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第10章 国立学校 (後期)
魔術トーナメント戦 3
しおりを挟むBチームでは一体何があったのだろうと皆が結界の側に来て見ていたが、リーシェさんが帰ってくると蜘蛛の子を散らすようにサーッといなくなる。
Bチームの試合場に到着すると、リーシェさんは俺に観戦しているように言って、自分は審判をしに戻った。
「……なぁ、あっちで何があったんだ?」
すごい気になったのか、セインが俺と肩を組んでそう聞いてくる。
俺は苦笑いをして、先ほどの出来事を話してやった。
「……なるほど、そんな事があったのか。でも彼らの気持ちは分からないでもない。それだけシエルは強いと認識されたわけだからな。でも出来る事なら、シエルの胸を借りる気で全力で戦ってやればいいのに、とも思う。」
「そうだな。俺もそう思うぜ!俺はあいつに全力で挑んだからな!それはそれで、負けたとしてもスカッとしたぜ?」
俺がしょんぼりとしていると、クロードとセインがそう言って慰めてくれた。
そっか、そういう意味では俺のくじ運が悪かった、としかいいようがないのか。
もしセインと同じチームなら、少しは楽しく戦えたかもしれない。
そんな話をしていると、ちょうどクロードの試合になったようだ。リーシェさんが呼んでいる。
クロードは「ちょっと行ってくる」と言って試合場へと入る。
セインと俺は「頑張れよ!」と言って応援をした。
クロードが試合場の定位置につくと、対戦相手としてアンドリューがやってくる。
……ホント、ちょうど良いタイミングだったな。
2人はリーシェさんの目の前で構える。
「両者とも準備は良いかい?」
リーシェさんの言葉に2人とも頷く。
それを見てリーシェさんが「では、始め!」と叫ぶ。
その瞬間に、どうやら準前もって備をしていたのか、クロードがアンドリューに向かって小石程度の礫を大量にかなりのスピードで飛ばした。
対するアンドリューは屈んでウォーターシールドを展開する。
その大半をウォーターシールドで防ぎ、防ぎきれなかったものは身体に当たらないようにしたようだ。
クロードの次の一手はアンドリューが得意とする風魔法のウインドカッターで、かなりの威力がありそうな大きな刃にアンドリューも流石にウォーターシールドでは防ぎきれないと見てウォールストーンを展開した。
……おや?両者とも、もしや無詠唱か?
俺はてっきり2人とも準備をしていたのだと思っていたが、やっとそのことに気がつく。
そりゃそうだ、リーシェさんから学校に入る前に教えてもらっていたクロードなら、それくらいできるようになっていてもおかしくはない。
「……やるな、お前。まさかお前も無詠唱で魔法が使えるとは思っていなかったぞ。」
アンドリューがウォールストーンを崩しながら、そう言ってニヤリと笑う。
それに対してクロードはしれっとした態度で「そうか」のひと言を返した。
「お前の兄弟とは違って、お前はかなり魔法が得意なのだな?」
「まぁ、あいつはどちらかというと剣術が得意なんでな。そこはちょうど『役割分担』ってところだな。」
「ふぅ~ん……なるほどぉ~?」
ニヤニヤしたままの表情でそう言うアンドリュー。
……なんかムカつくな、こいつ。
「じゃあ今度はこちらから攻撃させてもらう。」
アンドリューはそう言うと、かなり巨大なファイアーボールを頭上に作り出し、クロードの方に向かって一気に飛ばす。
クロードはそれを見て避けることもせずに、目の前に自身の前面を覆うように半球形の分厚いウォーターシールドを展開した。
その瞬間、巨大なファイアーボールが分厚いウォーターシールドにぶつかり、じゅわっ!という音を立てながら大量の水蒸気を作り出した。
辺りはものすごい水蒸気で全く見えなくなってしまった。
……これではどうなったのかわからないなぁ。
俺がそう思った時、一陣の風が真っ白になっていた空間をすっかり視界良好にしてくれた。
「……何をしとんのや。シエルさんの結界のおかげでこっちまでけぇへんかったけど、それじゃあ試合できへんやろ?」
グリーさんは呆れた顔でそんな事を言った。
なるほど、さっきの風はグリーさんの魔法だったんだね。てっきり2人のどちらかだと思っていた。
すっかり視界良好になった試合場では、2人が先ほどの位置から全く動かずに立っている。
「どうせグリー殿かリーシェ先生がなんとかするだろうと思ってましたよ。」
苦笑いをしたクロードはグリーさんに軽く頭を下げてお礼を言った。
対してアンドリューはツーンとした態度でそっぽを向いている。
「さて、霧も晴れたし、試合続行しようか。」
そんな3人を見てリーシェさんも苦笑いをして、試合続行を宣言する。
それから2人は仕切り直して、互いに向かって立ち直す。
それからの2人は互いにどんどん魔法を使っていき、最終的にはセインと同じくクロードの魔力切れによって勝負は決まった。
そして俺はまたもやクロードに魔力譲渡のために向かったが、その前にアンドリューが少しだけ魔力を譲り渡したようだ。
「すまないな、お前も魔力かなり使っただろうに。」
クロードがすまなそうにアンドリューに向かって言うと、彼は「……その程度、なんてことはない」と言ってさっさと見学スペースへと歩いていった。
俺は起き上がることができたクロードにもう少しだけ魔力を譲り渡すと、クロードに肩を貸してセインのもとへ向かう。
お疲れ様、クロード!
後はゆっくりとみんなの試合を観戦してね!
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