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第9章 ネシアのダンジョン編
国王との謁見 3
しおりを挟むそんな話をしていたところに、陛下は急に別な話を切り出してきた。
「ところで……グリー殿。そなたは我の祖父の子供……つまり、叔父に当たるのだろうか?」
それまでとても威厳たっぷりな居住まいだったのに、急に何となくもじもじしだしたと思ったらそんな事をグリーさんに聞いた。……なるほど、それは確かに気になるかもね?
それを聞いたグリーさんは頷き、「そやな。それは間違いない。」と肯定する。
その途端に陛下は少し嬉しそうに、「そうであるか」と頷く。
「我は竜と何らかの獣人との間に産まれた子の、更にその子供なのだ。父上はどうやら他の獣人とは違い、それぞれの種族の子供が交じることなく産まれてくるのではなく、『元となっている獣人の特徴を受け継ぎつつも竜の特徴も一部受け継いだ』子供だったそうだ。父上は我よりももっと竜の血が濃いので、羽を出して飛ぶだけではなく、いざとなれば全身の皮膚を鱗で覆う事ができたのだ。」
陛下はなんだか懐かしいものを見るような目で空中を見る。多分思い出しているんだろうな。
「父上が産まれたのは今から約900年ほど前で、その父上は今から300年ほど前に他界なされた。我もそうだが、父上は亡くなった時でさえもまだ若い見た目をしておった。ちなみに我はそろそろ400歳ほどになるので、もう寿命の半分は過ぎてしまっただろうか。竜の血は父上より薄まっているので、父上よりも寿命が短ければそろそろお迎えがきてもおかしくはないのだ。」
陛下は真剣な顔でグリーさんを見ながらそう話し、一旦言葉を区切った。
それから改めて居住まいを正すと、グリーさんへと頭を下げる。
「そんな我の叔父にあたるそなたには頼みたいことがあるのだ。それは我の息子、アンドリューの事である。あやつはまだ産まれて15年ほどしか経っておらず、いまだに幼い考えをしている。だが我はいつ亡くなるか分からぬので、資した後に残されたあやつのことが心配でな。もしできることならば、我が亡くなった後に息子の後見人になって欲しいのだ。」
そう言って顔を上げた陛下。
なるほど、まだ若い息子がいるんだね。
ってか、何気に俺と同い年なんだけど?
……嫌な予感しかしない。
そんな陛下に対してグリーさんは、なんだか苦虫を噛み潰したかのような顔をしている。
もしかして『後見人』になるのが嫌なのかな?
「……なる、ならないは、今は何とも言えへんなぁ?どんな奴かも分からずに、気軽に『後見人』にはなれはしまへん。ユーリ様もそうは思わへんか?」
グリーさんはとうとうそう言って、ユーリに丸投げしてしまった。……怒られるんじゃないかな、グリーさん?
だがユーリは案外普通の顔で「まぁ確かにね。」と言った。
「君さぁ、確かにグリーは君の叔父かもしれないよ?でもね、君の所には『巫女』がいるんでしょ?彼女に『後見人』になってもらえば良いんじゃないの?」
ユーリからの正論で返された陛下は、少ししょげてしまったような気がする。
「……最初はそれも考えていたのですよ。ですがあのバカ息子、初めて会った『巫女』に暴言を吐きまして……。それ以降、彼女は息子の事を避けてしまっているのです。それだけではなく、もう1人息子を作り、その子を後継者にすれば良いとさえ仰っていて。そんな状態ですから頼めないのです。」
陛下は軽く下を向いて伏し目がちの状態でそんな事をぽつりと話しだした。
……な、なるほど。それは頼めないわな。
だからこその『親戚』な訳か。
それならば流石に口ごたえしても相手は正真正銘の『竜』。逆らえば……だもんね?
でもよく『巫女』に暴言吐いたよね?
あの人って確か、神聖法国でいうところの『女神』だったはず。
まさかそれも知らなかった、なんて言わないよね?
俺は何となくそれはあり得るかもと思い、ちょっと陛下に対して呆れてしまった。
クレイン国のセインもそうだったけど、きちんと親が愛情を持って躾けてやれば『いい子』になったんじゃないのかなぁ?
それともやっぱり家庭教師とかに任せきりだったのだろうか。
そんな事をつらつら考えているうちに話は少し進み、いつの間にか「お試しでクレイン国の国立学校へ編入させる」事になっていた。……え?デジャブ?
「今学校は夏休みというものに入っているらしいので、今のうちにクレイン国の国王へもお伺いを立ててみるか。申し訳ないが、これは後ほど書面を渡すので、それをダンジョンの件と一緒に届けてもらえまいか?よろしく頼む。」
陛下は俺の方を見てそう言って頼んできた。
……まぁ、渡すだけなら良いかな。
俺はそれに関しては了承したことを伝える。
……だけど入れなかったとしても俺の責任じゃないからね?
とにかくグリーさんが後見人になる話は、学校での態度や生活を見て考えることで互いに同意したようだ。っていうか、どうやって『見る』んだろうね?
……俺、スパイみたいなことしないよ?
俺はそう思ってグリーさんを見ると、俺の視線に気がついたグリーさんはニヤリと笑って親指を立てた。
……絶対しないからね!?
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