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第9章 ネシアのダンジョン編
さぁ、ダンジョンへ行こう!
しおりを挟む翌朝、俺達は朝食を食べると一旦宿の人にダンジョンに潜りに行くことを伝えた。
すると宿の人は「お泊りの部屋はなかなか宿泊される方はいらっしゃいませんので、いつでもお泊りになられても大丈夫なようにしておきますね」と言って送り出してくれた。
それに親切にも、お土産のように『お弁当』も人数分用意してくれたんだよ?ありがたいね!
それして現在。
俺達はネシアの門の外にいる。
この場には、一緒に潜る予定のヒューザ、パニアさん、クーガーもいる。
門番さんは俺たちの他の3人にちょっとびっくりしていた。特に、クーガーにだ。
だってクーガーはリッキーにあんな大怪我を負わせた相手で、かなり酷いことをしてきていたのを知っているから、なおさら不思議そうな顔をしているのだ。
たがそこは兄のパニアさんが「今は少しこいつも丸くなったんだよ」と言うと、すんなりと納得してくれた。
「みんな気をつけて行ってこいよ?また無事な姿で会えるのを楽しみにしているからな!」
門番さんはそう言って俺たちを送り出してくれる。
「さて、こうやってみんな揃ったのは良いんだが……その『ブレイズ』っていうダンジョンはどこら辺にあるんだ?」
ヒューザがパニアさんやスコットさん達にそう話しかけた。
そうだよね、森の中だとは聞いているけど……森ってここからするとかなりクレイン寄りだよね?
移動……どうするのかな?
「これから潜る予定の『ブレイズ』はこの前も話したがどちらかというとクレイン寄りなんだ。だからかなり遠いから歩いていくのも大変なんだ。……そこで、実はユーリを通して1人助っ人を呼んである。」
スコットさんはニヤリと笑うとユーリを見る。
……え?俺、聞いてないよ?
そんな俺の視線を受け止めながら、ユーリはスコットさんに1つ頷き返す。
「うん、もうすでに頼んであるよ!……グリー!」
ユーリはそう言うと、大きな声でグリーさんの名前を呼んだ。……えっ、グリーさんを呼ぶの!?
すると次の瞬間、何の前触れもなく目の前の地面につむじ風が吹き荒れた。
それが落ち着くと、目の前には4属性竜の長であるグリーさん……だけじゃなく他の3人もいた。……えっ、勢揃い!?
俺が驚いて4人を見ていると、代表してグリーさんが「お久しぶりやな!」と片手を上げてにこやかに話しかけてきた。
「……あれ?グリーだけじゃなくてみんな揃って来ちゃったの?」
ユーリが思わずそう言うと、グリーさん以外の3人は口を揃えて「グリーだけユーリ様と行動する機会が多くて狡いです!」と言った。
確かにそうだね、グリーさんはよく俺たちと行動していたもんね?
そりゃあ他の3人は羨ましがるよね。
「……それで?もしかして揃ってダンジョン攻略に参加しようって事なの?」
ユーリが眉間にしわを寄せながら3人に聞くと、3人は必死に訴える。
「だって、しばらくユーリ様に会えていなかったじゃないっ!」
「それにダンジョンなんて、私達も行ったことないですからね!」
「そうですよ。グリーだけをその楽しそうな事に参加させるのは、いささか不満があります。」
3人ともユーリに向かってそう訴えるので、ユーリも少し考えるところがあったようだ。
「……しょうがないなぁ。わかった、今回は他の3人も来ていいよ。」
ユーリのその言葉に、4人はとても喜んでいる。
そちらは喜んでいて騒がしいのだが……反対にこちらのメンバー、特に獣人3人は何が起こっているのかよく分からないといった顔だ。
「スコットさん、もしかしてグリーさんの背中に乗せてもらって移動するつもりだったんでしょ?」
俺はスコットさんに確認をすると、肯定の返事があった。
「で、グリーさんが来る時に外の3人がついてきたと。そういう事なんだろうね。パニアさんはグリーさんの事は知ってますよね?」
「あぁ、知っている。『見た』からな。そうか、元に戻ってみんなを乗せる気だったんだな?」
「ええ、そのようですよ?ただ、それ以外にもおまけの3人が来てしまったので、ダンジョン攻略は案外楽かもしれませんね。」
「……もしかしてあの3人も?」
「ええ、なにせ『4属性竜の長』っていうくらいですからね?」
パニアさんの言葉に対して、俺はニヤリと笑うとそう言った。
他の2人は話の内容がいまいち分からないので、疑問顔だ。
俺はそんな2人にも、さっき登場した4人が『4属性竜の長』達であること、この4人はまだ幼いユーリのことを守る存在であることを教えてやった。
……だけどやっぱり、信じてはいないようだね?
「まぁ……こんな所で立ち話もなんやから、さっさと向かいましょか~?」
グリーさんはそう言うと、一人で空いている場所へと向かい、一瞬で元の姿へと戻る。
今回は人が多いので、元のサイズより大きいドラゴン姿だ。
それを見たヒューザたちは目を見開き、呆然としている。……そんな事してないで、さっさと乗るよ?
俺は2人の背中を押しながらグリーさんの背中へと促す。
俺は一旦みんながグリーさんの背中に乗ったのを確認すると、落ちないようにすぐさま結界を張って安全を確保する。これなら転げても結界で止まるからね!
みんながしっかりと座ったことを確認したグリーさんは、その大きな翼を土埃を上げながらゆったりと羽ばたかせる。
するとグリーさんの巨体が羽ばたくたびにゆっくりと上昇していった。
「ほな出発しましょか~?」
ある程度上空に来るとグリーさんはそう言った。
それに対してスコットさんは指を差し、行き先の方向を教える。
「じゃあとりあえずその方向で進みまっせ?途中進路変更するならはよ言ってや~。」
グリーさんはそう言うと翼を力強く羽ばたかせると、一気に加速する。……結界あって良かったよね。
見る見る間に景色が変わっていくのを見て、獣人3人組は驚いていた。
怖いとは思ってないようで良かったよ。
するとあっという間にクレイン国との国境に当たる森が見えてきた。
実はこの森を過ぎるとローランの街があるのだ。
「ここに来るまでにかなり植生が変化したな。まさか国から離れるとこんなにも植物が多いとは思わなかった。」
驚いたようにそう言ったのはクーガーだ。
彼は本当に街から出たことがないのだろう。
ヒューザもキョロキョロとしてはいるが、驚いてはいない。
彼は弟から色々聞いていたらしく、「実際に自分の目で見るのが楽しみだ」とこの前言っていたのだ。
そこからも、ヒューザ兄弟はとても仲が良いのがうかがえる。
「さぁ~て、どの辺にダンジョンがあるんでっか?」
グリーさんはそう言いながらゆっくりと上空に停滞している。
「グリー様、申し訳ないんですが、確かあの辺にあるはずなんです。あの巨大な岩が森に入っていく目印になっているんですよ。あの辺に降ろしてもらえますか?」
パニアさんはグリーさんに指を差しながらそう言うと、グリーさんは進路を少し変えてそこを目指した。
指定された場所な到着すると、姿勢を低くして皆が降りやすくする。
悠馬はスコットさんが姫抱っこして降ろしてやっていた。……本人、恥ずかしそうに顔を手で隠していたけどね!
みんなが地上に降りると、グリーさんも人型に戻る。
「じゃあここからは行ったことのある俺が案内するよ。スコットたちは行ったことはないって言っていたろ?」
「ああ。実際にはないな。人伝てにダンジョンがどんな所かは聞いてはいるが、それも道に関してはクレイン側からの道順しか知らないんだ。」
スコットさんはパニアさんの問いかけに肩をすくめてそう言った。
パニアさんはそれを聞いて頷くと、先頭を切って歩き出す。
直ぐ側の大岩近くの森の端から森の中へと入り、魔物と遭遇しないかどうか警戒しながら前へと進む。
もちろん俺も索敵魔法で調べながら向かっているから、敵が現れてもすぐに対処できるよ!
そうやって15分ほど歩くと、急に開けた場所へと到着する。
ここは丸い円形の広場が広がってはいるんだが、空を塞ぐように木々の枝葉で天井が出来ている。
だからさっき上空から見てもよくわからなかったんだね?
でも木漏れ日で明るくなっているので、ジメジメしたり鬱蒼とした感じでは全く無い。
そんな広場の中央に、まるで『かまくら』のような物が見えた。
多分あれがダンジョンの入り口なのだろう。
「さあ、あれが目的地のダンジョン、『ブレイズ』の入り口だ。気を引き締めていくぞ!」
パニアさんはそう言ってみんなに気合を入れる。
そうだね、ダンジョンって案外危ない所だもんね。
俺も両頬を手で叩くと、自分なりに気合を入れた。
さあ、これから始まる新しいダンジョン『ブレイズ』……どんなところなのか楽しみだね!
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