416 / 529
第9章 ネシアのダンジョン編
国王との謁見 2
しおりを挟む「……どうして、そう思いましたか?」
スコットさんは表情には出さないが、その声の感じからかなり警戒している感じが受け取れる。
それは陛下も感じたのか、苦笑いをしだした。
「そんなに警戒するでない。別に聞かれたくないのであれば無理には聞きはせん。ただ、我の体には『竜』の血が流れているので、やはり『分かる』のだ。気に触ったのなら、許してはくれまいか?」
陛下はそう言うと、申し訳なさそうな顔をする。
それを聴いたスコットさんは納得したように頷く。
なるほど、陛下の中に流れる『竜の血』か。
それは本能ってことだよね。
竜であればなんとなく分かるものなのだろう。
「まぁ、私らがここにいるってことは、『そういう事』だっちゅう訳や。どうせ先代から聞いてるんやろ?まぁ本人から実際に聞くことは無理かもしれへんが、その子供である父親からは聞けるはずや。もう、気づいてるんやろ?」
グリーさんからのその問いに、陛下は苦笑いで頷く。
なんだ、もしかしてユーリが『神竜』だということはもう知ってるのかもしれないのか。
なら話しても話さなくても同じな訳だ。
「グリー殿の言う通り、我はもう気づいてはいる。いるが……先ほども言ったように、『明確にするため』には聞かないつもりだ。それをこの国で言ったら、問題があると悪いのでな。なにせこの国には『巫女』様がおわすので、彼の方にはよく『聞こえる』のだよ。」
陛下はまるで「シー」と言うように、人さし指を口に当ててそう言った。
なるほど、あの巫女さんは地獄耳だと言いたいんだね?
……この会話も聞こえてるんじゃないのかな?
「で、今回我々を呼んだのにはどんな理由があるんでしょうか?」
スコットさんがそのものズバリと陛下に聞く。
そうだよね、時間がもったいないよ、お昼だし。
早く謁見終わらせて外でみんなとお昼食べたいな!
俺がそんな事を思っていると、陛下から思ってもいなかった提案をされた。
「そろそろお昼であるし、昼食を食べながら話をしようと思うのだが……いかがかな?」
するとそれを聞いた4属性竜の長達は「どんな食事が食べられるだろう」と喜び、俺達は内心「しょうがないな」と思いながらも食事会に参加することになった。
それから俺たちは謁見の場を食事会へと変え、すでに用意された食器の前に座る。
席に座ると陛下から食事を始めると給仕に合図があり、いろいろと食事が運ばれてきた。
どうやらこの国ではフルコースみたいに一品ごとに運ばれてくるのではなく、すべての食事が1度に運ばれてくるようだ。
すべての食事が並ぶと、陛下は「では食べながら話そうではないか」と言ってまずは自らが先に食事へと手を付けた。
それを見て、俺たちも食べ始める。
美味しい食事に和やかな雰囲気となった食事会で、ある程度料理がなくなった頃に陛下から今回呼んだ内容を聞かされた。
どうやらやはりというか、例のダンジョンの事を聞きたいらしい。
パニアさんからの報告だけではネシアの軍を率いてダンジョンへ遠征してもよいのかどうか判断がつかなかったのだそうだ。
「そこで君たちに聞きたいのは、クレイン国の方ではどの様に考えているのかを知りたい。我々は別に戦争をしたくて軍を向かわせるのではないのだが、そこはやはり軍隊だからな。不安に思うこともあろう。そこで、我々の軍をそちらの近くに派遣しても良いか聞いてきて欲しいのだ。」
真剣な表情で陛下はそんな事を言う。
つまりは俺達に『クレイン国との橋渡し』をしてもらいたい訳だ。
まぁ別にそれは問題ないと思う。
俺たちは学園に戻れば王子たちとも友人なわけだし、国王とも多少の縁はある。
だから話くらいは聞いてこれるとは思うんだ。
そういう事情もあるので、スコットさんが代表として了承した。
「多分今はローランの街の冒険者ギルドマスターからクレイン国の魔法師団長へと話が行き、そこから国王へと話が持ち込まれているはずです。ローランのギルドマスターは魔法師団長の息子ですから、息子からの申し出を無碍にすることはあまりないのでは?と思います。特に今回の『件のダンジョン』は再生したばかりで、しっかりと管理をするようになれば凶悪なダンジョンへと変化することはないと思われますので、今が肝心なのです。それはクレイン国の方も分かっていると思いますので、共同管理の話は無事に通ると思いますよ。」
スコットさんのその言葉に、陛下はホッとしたような顔になる。
「それならば我としても喜ばしい話ではあるのだ。……恥ずかしい話ではあるのだが、この国は長きにわたって『巫女』によって守られ、平和であった為に国民のほとんどは元々の本能が薄れてきているようでな。例えばの話だが、今、魔物の大群に襲われた場合には間違いなく国民のほとんどが恐怖に逃げ惑い、そして死ぬであろう。それはこの国の軍隊であっても変わらないと思われる。かくいう我も、竜の血は薄まっていて竜化は望めないので民を守ってやることも叶わぬ。せいぜい背中に羽を生やして空を飛ぶことくらいしかできぬのだ。このままでは万が一、神聖法国と同じく『巫女』が居なくなってしまわれた場合、この国は自国で防衛できぬ。」
陛下は話しているうちにどんどんと眉間にしわを寄せていき、最後にはため息をついてしまった。
どうやらそれほど深刻に思っているのだろう。
「そうやって我が憂いていた所にこの話だ。出来るならこの話はしっかりと話し合い、条約などの公式な文書にしてしまいたいと思っている。その橋渡しをそなた達に託したい。……頼めるだろうか?」
陛下の言葉に、頷くスコットさん。
とりあえずはこの後、俺だけで一旦ローランへ行って話でも聞いてこようかな?
どこまで話が進んているのか知りたいし。
それにそろそろ武器も出来上がっているだろうか?
……あ、ゴーダさんにお土産持っていかないとね!
178
あなたにおすすめの小説
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。
キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~
サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。
ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。
木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。
そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。
もう一度言う。
手違いだったのだ。もしくは事故。
出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた!
そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて――
※本作は他サイトでも掲載しています
猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。
異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。
ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
お人好し転生鍛冶師は異世界で幸せを掴みます! ものづくりチートでらくらく転生ライフ
かむら
ファンタジー
旧題:生鍛冶師は異世界で幸せを掴みます! 〜物作りチートで楽々異世界生活〜
剣持匠真は生来の不幸体質により、地球で命を落としてしまった。
その後、その不幸体質が神様によるミスだったことを告げられ、それの詫びも含めて匠真は異世界へと転生することとなった。
思ったよりも有能な能力ももらい、様々な人と出会い、匠真は今度こそ幸せになるために異世界での暮らしを始めるのであった。
☆ゆるゆると話が進んでいきます。
主人公サイドの登場人物が死んだりなどの大きなシリアス展開はないのでご安心を。
※感想などの応援はいつでもウェルカムです!
いいねやエール機能での応援もめちゃくちゃ助かります!
逆に否定的な意見などはわざわざ送ったりするのは控えてください。
誤字報告もなるべくやさしーく教えてくださると助かります!
#80くらいまでは執筆済みなので、その辺りまでは毎日投稿。
追放されたけど実は世界最強でした ~元下僕の俺、気ままに旅していたら神々に愛されてた件~
fuwamofu
ファンタジー
「お前なんか要らない」と勇者パーティから追放された青年リオ。
しかし彼は知らなかった。自分が古代最強の血筋であり、封印級スキル「創世の権能」を無意識に使いこなしていたことを。
気ままな旅の途中で救ったのは、王女、竜族、聖女、そして神。彼女たちは次々とリオに惹かれていく。
裏切った勇者たちは没落し、リオの存在はやがて全大陸を巻き込む伝説となる――。
無自覚にチートでハーレムな最強冒険譚、ここに開幕!
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
剣の世界のβテスター~異世界に転生し、力をつけて気ままに生きる~
島津穂高
ファンタジー
社畜だった俺が、βテスターとして異世界に転生することに!!
神様から授かったユニークスキルを軸に努力し、弱肉強食の異世界ヒエラルキー頂点を目指す!?
これは神様から頼まれたβテスターの仕事をしながら、第二の人生を謳歌する物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる