異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

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第10章 国立学校 (後期)

『ブレイズ』へのダンジョン遠征 21

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俺が魔道具を腕輪に片付けたのを見たみんなは、ホッと息を吐いて力を抜く。

「それにしても……こうやって秘密裏に会話を聞くのって、なんか罪悪感があるな。」

セインが苦笑いをしながらそんな事を言う。

みんなも口には出さないが苦笑いで頷いているので、やはり心苦しいのだろう。

俺もまさかまだ繋がっていて、その後の会話も聞こえてくるとは思ってもみなかったんだけど。

「まぁね。でも結構鮮明に声が聞こえたね。」

「ああ。それに靴で歩く音まで聞こえていたからな。」

俺が率直な感想を話すと、クロードも頷いてそう言った。

「そりゃあそうだよ、魔道具は彼らのパンツの折り返した裾の中に入れてきたんだから。地面に近いから会話よりもよく聞こえるはずさ。まぁ魔道具は小さくて薄くて軽いから多分気づかないだろうし、それにあれは服にくっつくように加工してあるから落ちないんだよ。」

「……一体、何でそんな事を?」

俺の話に首を傾げたセインのために、俺は彼らのテントから出た後の話をする。

「なるほど……その感じだとそこしか入れる場所なかったよねぇ。でも……よく考えたよね、こうやって向こうの音が聞こえる魔道具なんて。そういえば君は互いに話のできる魔道具も作ったんだったね。」

リーシェさんはそう言って話を振ってきたので、肯定の返事をする。

「そりゃあ、すげえや!でも15階層の休憩所になんてそんなものなかったぜ?」

「そうなんだよ、それには俺も驚いた。でもね、休憩所の柵の外にひっそりと台座が砕かれて捨てられていたから、誰かが持っていって『証拠隠滅』したんだと思うよ?それにあの3人組がそんな魔道具で『上の者』と連絡を取っていたらしい。そちらは多分、俺と一緒に以前このダンジョンに入った人から流れてきたんだろうね。彼らの話では『ダンジョンに入った途端に連絡取れなくなった』って言っていたから間違いないかな。あの魔道具、『中の者と外の者が連絡を取るための魔道具』だから、中に入った途端に連絡取れなくなるのは当たり前なんだよね。そこら辺は俺、説明したと思うんだけど……伝えてなかったのかな?」

俺の言葉にリーシェさんは少し考えてから「もしかして……」と言った。

「そのシエルくんの友人から受け取った副官……もしかすると何か気づいているかもしれませんね。副官なら情報を得るのも容易そうですし。」

「今、ネシアの軍は二分されてるって言っていましたよね。1つは今のネシア王族を支持する派閥で、もう1つは王族を排除してグリーさんを据えるつもりの派閥。その王族を排除したいと考える者たちは存在を隠しながら動いているってことでしたが、そもそもネシアの国王陛下が知っているくらいだから、将軍の副官ならば情報を得ている事はあり得ますね。」

俺とリーシェさんの話に、アンドリューは驚いたようだ。彼は何も聞いていなかったのかもしれない。


「……その話、本当なのか?」

アンドリューは驚いた顔のまま、絞り出すように声を出した。

「……残念ながら、これは君のお父さんがうちの国王に直接話されたことだよ。私も同席していたからね。多分将軍は『国内の守り』と言って残っていたということだから、彼も知っていて陛下を守っているのかもしれないね。君には安全のために国外へ……という思いもあったのだろうが、我々が配慮と情報共有不足でこのダンジョンを選んでしまって申し訳なかった。」

リーシェさんはとても申し訳なさそうに、アンドリューに頭を下げる。

それを見てアンドリューは、それが嘘でもなんでもなく、現実のものなんだと悟ったようだ。

「……。知らされてなかったのは俺だけ、なんだな。シエルも知っていたんだろう?」

アンドリューは沈んだ声で俺にそう聞く。

「俺もそれはつい数日前に聞いたばかりだよ。このダンジョンに来てから、あの3人組がいなくなった後ぐらいかな?もっと後だったっけ?とりあえずあの時、あの3人組の話を聞いてから『何かおかしい』と気づいたのは間違いないかな。ただ、それがここまで大事になるとは、当時の俺は思ってもいなかったけどね。」

「……そうか。」

「とりあえず明日は20階層に向かい、時間が早ければボス戦をやるんでしょ?なんかさっきの話を聞く限り、そのボス戦で何か仕掛けてきそうなのは間違いなさそうだけど……でも俺の結界があればとりあえず彼らには何もできないんじゃないかな。リーシェさん、明日は4人のことをよろしくお願いしますね。」

「ああ、了解したよ。」


それから俺達は夜も遅いので寝ることに。

ベッドは5人分出しても問題ない広さなので、現在ある3個の他に2個取り出して設置する。

とりあえずローラのベッドだけは衝立を立てて仕切ってあげた。

やっぱり女の子だから色々気にするだろうしね。

「じゃあライト消すね~。」

俺はそう言ってみんなに聞くと、あちこちから了承の声が上がる。

それから俺はライトの魔法を消した。

明日は早く進めば一気にボス戦へ突入だが、何が起こるか分からない以上、突入の前にクレイン国側にはしっかり準備しておかないとね。

俺は明日のことをあれこれ考えていたのだが、いつの間にか夢の国へと旅立っていたようだ。
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