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第8章 国立学校編
王都
しおりを挟む「フフッ、我々を討伐しないのかい?討伐したっていいんだよ?できるものなら、ねぇっ!!」
神父は会話の間に魔法を準備していたのか、こちらに向かって火の玉を何発も連射してきた。
俺たちはそれらを避けたのだが、側にいた結界に包まれた魔物にぶち当たる。
神父は更に何度も火の玉を魔物にかけた結界に向かってぶつけていたが、全く結界は揺るがなかった。
……その程度の攻撃では結界は壊せないよ?
「チッ!結界を張っていましたか。しょうがない、私自身が戦うしかないですね!」
神父はそう言うと武器を取り出し、俺に向かって突進してくる。
相手は両手に短剣を持ってかなりのスピードで切り込んできたが、まだまだ俺の目で追える速度だ。
見ることができれば、避けるのはそんなに難しくない。
「……ちょこまかと動きやがって!これならどうだ!」
神父はそう言って魔法で短剣を浮かし、こちらへ次々と飛ばす。
俺はそれをヒョイヒョイ!と避け、一気に近寄ると持っている刀でみぞおちと首の後ろを素早く峰打ちすると、神父はあっさりと地に沈んだ。
ふぅ~……これで一安心だね!
とりあえずこの場にいる魔物は全て制圧すると、ちょうどよく外を見てきたセバスが帰ってきた。
「外はどうだった、セバス?」
俺はセバスに声をかけるが、眉間にしわを寄せたセバスはすぐには答えなかった。
ん?一体どうしたんだろう?
「……シエル様、この建物の外にはエミリーさんが作った氷の壁があって中に入れませんが、どうやら操られているらしき市民の方々がいつの間にかこの建物から離れていなくなっています。あまり遠くへは行っていなかったのですが、見える範囲で街の方から火の手が上がっているのが見えました。このままでは街が広範囲で焼け野原になってしまうかもしれません。いかがいたしましょう?」
外を見てきたセバスはそう言って、次の行動をどうするのか聞いてきた。
マジか!そりゃ大変じゃないのさ!
俺は慌てて外へと向かった。
教会の入り口から外へと出ると、確かに遠くの方で黒い煙が上がっているのが見える。
あの位置なら……多分庶民の住んでいるところじゃないかな?商業区画や貴族の区画ではなさそうだ。
「にぃに、僕に乗る?」
そう言うと、ユーリは一人乗り用サイズへと変化した。そうか、それなら機動性が上がるね!
俺はすぐさまユーリにまたがり、王都の上空へと舞い上がる。
すると確かに庶民の住宅がある区画で火の手が上がっている。まだ2、3軒ほどの火事で済んでいるようだ。
俺はすぐさまユーリに現場へと向かってもらい、上空で静止してもらう。
よし、こうなったら広範囲で大量の雨のように水を降らせるか!
俺はユーリにさらなる上空へと上がってもらい、自分の眼下に1つが飴玉くらいの大きさの水滴を火が出ているところを中心に、かなりの広範囲でその水滴を降らせた。
火の出ている所は特に集中的に降らせなきゃね!
するとみるみるうちに火が消えていく。
周りの民家もびしょびしょだから延焼することもなさそうだ。
俺は火が消えてもしばらくはその『大粒の雨』を降らせ、確実に火が消えるまではやめなかった。
そうこうしていると、今度は商業地域の方でも白い煙が上がる。
俺はユーリとすぐさま向かい、素早く消火する。
こちらは火の手が上がったばかりだからすぐに消え、ボヤ程度ですんだようだ。
そうやってあちこちで火の手が上がるとは俺とユーリで素早く火を消す作業をしていて気づいたのだが、どうやら火をつけている犯人は市民ではなく騎士団の制服を着ている奴かもしれない。
あちこちの現場の直ぐ側で何人もの騎士団の制服を着た人がいたのだ。
だがその人達も俺の『大粒の雨』のさらなる巨大化バージョンを食らうと一旦倒れ、頭を振って起き上がるとまるで「なんで俺、ここにいるんだ?」と言わんばかりに揃って首を傾げている。
……なるほど、これが騎士団にかけた命令なのかな?
それとも……本来は違う命令だったのかもしれないが、もしかするとミラー騎士団長がなんとか違う命令に書き換えたのかもしれない。
神父の口ぶりからすればまるで騎士団が殺戮を繰り広げているかのような印象を受けたが、実際は火事をおこすだけで済んだようだ。
「お~い、シエル君!そんな所でどうしたんだい?」
ふと下から声がしたので見下ろすと、そこにはリーシェさんと数名の魔法師団員がいた。
俺はすぐにユーリと地面へと降り、リーシェさんへと駆け寄る。
「リーシェさん!大丈夫でしたか!?」
俺はリーシェさんが騎士団や魔法師団に声を掛けると言っていたので、少し心配していたのだ。
だが今見ているリーシェさんはどこも怪我をしていないようだ。……今見た感じでは、だけど。
「あぁ、大丈夫だよ。最初に騎士団に声をかけに行って正解だったよ。そうじゃなかったら知らない間に街で騎士団が暴れまくって市民に犠牲者が出るところだったよ。」
リーシェさんは苦笑いをしながらそう言った。
「私が向かった時、ちょうど騎士団が城の入り口に向かって行進してきているところだったんだ。だけど私が声をかけても全く反応がなくてね。目も虚ろな目をしているから、何かおかしいと感じてすぐに全員を結界に閉じ込めたんだ。すると結界に向かって腰に下げている剣を振り下ろして破壊しようとしてね。通常なら私の結界がそんなもので壊れるわけがないって分かっているはずなのに。だからそんな事をするってことは正気じゃないって判断をした所にミラー騎士団長がやって来たんだ。彼は皆の状況が分かっていたかのように『人は殺すなよ!』とだけ言って立ち去ってね。すると結界を武器で叩かなくなったから結界を解除したんだけど……まさか火をつけだすとは思わなかったよ……。」
リーシェさんはそう言うとため息をついた。
……なるほど、そんな事があったんだね?
でも騎士団だけで良かったよ。
これがもし魔法師団にまで被害が及んでいたら、この王都はとんでもない事になるところだった。
とにかく、これで騎士団のメンバーはみんな正気に戻っただろうか?
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