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第9章 ネシアのダンジョン編
ネシアの国王への報告
しおりを挟む翌日の朝、前回と同じく悠馬、ユーリ、セバスには腕輪の中に入ってもらい、ゼフィアにはリリーさんの影に入ってもらった。
俺とリリーさんの従魔登録を後でしに行くとして、とりあえずは王宮からの迎えを待つ。
今回は、前回ネシアの国王からクレイン国の国王に聞いてほしいと依頼のあった件についての報告をしに行くのだ。
俺たちが宿の受付前まで降りてくると、宿の人に「あ、ちょうど降りてきましたね!今お知らせに行こうと思っていたところでした。」と言われた。
「外に王宮からの馬車が到着しています。」
「どうもありがとうございます。行ってきますね。」
「はい、お気をつけて行ってらっしゃいませ。」
宿の受付の人がそう言って俺たちを送り出してくれた。
外に出ると確かに宿の目の前に王宮からの馬車が停まっていた。
目印は王家の紋章だからすぐに分かる。
俺たちが宿から出てくると、御者が扉を開けてくれた。
それから王宮までの短い時間、俺は窓から外の景色を眺めている。
まるで東南アジアみたいな雰囲気の街並みが『海外にいる』ような気分にさせるが、そこに住んでいる人たちを見ると『海外』ではなく『異世界』だということを実感させる。
……そうなんだよなぁ、俺、異世界にいるんだな。
それに日本での家族や友人が一緒にいる。
……1人以外、見た目違うけど。
でも、それによって『たった1人でこの世界にいる訳じゃない』と、とても安心して過ごせるのだ。
そういう意味では『例のあの人』には感謝してもいいかもしれない。
俺がそんな風に感じながら風景を見ていると、突然頭をポンと叩かれた。
俺はビクッとして横を見ると、リッキーが優しい目で俺を見ていた。
お互い何も言わなかったが、何となく言いたいことが伝わりあったような気がした。
それからすぐに王宮に到着。
御者さんが扉を開けるとみんなどんどん出ていき、結局今回も俺とユーリが最後に出ていく。何故だ?
そして前回と同じように国王がいる所まで案内をされる。
案内をしてくれた門番さんがドアをノックすると、中から国王の声がした。
「では、中へどうぞ。陛下がお待ちです。」
ドアを開けた門番さんにそう促され、俺達は中へと入る。
中では陛下が前回と同じくソファーに座って俺たちを手招きしていた。
たが前回と違うのは、その陛下の隣に見知らぬ男の子が座っていたことだ。
まぁ『男の子』と言っても、俺くらいの身長なんだろう。
そうなると必然的に『国王の一人息子』だとしか思えない。
参ったなぁ……彼には聞かせられないような話もあるんだよなぁ。
俺がそう思っていると、陛下が何も言わないうちにその子が「お前たち、さっさと座れ。」と命令口調で言ってくる。
俺はその王子の言葉や態度にまずいなと思っていると、やはりそれに反応したのが4属性竜の長達だった。
「……なんや、お前。自分を『この場で一番偉い』とでも思うてんのか~?」
グリーさんが珍しくイラッとした感情を表に出しつつ、その王子へとそう言う。
グリーさんもそうなんだけど、他の4属性竜の長達も王子の言葉にムカついたようで、自分の魔力を少しだけ解放して威圧しだしている。
それを見た陛下は慌てて長たちを宥めに間に入った。
「我の息子が無礼を働いてしまい、申し訳なかったですな!まだ子供の事ゆえ、今回は許してやってもらえないだろうか?」
慌てていることで自分が4人に対して頭を下げていることすら気づいていなかったようだが、その父親の姿を見た王子は驚きのあまり声も出さずに陛下を凝視している。
ただ、その父親の姿と4人の魔力量から、この4人が『自分達よりも上』の存在だと認識できたようだ。
その様子を見て、4人はやっと漏らし続けている魔力を引っ込めた。
「本当に申し訳ありませんでした。……お前はもう部屋に戻っていなさい。これから我々は大事な話し合いをするのだから、その邪魔をするようなら出て行きなさい。」
「……。」
父親である陛下からそんな風に言われ、彼も何か言いたい事があったようだが、それを引っ込めて部屋から退室していった。
……良かった、こちらから提案しなくても退室してくれて。
「さて……それでは前回お願いしていた2件の報告を聞かせてもらえるだろうか?」
王子が部屋から出ていってからしばらくして、陛下は俺達に話を振る。
それを受けて、リッキーがクレインの国王からの話を話し出す。
「まず『例のダンジョン』の方から話しますね。クレイン側としましては、あのダンジョンの外側にダンジョンに入るための受付を置き、中へ入る者が悪いことが出来ないようチェックしたり弾いたりする事を約束してくれました。もちろんそちら側からの要請でダンジョンの中に入って救助活動を行うことも合意を得ています。そちら側は国軍がダンジョンに入って訓練や特訓をするという認識であちらにはお話したんですが、間違いはないですよね?」
リッキーのその話を聞くと、陛下は「相違ない。大丈夫だ。」と告げる。
これでとりあえず、あのダンジョンを両国による共同管理することで合意した事になる。
俺はそれを聞いて、やっと肩の荷が下りたような気分になった。
後は『王子留学の件』を話すだけなのだが、これは受け入れてもらえるだろうか?
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