異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

文字の大きさ
462 / 529
第10章 国立学校 (後期)

『ブレイズ』へのダンジョン遠征 5

しおりを挟む
翌日、俺はまだ日が昇る前に目が覚めた。

普段こんな風に日の昇らない内に目が覚めることは稀なので、どうせなら早めに朝食を作ろうかと起きることにした。

テントの外へと出るとまだ外は真っ暗で、俺は1つ伸びをして辺りを見渡す。

まだみんなは起きていないようだ。


そして昨日テーブルを出した辺りにまたテーブルを出すと、朝食を作る前に一服することにして椅子に腰掛ける。

俺は腕輪から、山田に買っておいてもらった缶コーヒーを取り出し、カシュッ!と開けて一口飲む。

うん、久々の珈琲は美味いね!


するとその時、何か微かな音が聞こえた。……何だ?

俺は振り向かずに索敵魔法を展開する。

するとネシア兵のテントの方角で何人か動いているらしく、マークが付いている。

多分彼らのうちの一部なんだろう。

でも……何をしているんだろうな?

なんかこちらのテントの方に向かって立ち止まっている?

そこまで考えたところで、昨日結界をそれぞれのテントに張ったことを思い出す。

でも……あの結界、『害を及ぼさなければ素通りできる』ようにしてあるので、彼らなら問題なく通れるはずなんだけど……?

俺は訝しげな顔をしながら椅子からそっと立ち上がると、闇魔法で影に潜ってみる。

……おぉ、初めて使ってみたけど、意外とこっちからは外の様子が見えるんだね。


そうやって気づかれない様にこっそりと、彼らの影のある場所まで移動する。

影の中では音までは聞こえないので、しょうがなく近くの影になっている所から頭だけこっそりと出す。

「おいっ!この結界、誰が張ったんだ!?」

「そんなの俺が知るわけないだろうっ!どうするよ!?」

「……お前等、もう少し小さい声で話せ。他の奴等に気付かれるぞ?」

「分かってるって!……ふぅ。とりあえず落ち着こうか。焦ってもしょうがない。」

3人の獣人はやはり昨日の兵士の中の3人で、どの兵士もどちらかというと筋骨隆々なタイプではなくしなやかな筋肉がついているので、どちらかというと斥候タイプなのかもしれない。

その彼らの1人が結界を軽く叩きながら小声で叫ぶと、焦っていたのかもう1人の獣人が慌てている。

それを見て、一番落ち着いていた獣人がさらに小声で諭す。


どうやら彼らの話を聞く限り、他の兵士には知られたくない何かをしようとしていたらしい。

少し落ち着いてきた彼らは、顔を寄せ合って話し始めた。

「なぁ、この結界って誰が張ったんだ?」

「さあ……?少なくても俺たちの方にはそんな事のできる魔法師はいない。あっちの方には見るからに魔法師って感じの奴が何人もいたから、その中の誰かなんじゃないのか?」

「とりあえず張った奴があっちにいるのは間違いないが、何のために2つに分ける位置に結界を張ってあるんだ?全体に1つ、っていうなら分かるんだが。」

「まさか俺達の事を警戒して……?」

「それはありえないだろう。俺たちの仲間以外には全くバレないように潜入しているのだから。ネシア兵の奴も分かってないようだから、まして昨日会ったばかりの奴らにはバレてはいないはずだ。」

そんな話を聞き、俺は思案する。

こいつら……何のためにネシア軍へと潜入しているんだ?
一体何をしようというんだろう。

俺はしばらく彼らの話を聞いていようと思ったのだが、彼らはそれ以上何かをすることなく立ち去ろうとし始める。

俺は慌てて、見つからないようにすぐさま頭を影に沈めた。

彼らはもう結界に何かをすることなくそのまま自分たちのテントへと戻っていった。

なので俺も先程までのテーブルに戻ることに。

戻ったら朝食作らなきゃね!



影移動でテーブルまで戻ると、俺がテーブルの上に置いておいた缶コーヒーが無くなっていた。

……えっ?缶コーヒーは!?

俺は慌てて辺りを探してみたが……どうも見つからない。

その時、俺の頭をスパンッ!と叩かれた。

振り向くとそこにはリッキーがいる。

……何故に叩かれた?


俺がムッとした顔で見ていると、目の前に缶コーヒーを出され、「お前なぁ……移動していなくなるならしまっていけよ!誰か見たらどうすんだ?」と言われた。……た、確かに。

流石にまだ起きるには時間が早いので、真っ暗ではあるけれども。

「それにしても一体何があった?お前がそれを置いたままいなくなるなんて、慌てていたからなんだろう?見つけた俺としては、万が一だったとしても、お前に何かあったんじゃないか……って心臓が止まりそうになるほど驚いたんだぞ?」

リッキーが真剣な顔で俺にそう言う。

申し訳ないなと思って心の中で謝りながら、俺は先ほどのことを話す。

するとリッキーは1つ頷き、「俺もそれは聞こえた」と言う。

「……お前には何が聞こえたんだ?」

「俺には『排除する』とはっきり聞こえたぞ。ただ、何を排除するのかは分からなかったがな。」

俺の質問にリッキーはそう答えて肩を竦める。

……排除、ねぇ。

ただ1つ言えることは、先ほどの3人がクレイン国側のダンジョン遠征チームの方に何かしら危害を加えようと思っていたことだ。

これは俺の結界に阻まれたことでも実証済みだから間違いがない。

だがそれも彼らが明確に『害を与えよう』と考えている間だけしか反応はしない。

だから結界に触れる前に心の中で害を与えることを一切考えなければ素通りできてしまうのだ。


「……まぁ、そんな事を今、考えても仕方ないか。」

俺はそう一言言うと、缶の中に残っていたコーヒーを飲もうと傾ける。……が、まったく出てこない。

あれ?確か一口しか飲んでなかったはず?

俺がそう思って首を傾げると、リッキーが「悪い、俺が飲んだ」と白状する。

「……。」

俺はぶすっとした顔でもう一本微糖コーヒーを出すと自分の前に置き、リッキーの前には無糖コーヒーを置く。

「おっ!買ってもらったんだな。サンキュー。」

リッキーはそう言ってさっさと缶コーヒーを開け、飲みだす。

「おぉ~、これだよ、これ!あいつ、分かってるじゃん!」

リッキーはニヤニヤしながら、山田が買ったコーヒーを飲んでそう言う。

……いや、それ買ったの、自分だろ?

俺は少し呆れ気味にそう思いながら、俺用のコーヒーを飲みだす。……美味いねぇ。


コーヒーを飲み終わってから、俺はみんなの朝食を作り出す。

また暗いうちから作りだすのでライトの魔法で少し明るくしようかな?と思ったら、ライトニングがポン!と出てきて自分自身が光り輝き出した。

『俺がライト代わりになるぜ!強さや範囲は言ってくれよな!』

久々に出てきたライトニングは嬉しそうにそう言って胸を張る。……まぁ、こいつでもいいか。

俺はライトニングにこれから料理をすること、そしてこのテーブルの上を明るくしてよく見えるようにしてくれと頼む。

ライトニングは『任せろ!』と言って、言われた通りにしっかりとやってくれた。

おかげでとても料理がしやすくて捗ったので、今朝のメニューはとても品数が多くなっちゃった!
しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

オレの異世界に対する常識は、異世界の非常識らしい

広原琉璃
ファンタジー
「あの……ここって、異世界ですか?」 「え?」 「は?」 「いせかい……?」 異世界に行ったら、帰るまでが異世界転移です。 ある日、突然異世界へ転移させられてしまった、嵯峨崎 博人(さがさき ひろと)。 そこで出会ったのは、神でも王様でも魔王でもなく、一般通過な冒険者ご一行!? 異世界ファンタジーの "あるある" が通じない冒険譚。 時に笑って、時に喧嘩して、時に強敵(魔族)と戦いながら、仲間たちとの友情と成長の物語。 目的地は、すべての情報が集う場所『聖王都 エルフェル・ブルグ』 半年後までに主人公・ヒロトは、元の世界に戻る事が出来るのか。 そして、『顔の無い魔族』に狙われた彼らの運命は。 伝えたいのは、まだ出会わぬ誰かで、未来の自分。 信頼とは何か、言葉を交わすとは何か、これはそんなお話。 少しづつ積み重ねながら成長していく彼らの物語を、どうぞ最後までお楽しみください。 ==== ※お気に入り、感想がありましたら励みになります ※近況ボードに「ヒロトとミニドラゴン」編を連載中です。 ※ラスボスは最終的にざまぁ状態になります ※恋愛(馴れ初めレベル)は、外伝5となります

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

追放されたけど実は世界最強でした ~元下僕の俺、気ままに旅していたら神々に愛されてた件~

fuwamofu
ファンタジー
「お前なんか要らない」と勇者パーティから追放された青年リオ。 しかし彼は知らなかった。自分が古代最強の血筋であり、封印級スキル「創世の権能」を無意識に使いこなしていたことを。 気ままな旅の途中で救ったのは、王女、竜族、聖女、そして神。彼女たちは次々とリオに惹かれていく。 裏切った勇者たちは没落し、リオの存在はやがて全大陸を巻き込む伝説となる――。 無自覚にチートでハーレムな最強冒険譚、ここに開幕!

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

処理中です...