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第9章 ネシアのダンジョン編
王子の留学についての話し合い
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とりあえず『例のダンジョン』の件は両国で共同管理をするっていうことで同意が得られたようなので、近々正式な国同士による『条約』を結ぶことになるそうだ。
多分地球での『条約』とは違って、もう少し緩いものなんだろうとは思うけどね。
「ところで……もう1つの方はどうなったのだろうか?」
陛下は何だかソワソワした雰囲気で俺たちに聞いてきた。
多分こっちのほうが陛下にとってもどっちに転ぶかわからないものだったのだろう。
「ネシアの王子がクレイン国の国立学校へ中途編入できるか?という案件ですが、簡単にいうとそれは『可能』です。クレイン国の国王からは許可をもらいましたので。」
リッキーが当時いた代表としてそう答えると、陛下は改めてホッとした顔をする。
「そうであるか……。それは良かった。」
「ですがその代わりといってはなんですが、1つお願いがあるそうなんです。」
リッキーがそう言うと、陛下は少し身構えて「それはどんな事であろうか?」と聞いてきた。
「それはですね、クレイン国の国王としてはネシアの王子……多分先ほどの子供なのでしょうが、『一人息子』というのが『自分至上主義』という性格に拍車をかけているのではないか、との見解を持っていまして。それで、もしできることならばこちらの女神が言うように『もう1人御子を作ってはどうか?』というのが、クレイン国の国王からの『お願い』になるんですよね。ただ、これは『可能ならば』というのが前提なんです。もし王子の母親である王妃との間に改めて御子を作ることができないならば、新しい王妃を迎えて作ることも視野に入れてもらい、王子が国を離れている間に……と、言っていました。」
「……。」
リッキーのその言葉に、目を瞑って眉間にしわを寄せて考え込む陛下。
やはり王子ではなく自分自身に問題があるのだろうか?
「……あいわかった。まだあれの母親は若いので、もう1人産むことは可能であろう。あの子がそちらの国へ留学している間に頑張ってみようとは思う。それでももし御子を授からなければ、その時はしょうがあるまい。我の後継ぎはあの子で決まりであるし、もしグリー殿があの子の素行を見て『後見人』にならないと言ったとしても、それはあの子の責任である。だがそれでも……それでもなのだが、弟ができることで、あの子が自力でしっかりとした『後継者』としての意識を持ち、立派な人物に育つ可能性があるのであれば、試す価値はあるというものだ。少なくても、我はそう考えている。」
ゆっくりと目を開いて俺たちを見据えた陛下は、しっかりと考えたうえで、ご自身の心の内を嘘偽りなく話してくれた。
それはリッキーを見ていればよくわかる。
陛下の言葉に偽りは何一つ無かったと言うことが。
後は王子の母親である王妃に話をして同意をもらうだけなのだが……陛下の話では彼女もここしばらくの息子の言動が目に余るように感じていたそうなので、多分同意してくれることだろうとの事だった。
ちなみに陛下と王妃は別に『番』というわけではないらしい。
なので、もし陛下の方に『番』が現れた場合は、現在の王妃を第1王妃に、『番』を第2王妃にし、もし王妃に『番』が現れた場合は離縁をするという事は婚姻を結ぶ前からの約束事なのだそうだ。
……なかなか複雑な『事情』なんだね?
とりあえず『王子の留学問題』も両国での合意が持たれたが、こちらは書面で残さずにいわゆる『口約束』でとどめる事に。
なにぶん例の王子にこの事がバレるわけにはいかないのだ。
それから両国の国王がいつ、どこで会うのかの話し合いがもたれ、俺がクレイン国に連れて行くことで話がまとまった。
なので、後で直接クレイン国に行くか、それとも習いたての『魔法連絡』で打診するかしなくてはならない。
む~……陛下を連れて話しに行くのは吝かではないんだが、本当は行かずに話し合いができれば一番良くないか?
それならネシアの方で陛下の護衛がどうとかいろいろ言われなくても済むのでは?
俺がそう思って陛下に聞いてみたところ、どうやら陛下には護衛なる者は存在しないのだそうだ。
この国で一番頑丈な存在なので、自分より弱い者が護衛についても陛下が守らなければならないのであれば意味がないらしい。
それならいないほうが良いという話になったんだって。
まぁそういう事なら、連れて行っても問題はない訳だ。
じゃあ後でリーシェさんに『魔法連絡』で日時を打診するか。
俺もあちらに行くとなんだかんだで時間を取られるからね。
それから俺たちは王宮を後にする。
今回は馬車で送ってもらうことはせずに徒歩で帰ると伝え、さすがに王宮の中で道に迷うわけには行かないので、陛下から兵士を呼んでもらって門までの案内を頼んだ。
門の外に出て少し人目がない場所へ行くと、早速悠馬達を腕輪から召喚する。
近々この街を出発するので、皆で目一杯行きたいところを満喫するこ
まだお昼を回ったばかりだったので、闘技場には周りの屋台で食べ物を買い込んで行ったり、市場ではこの街特有の南国フルーツなどを買ったり、他にも友人達のところを訪ねていったりして過ごし、夕方の日が暮れてから宿へと戻った。
宿の受付の人は俺達が馬車ではなく徒歩で戻ってきたことに少し驚いていたが、俺達の表情が満足げな事に気付いて声をかけてきた。
「今日は行きに王宮からの馬車が来ていましたのでてっきりまたそれで帰ってくるのかと思っていましたが、もしかしてあちこち楽しんでから帰って来られましたか?」
「ええ、もう少ししたらまたこの街を出発する予定なので、今日は馬車で送ってもらわずに歩いて帰ってきたんですよ。久々に会う友人の所にも挨拶に行ったりしてきたんです。」
「それはようございましたね。そういえばお客様たちもこの街には何回も来られていますし、もう街中では迷わずに歩けそうですね?」
「ええ、もうだいぶ迷わなくなりましたね。」
「そうでしたか。」
宿の受付の人はとてもニコニコして話しかけてくる。
本当に俺達がこの街に馴染む事が嬉しいようだ。
それから俺たちは受付の人に部屋に戻ることを告げ、後で持ってきてもらうルームサービスのメニューを伝えてから部屋に戻った。
その晩、夕食を食べ終わった後に次に向かう場所を話し合った。
たが、今関わっている件が終わる頃には俺達の学校の夏休みも終わってしまうかもしれない。
だから悠馬とはこの街を出る時に『あちらの世界』へと帰ることが決まっている。
そろそろ悠馬も夏休みが終了するのだ。
だから本当にギリギリまでこっちにいたことになる。
あちらでは兄さんたちが心配しないのかと思ったら、俺と一緒にいることで安心してくれているそうだ。
まぁ、俺が定期的に兄さん宛に悠馬の写真を送ったりしているから、元気に楽しんでいることは分かっているのもあるのかな?
なにはともあれ、悠馬があっちの世界に戻るとなると寂しく感じてしまうだろうが、また長期休みには遊びにおいでね!
多分地球での『条約』とは違って、もう少し緩いものなんだろうとは思うけどね。
「ところで……もう1つの方はどうなったのだろうか?」
陛下は何だかソワソワした雰囲気で俺たちに聞いてきた。
多分こっちのほうが陛下にとってもどっちに転ぶかわからないものだったのだろう。
「ネシアの王子がクレイン国の国立学校へ中途編入できるか?という案件ですが、簡単にいうとそれは『可能』です。クレイン国の国王からは許可をもらいましたので。」
リッキーが当時いた代表としてそう答えると、陛下は改めてホッとした顔をする。
「そうであるか……。それは良かった。」
「ですがその代わりといってはなんですが、1つお願いがあるそうなんです。」
リッキーがそう言うと、陛下は少し身構えて「それはどんな事であろうか?」と聞いてきた。
「それはですね、クレイン国の国王としてはネシアの王子……多分先ほどの子供なのでしょうが、『一人息子』というのが『自分至上主義』という性格に拍車をかけているのではないか、との見解を持っていまして。それで、もしできることならばこちらの女神が言うように『もう1人御子を作ってはどうか?』というのが、クレイン国の国王からの『お願い』になるんですよね。ただ、これは『可能ならば』というのが前提なんです。もし王子の母親である王妃との間に改めて御子を作ることができないならば、新しい王妃を迎えて作ることも視野に入れてもらい、王子が国を離れている間に……と、言っていました。」
「……。」
リッキーのその言葉に、目を瞑って眉間にしわを寄せて考え込む陛下。
やはり王子ではなく自分自身に問題があるのだろうか?
「……あいわかった。まだあれの母親は若いので、もう1人産むことは可能であろう。あの子がそちらの国へ留学している間に頑張ってみようとは思う。それでももし御子を授からなければ、その時はしょうがあるまい。我の後継ぎはあの子で決まりであるし、もしグリー殿があの子の素行を見て『後見人』にならないと言ったとしても、それはあの子の責任である。だがそれでも……それでもなのだが、弟ができることで、あの子が自力でしっかりとした『後継者』としての意識を持ち、立派な人物に育つ可能性があるのであれば、試す価値はあるというものだ。少なくても、我はそう考えている。」
ゆっくりと目を開いて俺たちを見据えた陛下は、しっかりと考えたうえで、ご自身の心の内を嘘偽りなく話してくれた。
それはリッキーを見ていればよくわかる。
陛下の言葉に偽りは何一つ無かったと言うことが。
後は王子の母親である王妃に話をして同意をもらうだけなのだが……陛下の話では彼女もここしばらくの息子の言動が目に余るように感じていたそうなので、多分同意してくれることだろうとの事だった。
ちなみに陛下と王妃は別に『番』というわけではないらしい。
なので、もし陛下の方に『番』が現れた場合は、現在の王妃を第1王妃に、『番』を第2王妃にし、もし王妃に『番』が現れた場合は離縁をするという事は婚姻を結ぶ前からの約束事なのだそうだ。
……なかなか複雑な『事情』なんだね?
とりあえず『王子の留学問題』も両国での合意が持たれたが、こちらは書面で残さずにいわゆる『口約束』でとどめる事に。
なにぶん例の王子にこの事がバレるわけにはいかないのだ。
それから両国の国王がいつ、どこで会うのかの話し合いがもたれ、俺がクレイン国に連れて行くことで話がまとまった。
なので、後で直接クレイン国に行くか、それとも習いたての『魔法連絡』で打診するかしなくてはならない。
む~……陛下を連れて話しに行くのは吝かではないんだが、本当は行かずに話し合いができれば一番良くないか?
それならネシアの方で陛下の護衛がどうとかいろいろ言われなくても済むのでは?
俺がそう思って陛下に聞いてみたところ、どうやら陛下には護衛なる者は存在しないのだそうだ。
この国で一番頑丈な存在なので、自分より弱い者が護衛についても陛下が守らなければならないのであれば意味がないらしい。
それならいないほうが良いという話になったんだって。
まぁそういう事なら、連れて行っても問題はない訳だ。
じゃあ後でリーシェさんに『魔法連絡』で日時を打診するか。
俺もあちらに行くとなんだかんだで時間を取られるからね。
それから俺たちは王宮を後にする。
今回は馬車で送ってもらうことはせずに徒歩で帰ると伝え、さすがに王宮の中で道に迷うわけには行かないので、陛下から兵士を呼んでもらって門までの案内を頼んだ。
門の外に出て少し人目がない場所へ行くと、早速悠馬達を腕輪から召喚する。
近々この街を出発するので、皆で目一杯行きたいところを満喫するこ
まだお昼を回ったばかりだったので、闘技場には周りの屋台で食べ物を買い込んで行ったり、市場ではこの街特有の南国フルーツなどを買ったり、他にも友人達のところを訪ねていったりして過ごし、夕方の日が暮れてから宿へと戻った。
宿の受付の人は俺達が馬車ではなく徒歩で戻ってきたことに少し驚いていたが、俺達の表情が満足げな事に気付いて声をかけてきた。
「今日は行きに王宮からの馬車が来ていましたのでてっきりまたそれで帰ってくるのかと思っていましたが、もしかしてあちこち楽しんでから帰って来られましたか?」
「ええ、もう少ししたらまたこの街を出発する予定なので、今日は馬車で送ってもらわずに歩いて帰ってきたんですよ。久々に会う友人の所にも挨拶に行ったりしてきたんです。」
「それはようございましたね。そういえばお客様たちもこの街には何回も来られていますし、もう街中では迷わずに歩けそうですね?」
「ええ、もうだいぶ迷わなくなりましたね。」
「そうでしたか。」
宿の受付の人はとてもニコニコして話しかけてくる。
本当に俺達がこの街に馴染む事が嬉しいようだ。
それから俺たちは受付の人に部屋に戻ることを告げ、後で持ってきてもらうルームサービスのメニューを伝えてから部屋に戻った。
その晩、夕食を食べ終わった後に次に向かう場所を話し合った。
たが、今関わっている件が終わる頃には俺達の学校の夏休みも終わってしまうかもしれない。
だから悠馬とはこの街を出る時に『あちらの世界』へと帰ることが決まっている。
そろそろ悠馬も夏休みが終了するのだ。
だから本当にギリギリまでこっちにいたことになる。
あちらでは兄さんたちが心配しないのかと思ったら、俺と一緒にいることで安心してくれているそうだ。
まぁ、俺が定期的に兄さん宛に悠馬の写真を送ったりしているから、元気に楽しんでいることは分かっているのもあるのかな?
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