異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

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第10章 国立学校 (後期)

夏休み明けの学校 3

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クレイン国の王宮にある先ほどの部屋に、俺は転移で戻った。

光が止むと、そこにはもう国王はおらず、いるのはグリーさんとネシアの王子、あとはリーシェさんだけだった。

どうやら忙しい国王はすぐさま仕事へと戻ったようだ。

「お帰り、シエルくん。さあ学校へ向かおうか。」

リーシェさんはニコニコしながら俺に言う。

現在、まだ学校は始まっていない時間だったりする。

それだけ朝早くから色々行動していたのだが、一番大変だったのは両国の国王だろう。

本来ならもっとゆっくりと話をしたりしてから協議に入ったりするものなんだろうが、俺たち学生の都合もあり、早朝一番に調印などをすることになったのだ。



「……なぜ俺様がこの国の学校に通わねばならぬのだ?」

ネシアの王子であるアンドリューがとても不機嫌な表情でリーシェさんや俺を見る。

……さすがにグリーさんは学校の関係者だとは思ってないようだ。

「何故って……君のお父さんがうちの国王に通わせてくれと頼んできたんだよ?聞いてないの?」

リーシェさんは、睨みつけるようなアンドリューの視線を浴びても全く動じてないようで、しれっとそんな事を言った。

それを聞いたアンドリューは眉間にしわを寄せて、ギリリと歯ぎしりをする。

「そんなもの、聞いているわ!聞いてはいるが、全く納得できるものではないっ!何故王族の我が平民も通う学校へ通わねばならぬのだっ!」

「大丈夫ですよ、うちの王族も通ってますから。学校にはほとんど貴族の子息子女が通っていますので、ご安心を。」

「ならば何故、そやつも制服を着ているのだっ!こやつも貴族なのか!?」

ついに怒り出したアンドリューは、俺を指差しながらリーシェさんへと詰め寄る。

……短気だなぁ、こいつ。


俺が呆れた顔でアンドリューを見ていると、それも気に食わなかったのか、こちらを睨みつけてきた。

するとそれを見たグリーさんが間に入ってくれて、「お前、馬鹿なんやな?」と言った。

「っ!馬鹿とはなんだ、馬鹿とはっ!」

「そやろ?だって私、言いましたやん。『シエルさんは神竜のパートナーやで』と。その意味、分かってます~?」

グリーさんが呆れた声でアンドリューに向かってそう言った。

それを聞いたリーシェさんも苦笑いをしている。

そんな2人を見てアンドリューは眉を顰めて「どういう事だ?」と聞いてきた。

「なんや、やっぱり聞いておらへんかったんか。あの国王、子供を放置せずにしっかり教育させなあかんやろ。」

グリーさんはそう言うと、ため息をつく。

その様子を見て更にイライラしだすアンドリュー。

「父上のことは置いておくとして、だっ!一体そいつがどんな存在なんだっていう事を聞いているのに、答えないつもりかっ!?」

グリーさんはそんなアンドリューを見て、無言で彼に向かって片腕を上げる。

するとその腕が突然巨大な竜の手に変わり、アンドリューを握った。

「……お前、誰にもの言うてんねん。お前は自分の父親にもそんな口を聞くんか?あ゙ぁ゙~?」

「……。」

どうやらアンドリューの言葉にキレかけているらしいグリーさん。

いくら俺が目の前にいるからって、そのまま握り潰さないでね?


でも多少は力を込めて握っているのか、アンドリューの身体からミシミシといった音が聞こえ、彼は辛そうな顔をしだした。

アンドリューはそんなグリーさんを見て、彼が正真正銘、純粋なドラゴンだった事を思い出したようで、顔を真っ青にしている。

「このまま握り潰したってええんやで?ここにいるシエルさんは瀕死の状況でも『今、生きてさえいれば』元の状態に戻せるほどの回復魔法が使えるんやからな。死ぬ直前までいっても元に戻せるっちゅうわけや。なら、いい機会や。いっぺんやっとこうか~?」

「いや、やめなよ、グリーさん!学校に遅れるよ?」

本気で握り潰しそうなグリーさんを、俺は慌てて止める。

「おっと……そやな。握り潰すのはまた今度や。そうそう、お前、よ~く覚えとき~?私はお前の曾祖父さんに当たる『風の属性竜の長』の息子や。ちゅうことは、お前の祖父さんと同じ代なんやで。純粋なドラゴンだということも加味すれば、お前なんかよりも遥か上の存在や。そんな存在にお前、そんな口聞いていいと思っとるんか?」

「……。」

「いいか、『風の属性竜の長』を舐めたらあかん。一瞬で何処にでも現れるからな。よく覚えとき~。」

グリーさんはそう言うと、アンドリューを解放した。

なるほど、グリーさんは暗に『常にアンドリューを見張っているからな』と言ったわけだ。

……でも、こいつにそれ、通じるかな……?


すると空気を一新するかのように、リーシェさんが手をパンパンと打ち鳴らす。

「ほらほら、早くしないと学校に送れるよ?この分だと、多分もうセインくんたちは出発したんじゃないかな?私たちも転移で学校に向かおうか。ほら、私につかまって?」

リーシェさんはそう言うと、両手に俺とアンドリューの手首を握ると転移しようとする。

それを見てグリーさんは手を振った。

「また学校でなぁ~。」

「……えっ?」

転移する瞬間のグリーさんの言葉に、思わず声が漏れてしまった。


えっ、それってどういう事!?

学校に堂々といるって宣言したわけじゃないよね!?


俺は頭の中がぐちゃぐちゃになりながら、リーシェさんの転移で学校へと向かったのだった。
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