俺を見て鋭く右手を振り下ろしてきたが、俺がその手を掌側から刀で切り上げるとそこまで力を入れなくてもその腕をスッパリと切り落とす。

そしてそのままの流れで舞うように振り下ろしてきた左手を躱すと、今度は左腕を肩から切り落としつつ、袈裟斬りで刀を振り下ろした。

熊の魔物はそれが致命傷となったようで、次の瞬間にはドロップ品へと変わる。

今回のドロップ品は3種類で、前回と同じく毛皮と魔石、人数分の転移石だった。



俺が4人を包んでいた結界を解くと、4人は一斉にこちらへと走り出した。

「おっまえ、めちゃくちゃ強いんだな!初めて実戦を見たが、これはさすがに『スノーホワイト』の一員だけあるなっ!」

セインは興奮した様子で俺にそう言う。

クロードやローラも何だかキラキラした目で俺を見ているような気がした。

するとユーリが俺に飛びつき、「にぃには僕のなの!」と言ってみんなを牽制する。

……ユーリや、俺は物じゃないよ?


そんなこんなでいろいろあったが、俺たちは無事に25階層の転移陣を利用して1階層へと戻ったのだった。
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