異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

文字の大きさ
395 / 529
第9章 ネシアのダンジョン編

ダンジョンに入ろう!

しおりを挟む
早速だがかまくらのような見た目のダンジョン入り口から俺たちは揃って中へと入る事にした。

このダンジョン、入り口には管理するような人や建物は見当たらない。もしかして管理されてないのかな?

「ねぇ、スコットさん。ここってクレイン国のダンジョン『ロック』と違って管理する人いないんだね?」

「ああ。ここは国境として認識されている森の中だから、クレイン国の物でもネシア国の物でもないんだ。当初はクレイン国に近かったから兵士を置いたりして管理していたんだが、それに対して『待った』がかかったらしい。そりゃ『国境の森』なんだからネシアからそう言われるとは思うけど、これだけ近いとダンジョンから魔物が溢れ出した時に被害を受けるのはネシアではなくクレインだ。それで苦肉の策として最寄りのローランの街に、クレイン国の魔法師団長のリーシェさんの息子であるルーシェが冒険者ギルド長として配属されたって聞いたぞ?それにルーシェなら街1つを結界で覆うことも可能だからな。あいつ、ああ見えてAランク冒険者だからな。」

俺の問いかけに対してスコットさんは、とてもわかりやすい説明をしてくれた。

……なるほど、確かにそれなら見張りの人がいないわけだ。

それにルーシェさんがあの街にいることにも納得だね!

「そうなんだね。じゃあスコットさん達の一応の所属ギルドがスノービークじゃなくてローランなのも……?」

「そうなんだ。あそこは森にすごく近いからな。放っておくとすぐに魔物が『巣』を作ってしまう。俺たちはあいつの友達だから、なるべく街に被害がないようにと色々と手伝ってやっているんだよ。」

スコットさんのその話で納得がいった。

俺がこの世界に来た時にいた森。

それはクレイン寄りの、この森だったのだ。

森の幅は空から見た時の感じではかなり広い。

だからどの辺りにいたのかはちょっとわからないし、この場所がどの辺りなのかもよく分からないけど、『あの森』がこの森だったのは確かだ。

あの時、スノーホワイトがいてくれたから、今の俺がいる。

……本当に、どこまでが『神の予定』通りなんだろうな……。


そんな事を考えているうちに、ダンジョンの入り口が目前に迫っていた。

……どんだけ周り見てなかったんだ、俺。

驚いたことなんておくびにも出さずにしれっと皆と並んで歩いて入り口から入ると、急に頭を撫でられて驚いて飛び上がってしまった。……誰だよ、撫でたの!

俺は首を捻って撫でた奴を確認すると、リッキーが苦笑いをしてこちらを見ていた。

「お前、昔っから考え出してるとすっかり周りが見えなくなる癖、全然治ってないのな。」

「……。」

なるほど、リッキーは俺の行動や感情を見ていたのか。

「……でもまぁ、あの時お前を見つけたのが俺達だったのは、あいつの『予定通り』だったんだろうぜ?」

リッキーは前を向きながらボソリと呟くと、前を歩いているリリーさんの隣へと歩いて行った。

俺は前を歩いている二組のカップルを見て、つくづく運命って不思議だな……と思った。

「……なぁ、あいつらってどうなってるんだ?」

ヒューザは俺に後ろからガバッ!とおんぶするみたいに覆いかぶさって、歩きながらだが、耳元でそう囁いた。

「……どうって?」

「誤魔化すなよ、スコットとあの女は婚約しただろ?なら、もう一組はどうなのかな?と思ってな。」

なるほど、ヒューザはこの4人の関係をそこまでしか知らないのか。

「スコットさん達はこの春、身内だけだけど結婚式挙げたよ!リッキー達は親の決めた婚約者同士だし、そのうち結婚するね。」

「えっ、いつの間に結婚したんだよ、スコット!呼べよっ!!」

ヒューザは俺の返答に、思わず大声でスコットさんに叫んだ。

スコットさんはそれを聞いて何を言われたのか理解して苦笑した。

「いや、俺たちは結婚式挙げる予定なかったんだが……こいつらが勝手に俺たちに内緒で段取りを取って、当日驚かせようとしたもんでな。呼ぶ事すら出来なかったんだ。」

それを聞いたヒューザは「なら、しょうがないか」と納得した。

「じゃあリッキー達はいつ結婚式するんだ?その時は俺も呼べよ?」

ヒューザがそう言うと、リッキーは「まぁ……そのうちな?」と返したが、それを聞いたリリーさんはリッキーに肘打ちを食らわせた。……い、痛そうだ。

「いっってぇなぁ!何すんだよ!」

「だって『いつするんだ』って聞かれて『そのうちな』なんて言われたら、待ってる方は怒ると思わない?あんた待ちなのよ?」

「……。」

リリーさんにそう言われたリッキーは、ぐうの音も出なくなってしまった。

まぁ……近い内に結婚式挙げなよ、リッキー!

「それにしても『親の決めた婚約者』って言ってたな?普通、本人同士が決めるもんじゃないのか?」

ヒューザはそう言って首を捻る。

そう、『普通のカップル』ならそうだよね。

でもリッキーはこう見えてもお貴族様だ。

「リッキーはこう見えても辺境伯っていう貴族なんだよ。」

「へぇっ!?あいつが貴族ぅ~!?」

ヒューザは驚いた顔でまたもや叫ぶ。

……いい加減、うるさいんだけど?

それを聞いたリッキーは「良いんだよ、俺は跡目は継がないんだから」と肩をすくめた。

「ふぅ~ん。なら気安く接しても大丈夫だな!」

ヒューザは俺から離れて、嬉しそうにそう言った。

そっか、結局はそれが気になったんだね。

俺はヒューザの言葉に思わず微笑んだ。





その時、急に辺りの音が聞こえなくなった。


「……けた」

……ん?

「……つけ…」

……あれ?

「……見つけた」

……えっ!?


「見つけた」


急に耳元で言われたので驚き、その声にゾゾゾッと鳥肌が立った。

そして次の瞬間振り向くと、また周りの音が戻ってきた。

俺の耳元で聞こえたのにその場には誰もいなく、少し離れたところにヒューザがクーガーと一緒に歩いているのが見えた。

俺はその一瞬で全身の毛穴から冷や汗が吹き出たかのように、服がびっしょりと濡れてしまった。



「……にぃにも聞こえた?」

ユーリのその言葉に、俺は思わず隣を見た。

そのユーリの表情は険しいもので、声をかけられないほどの威圧感がある。……一体どうしたんだろう?

「にぃににも、『見つけた』っていう声、聞こえた?」

ユーリはこちらを見て、改めてそう言う。

俺は真剣な顔で、ユーリに向かって頷いた。

「あの声は何だったんだろうね?」

「分からん。他のメンバーは聞こえたのかな?」

「多分、あれは僕とにぃにしか聞こえてないと思う。」

ユーリは険しい顔のまま、俺にそう言った。

俺はその後の言葉を待ったが、ユーリはそれきり口を閉ざした。


一体、あの声は何だったんだろう……。

俺はこの先のダンジョンに、一抹の不安を感じずにはいられなかった。
しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~

サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。 ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。 木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。 そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。 もう一度言う。 手違いだったのだ。もしくは事故。 出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた! そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて―― ※本作は他サイトでも掲載しています

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

お人好し転生鍛冶師は異世界で幸せを掴みます! ものづくりチートでらくらく転生ライフ

かむら
ファンタジー
旧題:生鍛冶師は異世界で幸せを掴みます! 〜物作りチートで楽々異世界生活〜  剣持匠真は生来の不幸体質により、地球で命を落としてしまった。  その後、その不幸体質が神様によるミスだったことを告げられ、それの詫びも含めて匠真は異世界へと転生することとなった。  思ったよりも有能な能力ももらい、様々な人と出会い、匠真は今度こそ幸せになるために異世界での暮らしを始めるのであった。 ☆ゆるゆると話が進んでいきます。 主人公サイドの登場人物が死んだりなどの大きなシリアス展開はないのでご安心を。 ※感想などの応援はいつでもウェルカムです! いいねやエール機能での応援もめちゃくちゃ助かります! 逆に否定的な意見などはわざわざ送ったりするのは控えてください。 誤字報告もなるべくやさしーく教えてくださると助かります! #80くらいまでは執筆済みなので、その辺りまでは毎日投稿。

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

剣の世界のβテスター~異世界に転生し、力をつけて気ままに生きる~

島津穂高
ファンタジー
社畜だった俺が、βテスターとして異世界に転生することに!! 神様から授かったユニークスキルを軸に努力し、弱肉強食の異世界ヒエラルキー頂点を目指す!? これは神様から頼まれたβテスターの仕事をしながら、第二の人生を謳歌する物語。

追放されたけど実は世界最強でした ~元下僕の俺、気ままに旅していたら神々に愛されてた件~

fuwamofu
ファンタジー
「お前なんか要らない」と勇者パーティから追放された青年リオ。 しかし彼は知らなかった。自分が古代最強の血筋であり、封印級スキル「創世の権能」を無意識に使いこなしていたことを。 気ままな旅の途中で救ったのは、王女、竜族、聖女、そして神。彼女たちは次々とリオに惹かれていく。 裏切った勇者たちは没落し、リオの存在はやがて全大陸を巻き込む伝説となる――。 無自覚にチートでハーレムな最強冒険譚、ここに開幕!

処理中です...