413 / 529
第9章 ネシアのダンジョン編
レッカさん復活!
しおりを挟む翌朝、俺たちはいつものように女将さんに頼んでおいたビーフシチューのような物や汁物、他にもおかずを何品か受け取り、俺の腕輪の中へとしまう。
この中なら腐ったりしないしね!
それを見ていた獣人3人組は少し羨ましそうな顔でこちらを見ていた。
どうやらこの宿の出すご飯の美味しさにハマったらしく、「俺も時間停止のマジックバッグを買っておけばよかった……」なんてガックリとしている。……少しなら分けるよ?
女将さんにまた来るよと挨拶をし、俺達は揃って街を出る。
そこから転移しようかと思ったら、グリーさんが「ほんなら私の背中に乗るといいでっせ」と言ってくれたので、お言葉に甘えて乗っていくことに。
それならばこの国のあちこちを空から眺められて獣人3人組も楽しめるだろう。
流石に街のそばで竜化するわけにもいかないので、少し離れた森の近くまで行く。
そこで竜化したグリーさんにみんなで乗ると、一路4属性竜の長たちの普段いる山の頂上へと向かう。
その途中に王都の上空近くを飛んでいき、街の復興も眺めた。
俺がいた頃よりは燃えてしまった建物も撤去されていて、ちょっと見には火災が発生していたとは思えない。
そしてさらに飛んでいると、スコットさん達の故郷、スノーピークが見えてくる。
その上空に差し掛かった時、なんとなく光が反射したような気がしたが、俺の張った結界の魔道具なんだろうか?
そしてその側の森の上空を飛んで山のてっぺんまで一気に向かう。
グリーさんが頂上の開けた場所に降りると、みんなすぐに降りた。
グリーさんにも休んでもらわないとだもんね!
「ありがとう、グリーさん!おかげで色々見てこれて楽しかったよ!」
俺がにこにこ顔でグリーさんにそう言うと、人化したグリーさんも嬉しそうに「また良かったら空中散歩に行きまっか?」と言ってきたので、今すぐには行かないけれど今度行こうと約束をする。
「じゃあレッカさんを火口に運びたいんだけど、どうしたらいいのかな?」
俺がアースさん達に聞くと、「グリーに乗せてもらって向かうといい」と言われた。おや、案外すぐだったね?
「流石に火口へは僕はついて行けないな。だって水属性だからね。」
「俺もアクアみたいに無理ではないが、グリーほど耐性があるわけではないからな。」
アクアさんとアースさんはそれぞれ行けない理由を教えてくれた。
なるほど確かにアクアさんは無理だろう。水だもんね!
「俺たちは火口の付近で眺めていてもいいか?」
獣人3人組とスコットさんたちがそう言った。
どうやら流石に火口は結界があって落ちないと分かっていても怖いんだそうな。
そこで火口の縁まではグリーさんに連れて行ってもらい、みんなを降ろしたら何があるかわからないので結界を張って待機してもらうことになった。
そうやってみんなに見守られながら、俺とグリーさんは火口の中のマグマが溜まっている中央の小島へと降り立つ。
結界を幾重にも張ってあるからグリーさんも俺も熱くはないし全然平気だけど、周りから見たら不安なんだろうな。スコットさん達の不安そうな顔が見える。
「ここにレッカさんを置けばいいの?」
「そうや。このマグマの中に落としても良いんやけど、あれだけ弱ってたやんか。なら無理はせえへんでこの辺りに置いて徐々に回復させたほうがええはずや。」
グリーさんはそう言って地面を指さす。
俺はその場所にレッカさんを横たえると、急にレッカさんは火に包まれた。
俺が慌てて離れると、火に包まれたレッカさんはどんどん普通のドラゴンへと戻っていく。
完全に元の大きさに戻ると、しばらくしてレッカさんが目を覚ました。
「……ん?ここはどこ?……あれ?もしかして私の住処?」
辺りをキョロキョロと見ていたレッカさんは、羽繕いをするかのように1度大きく羽を広げて身を震わせた。
すると次の瞬間、一瞬で人化したレッカさん。
……もう体は大丈夫なのかな?
「……それで、あの後どうなったのかしら?まぁここにいるってことは無事に脱出できたんでしょうけど。」
レッカさんはそばにグリーさんの姿を見つけると、すぐにどうなったのかを聞きたがった。
なので2人で何があったのかの話をしてやると、レッカさんは顔を顰めて唸っている。
「そうだ、レッカさんにもやっぱりつけていて欲しくて。どうぞ!」
俺は4属性竜の長達の為に作ったアクセサリーを渡す。
最初は遠慮していたレッカさんも、グリーさんが身につけているのを見てつける気になったようだ。
目の前でレッカさんが腕につけてくれたので、俺は少しホッとした。
「それにしてもあのダンジョン、かなり強力な能力持っていたわね。いくら人化しているっていっても火の属性そのものの私の炎をかなり長いこと耐えていたもの。それにあの小部屋の壁もかなり強固だったものね。アースは土属性だから破壊できたのかもしれないけど、この4属性竜の長である私の力をもってしても破壊できないなんて……。ダンジョンってそんな特異な場所なのかしらね?」
レッカさんはそう言って唸っているが、ダンジョン2回目の俺にはよく分からない。
でも少なくても、他のダンジョンはあんな風に冒険者を捕食しようなんて考えていないと思うから、あんな経験はもうないと思うけど……。
とりあえずレッカさんはまだ完璧に本調子とは行かないらしいので、もうしばらくその場所にいるそうだ。
俺たちがその場を離れるとドラゴンへと戻ったので、しばらくはあの姿で過ごすのだろう。
それから俺はみんなのもとへと戻り、一緒に山頂へと戻った。
「いやぁ~、火口も眺め凄かったけど、そこにドラゴンがいるなんて、な!すげぇ経験だったぜ!」
ヒューザは山頂に降り立つとそんな風に興奮しながら
話してくれた。
俺にとってはもう見慣れた事だからリアクション薄くてごめん!
クーガーは火口の縁からマグマに落ちるんじゃないかって不安でしょうがなかったらしく、そんなこと考える余裕はなかったそうだ。
パニアさんはどちらかというとヒューザと同じだったようで、兄弟でも性格はやっぱり違うんだね。
「じゃあ僕たちはここでお別れだね。」
「なかなか楽しかったで、ダンジョンっちゅうもんは。また行く時は誘ってや~!」
「そうだな。今度は皆で踏破しよう。」
スコットさんがグリーさんにそう答えると、3人は嬉しそうな返事をした。
俺たちは4属性竜の長たち3人にお別れの挨拶をすると、転移で一気にネシアへ向かった。
相変わらずの転移での出現に、門番さんは笑って「帰ってきたな?」と言ってくれた。
「みんな無事なようで安心したよ。ダンジョンに潜りに行くって言っていたから、少し心配していたんだ。でも流石闘技大会での実力者揃いだから、何も問題はなかったようだな。」
門番のその言葉に、俺たちは一様に苦笑いをする。
全く何もなかったかっていうとそうでもないからだ。
とりあえず今日はあちこち行って疲れたので、すぐさまいつもの宿へと向かい、いつもの部屋を取る。
ここでも良い笑顔で「お帰りなさいませ」と言われ、なんだかホッとした。
ヒューザ達とは玄関前で別れたが、明日今後の打ち合わせのためにこの宿に来てくれることになっている。
ネシアではあのダンジョンへの遠征など、共同管理をしてもらえるのかを話し合わないとならない。
とりあえず今夜はその事を忘れて、しっかりと旅の疲れを取らないとね!
155
あなたにおすすめの小説
オレの異世界に対する常識は、異世界の非常識らしい
広原琉璃
ファンタジー
「あの……ここって、異世界ですか?」
「え?」
「は?」
「いせかい……?」
異世界に行ったら、帰るまでが異世界転移です。
ある日、突然異世界へ転移させられてしまった、嵯峨崎 博人(さがさき ひろと)。
そこで出会ったのは、神でも王様でも魔王でもなく、一般通過な冒険者ご一行!?
異世界ファンタジーの "あるある" が通じない冒険譚。
時に笑って、時に喧嘩して、時に強敵(魔族)と戦いながら、仲間たちとの友情と成長の物語。
目的地は、すべての情報が集う場所『聖王都 エルフェル・ブルグ』
半年後までに主人公・ヒロトは、元の世界に戻る事が出来るのか。
そして、『顔の無い魔族』に狙われた彼らの運命は。
伝えたいのは、まだ出会わぬ誰かで、未来の自分。
信頼とは何か、言葉を交わすとは何か、これはそんなお話。
少しづつ積み重ねながら成長していく彼らの物語を、どうぞ最後までお楽しみください。
====
※お気に入り、感想がありましたら励みになります
※近況ボードに「ヒロトとミニドラゴン」編を連載中です。
※ラスボスは最終的にざまぁ状態になります
※恋愛(馴れ初めレベル)は、外伝5となります
異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
追放されたけど実は世界最強でした ~元下僕の俺、気ままに旅していたら神々に愛されてた件~
fuwamofu
ファンタジー
「お前なんか要らない」と勇者パーティから追放された青年リオ。
しかし彼は知らなかった。自分が古代最強の血筋であり、封印級スキル「創世の権能」を無意識に使いこなしていたことを。
気ままな旅の途中で救ったのは、王女、竜族、聖女、そして神。彼女たちは次々とリオに惹かれていく。
裏切った勇者たちは没落し、リオの存在はやがて全大陸を巻き込む伝説となる――。
無自覚にチートでハーレムな最強冒険譚、ここに開幕!
異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。
異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。
ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる