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第10章 国立学校 (後期)
総当たり戦の闘技大会 2
しおりを挟むAチームの試合場へと整列した俺たち5人。
俺たちの目の前に対面で立っているのは、2年生の代表者だった。
彼らは体格的にも身長的にも、俺達とそう大差はない。
……どちらかというと俺だけの頭1つ分、みんなより低いくらいだ。
まぁたった1歳しか違わないんだから当たり前か?
だが、彼らはこの学校で俺たちよりも1年間分の知識や鍛錬があるので、侮ってはいけないと思う。
ちなみにBチームの試合場では3年生と4年生の試合が行われようとしている。
あちらも見た目的には大差ないが、若干4年生のほうが筋肉がついていそうな感じだ。
「それではAチームの審判は臨時講師のリッキー、Bチームの審判はスコットにお願いします。総合的な審判は私、マールが担当いたします。」
どちらの試合場も整列して待っていると、マール先生のアナウンスがあった。
「審判を務めるリッキーだ。両チームとも、よろしくな!しっかりと審判を務めさせてもらうから、安心してくれ。」
リッキーが俺たちにそんな風に軽い感じで挨拶をした。
それから元々決まっている順番ごとに勝ち抜き戦で戦っていくので、こちらの1人目はセインだ。
彼はクロードの話では剣術が得意との前評判らしく片手剣用の木刀を持っている。
相手は同じく体格の良い男子で、こちらはどうやらハンマーが武器だったようで木材でできた木槌を持っていた。
「……なあ、あれってどこから持ってきたんだ?」
「お前ちゃんと見てなかっただろ。ほら、あそこに置いてあるんだ。」
俺が隣に座っているクロードにこそっと聞くと、クロードは指をさして教えてくれる。
……なるほど、前もってマール先生の前にある武器の中から選んで持ってくるのか。
俺、知らなかったから何も持ってきてないよ。
俺がしょんぼりしていると、クロードから「お前は素手でも硬いから要らないと思う」と言われてしまった。
……確かにね?
でも逆に拳よりも木刀のほうが柔らかかったんじゃないかな?
俺とクロードがそんなやり取りをしている時にセインの試合が始まった。
素早いセインが相手の近くに寄ると、ほとんど動いていなかった相手が案外素早く木槌をブンッ!と振ってセインを牽制する。
セインはその木槌を一旦木刀で受けたのだが、簡単に受け流せるほど軽くなかったのか、少し振り切るような感じで押し切って若干距離を取った。
それを見た相手はいけると思ったのか、今度は自分の方からブンブンと木槌を振っていく。
だがセインは持ち前の素早さを生かして、全て避けていった。
しばらくすると相手も疲れてきたからなのか少し動きが鈍くなり、精度も欠けてきた。
それを見たセインは、相手が思いっきりブンッ!と振り切った所で相手の後ろへと素早く移動して木刀で背中側から心臓のある部分を突いた。
もちろん軽くだが、それを見ていたリッキーが「そこまで!」と言って試合終了。
セインはそのままそこに残り、2年生の2番手がやってくる。
2番手もどうやらセインと同じく肉体派の選手で、これまた同じく片手剣の木刀を構えている。
「両者、始め!」
リッキーのそのかけ声で2人は同時に動き出す。
そして2人が接近すると、まずはセインの方から斬りかかっていった。
それを相手も受け止め、突き放して自らも斬りかかっていく。
そんなやり取りを何度も行っているところを見ると、2人はほぼ同じくらいの力量なのかもしれない。
何度目かの打ち合いでセインが意表をついて少し角度を変えて受け流すと、それによって相手が体勢を崩してしまった。
それを見逃すセインではなく、力強く斬りかかる。
相手はそれを受け止めはしたがうまく力が入ってなかったようで、セインが剣を振り切ってしまうと相手の剣は弾き飛ばされてしまった。
その後すぐにセインが首筋に剣を当てると、リッキーが「そこまで!」と言って制止する。
対戦相手はしょんぼりとしながら自らの剣を拾い、退場していく。
「おぉ~、セイン強いね!」
俺がそう言って拍手を送ると、試合場にいるセインは照れながら「まぁな!」と言って手を振ってきた。
次の対戦相手が出てくると、セインは苦い顔をする。
その相手とは、魔法師タイプの女性だったのだ。
そっか、そういえばセインは魔法多少使えるけど、魔法師タイプじゃないから相性が悪いんだね。
リッキーの「試合、始め!」というかけ声に、セインは一気に動き出す。
どうやら相手は魔法を用意していなかったようで、今頃呪文を唱えているようだ。
だがセインが多少近づいてきたところで床からグンッと土でできた杭がいくつも出てきた。
「うおっ!」と言いながらもセインは間一髪で避けられたが、次々と床から出されると迂闊に近寄れなくなってしまった。
しょうがないので今出ている杭を木刀で壊しながら進もうとしたのだが、俺は彼に魔力コーティングを教えていなかったので先に木刀が壊れてしまった。
これでは試合続行できないので、この試合はセインの負けだ。
リッキーの「そこまで!」のかけ声に、1つため息をついたセイン。
すぐにこちらへとやってくると、「負けちまってごめん!」と言って謝ってきた。
「いや、2人も倒したんだから充分だよ。後は任せておけ。」
クロードは帰ってきたセインの肩をポンと叩くと、自分が試合場へと向かった。
次の試合は魔法師同士の試合だ……と思っていたら、クロードも片手剣用木刀を持っているようだ。
……どうするんだろう?
試合の合図が出ると、相手はセインの時と同じく呪文を唱え出す。
クロードもセインと同じく近づいていくのだが、相手の土杭を気にして簡単には近づいていかない。
あちこちひょいひょいとフェイントをかけながら時々出てくる土杭を避けてどんどん近づいていく。
それに焦った相手は土杭を出さないで自らの近くを土壁で覆ってしまった。
それを見たクロードは、木刀に風魔法のウインドカッターを纏わせ、相手の作った土壁を破壊していく。
……一体その技、誰から習ったんだい?
その土壁は案外柔らかかったのか、それともクロードのウインドカッターの威力が高かったのか分からないが、どんどん崩れていき、その度に相手は壁を作り直していく。
そのうち相手の土壁を作る速度が落ちてきて、クロードがとうとう土壁の中へと侵入を許してしまった。
そこまで来ると流石に相手も肉弾戦をしなければならなくなったようで、魔法を使っている余裕などなくなり、使用していた杖を打撃用の武器へと持ち直す。
その武器をブンブン振り回しているところを見ると、彼女は肉弾戦は得意ではないのだろう。
そんな事をしていると先に体力が無くなると思っていたら案の定すぐにバテてしまったようで、床に座り込んで「降参します……」と言って自ら降参を認めた。
クロードはチラッとこちらへ視線を寄越したので手を振ると、苦笑いをして一つ頷いた。
その間に相手の選手がやってきて、試合が始まる。
次の試合の相手は肉体派の選手のようで、試合の合図と同時にクロードに向かって走ってきた。
クロードはそんな相手に向かって無詠唱でウォーターボールをいくつも作り出し、かなりのスピードで撃ち出す。
相手は木刀でそれを細かく弾き飛ばしたり避けたりしていたのだが、弾き飛ばしたと思った物は相手が通り過ぎるとまた集合して追いかけてきて、身体へと纏わりつく。
それが段々と蓄積すると、その重さに身体がついていかなくなり、やがて足が水球に包まれて動けなくなったところでクロードの木刀が首筋に当たる。
これで4人目との決着がつき、3対1で俺たちの勝ちが決定した。
それから少しすると3年生と4年生との試合も終了し、そちらは4年生が勝ったようだ。
その後、先に終わっていたAチームの試合場で5年生と2年生の試合が始まる。
俺達1年生は勝ったので今日は試合はもうない。
明日は俺達1年生と3年生の試合だ。
さて、どんな感じになるのかなぁ?
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