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第10章 国立学校 (後期)
総当たり戦の闘技大会 3
しおりを挟む翌日、『総当たり戦の闘技大会』の2日目が行われるので、登校してすぐに修練場へと向かう。
なので登校時も服装は制服ではなくて良いのだ。
昨日の試合結果として、元々貼りだされていた総当たり表に『1年生対2年生』は1年生の欄に丸、2年生の欄に✕を、『3年生対4年生』は3年生に✕、4年生に丸を、『2年生対5年生』は2年生に✕、5年生に丸を書き込まれていた。
今日の対戦は『1年生対3年生』、『2年生対4年生』、『1、3年生の敗者対5年生』の3試合の予定だ。
あまりに試合時間が延びるようなら最後の5年生の試合は翌日に持ち越しになる。
生徒は修練場へと来るとそのまま昨日と同じ座席へと座る。
学年ごとに固まっていたほうが良いので、分かりやすいようにそう指示されていたのだ。
俺が昨日の座席へと向かうとすでに半分以上のクラスメイトが来ていて、昨日の試合の話や今日の対戦の勝者予想なんかを話している。
俺は先に来ていたクロード達の所へ行き、「おはよう!」と声をかけた。
「おはようさん、シエル!昨日は出番なくて悪かったな!」
セインが誇らしげにそう言うと、隣に座っているローラに「シエルに悪いと思ってないの?」と言われて肘鉄を入れられている。
「痛ってぇなぁ!何すんだよ、これから試合なんだぞ、俺!」
「あらぁ~、ごめんあそばせ~?でもぉ~、貴方が欠場すればシエルが活躍できる確率が上がるんじゃなぁい?」
「何、言ってんだよっ!そりゃあシエルが出れば誰にも負けることはないと思うぜ?だがな、それによってこいつが目立つだろ?それを一番嫌がりそうなのはお前だって知ってるじゃないか。忘れたのか?」
「……知ってるわよ、身に染みて。」
セインとローラのやりとりを聞いていたが、どうやら2人は俺が目立ちたくないと思っていることはしっかりと認識してくれているようだ。
そんな2人のやりとりを不思議そうに見ていたアンドリューは、ちらりと俺を見て「そうなのか?」と聞いてくる。
もちろん俺は「そうだよ」と答える。
それを聞いてアンドリューが口を開こうとしたところでマール先生のアナウンスがあった。
「では、これから今日の試合を始めます!それぞれAチームとBチームの第1試合の出場者はそれぞれの試合場へ向かい、整列してください。」
そのアナウンスに従って、出場者はゾロゾロと移動を始める。
俺達もAチームの試合場へと向かった。
Aチームの試合場では今日の対戦相手の3年生代表が既に整列して待っていた。
俺達も足早に整列すると、今日の審判役のスコットさんがやって来た。
「今日は俺がこの試合場の審判を担当する。公平にしっかりと判定するから安心して試合をしなさい。」
スコットさんはそう言うと試合に出る10人の顔を見回す。
うん、スコットさんならたとえ俺の試合だったとしてもしっかりと公平に判断してくれることだろう。
それからマール先生の試合開始のアナウンスがあり、まずはセインが試合場の中央へと向かった。
セインと戦う3年生の対戦相手は、どうやらセインの得意とする肉体派で、片手剣の木刀を使用するタイプの様だ。
そして2人とも構えると、スコットさんがかけ声を上げる。
その瞬間に2人は一気に近づき、剣の打ち合いを始める。
その剣の打ち合いを見ていると、若干だがセインが遅い。
ただ、その分セインの一撃は重いらしく、打ち合う度に相手は少し押されるかのような動きを見せる。
相手は一目でセインより体格が良いのが見て取れるので、セインのあのパワーはどこから来ているんだろうね?
そのうちに相手の方が打ち合いに疲れてきたのか、少し大振りをしてセインを遠ざけようとしてくる。
セインはそこに隙を見つけて斬りこもうとするのだが、相手が慌ててガードをするので上手くいっていないようだ。
だがそれもセインのスタミナには勝てなかったらしく、最終的に相手の方が膝をついて降参してきた。
……ホント、セイン強くなったなぁ~。
そりゃあ伊達に毎日騎士団に混じって鍛えている訳じゃない。
この分だと、近い将来自分の地位を譲らなきゃならないかもよ、ミラー騎士団長?
俺がそんな事を考えているうちに第2試合が始まった。
今度はセインの苦手とする魔法師のようで、初っ端から押され気味だ。
む~……これをなんとかしないとこれからの試合は厳しいかもね?
案の定、対戦相手の魔術師に翻弄されて終わってしまったセイン。
悔しそうな顔をしてこちらに戻ってきた。
「……シエル、後で魔法師との戦い方を教えてくれねぇか?」
セインは真剣な顔で俺にそう頼んでくる。
もちろん俺は頷いて答えた。
そうだね……ちゃんと自分から教えを請うことができるようになったんだね、君は。
そんな君にはしっかりと対策を教えてやらなければ。
俺以外なら使ってもいい魔法を教えてやらなければね。
そんなやりとりをしている間に、クロードが試合場の中央へと辿り着いていた。
スコットさんの試合開始の合図と同時に、互いの魔力で作った魔力弾を相手に飛ばし合う。
ただの魔力弾なら詠唱をする必要がないので、自分の魔力の残量にさえ気をつけていれば次々と撃てるのだ。
最初のうちは相手の魔力弾と相殺するために当てていたクロードだが、そのうちに相手の方がバテてきているのに気づき、魔力弾にファイアーボールやウォーターボールなんかを織り交ぜて撃ち出すようになった。
すると相手は直ぐに対処が出来なくなり、いくつか魔力弾を被弾するとダウンしてしまう。
それを見てすかさずスコットさんが「そこまで!」と言って試合を終了させ、対戦相手を救護班まで連れて行った。
……俺に頼めばいいのにね?
俺はちょっと不満でムッとしてしまったが、考えてみれば俺は試合をしている身。そりゃあ頼めないか。
スコットさんが戻ってくるまでの間に次の対戦相手がやってきていた。
今度の対戦相手はまたもや肉体派の選手で、明らかにクロードとは体格が違いすぎる。
しかも武器は大剣用の巨大な木刀を構えている。
……クロードはこれをどうやって乗り切るつもりだろう?
俺が不安げに見ていたのか、クロードが口パクで「安心してみてろ」と言ってきた。……本当に大丈夫か?
すると相手に合わせてクロードも片手剣用の木刀を構えた。
スコットさんの合図で相手はクロードへと走ってきたが、クロードは全く動かずに剣を下段脇構えのポーズで構えている。
……なるほど、また武器に魔法を乗せて撃ち出す気なんだね?
相手が射程距離に入ったのか、一瞬で武器に風魔法を纏わせる。
それを相手が振り下ろした武器に向かって斬り上げると、まるで豆腐でも切るかのようにあっさりと、それていてバラバラに切ってしまった。
なるほど、剣に乗せたのは竜巻みたいな風魔法だったんだね。だからバラバラになってしまったんだ。
それによって相手は戦闘不能になり、今回も3対1で1年生チームの勝ちとなった。
この後Bチームも勝負が決まった後に、この試合の敗者が5年生と戦うのだ。
俺は嬉しい気持ちのまま、Bチームを見る。
するとBチームの方ではまだ試合をしていて、4年生が2年生を圧勝とはいかないが、押しているらしい。
俺達1年生は明日、4年生と戦う。
ちょうどいい機会だと見学させてもらっていたが……これ、並び順って変えられないのかな?
明日の第1試合、セインは魔法師との試合をしなければならないようだ。
……これは早急にセインの魔法師対策を施さないとならないね!
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