異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

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第10章 国立学校 (後期)

『ブレイズ』へのダンジョン遠征 23

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「……君達は誰だ?」


その時どこからともなく、男性の声が聞こえた。

俺がそちらを振り向くと、みんなもそちらを見ていた。

そこには、少しきらびやかな服装をした獣人兵さんを先頭に、数人の獣人兵達がいた。

なるほど……この人たちが、昨日の兵士さんが言っていた副将軍達なんだろうな。

俺がそう思っている内に、この場の代表者としてリーシェさんが話しかけた。

「初めまして、我々はクレイン国の国立学校の者です。現在学校の行事としてダンジョン遠征でこちらへ来ています。ダンジョン入り口にいた騎士たちから何も聞かされてはいなかったのですか?」

リーシェさんはそう言って小首を傾げる。

それを聞いた相手の代表は「なるほど、君たちが学生と引率者なのだな」と頷く。

「改めて挨拶をさせてもらおう。私はネシア軍副将軍のカイヤだ。よろしく頼む。」

相手の代表であるカイヤさんはそう言うと右手を差し出した。

こちらの代表であるリーシェさんも右手を差し出して手を握ると、「私はクレイン国の魔法師団長、リーシェと申します。よろしくお願いします」と言った。


「カイヤ殿、遅くなりましたが交代要員として到着いたしました!」

代表者2人のあいさつが終わると、俺たちに同行していた兵士長さん達がカイヤさんのそばへ来て敬礼をし、そう報告する。

「やっと到着したか。ところでお前たちは何故、彼らと一緒に行動を共にしていたのだ?お前達だけで来ればもう少し早く到着したのではないか?」

「いえ……彼らの中に我らネシア国の王族であらせられるアンドリュー様がおられましたので、護衛も兼ねて同行させていただきました。」

カイヤさんは兵士長さんの言葉に、辺りをキョロキョロと見回す。

そして俺のそばに立っているアンドリューを見つけると一瞬表情が消え、次の瞬間ニッコリと笑って「お久しぶりです、殿下」と言いながら近寄って来た。

「何年ぶりでしょうか?随分と大きくなられて、最初わかりませんでした。王子殿下ももう学校へ通われる年齢になられたのですね。」

カイヤさんは不自然なほど笑顔のままでそう言い、俺たちの方を見る。

「こちらの方々はご友人でしょうか?」

「ああ。クレイン国の学校に通うようになってから知り合った友人である。」

「……そうでしたか。」

アンドリューから『友人』と言われて俺達は笑顔になったが、それを聞いたカイヤさんは少し嫌そうな顔を見せたがすぐに表情を無表情へと戻し、「お名前を聞かせてもらっても?」とこちらに話を振ってくる。

「我々はクレイン国の第一王子セイン、第二王子クロード、第一王女ローラの3人と、スノーホワイトのメンバーの1人であるシエルだ。よろしく頼む。」

こちらの代表としてクロードが俺たちを紹介してくれた。

するとそれを聞いたカイヤさんは、彼らが王族だと聞いて少し驚いたようだ。

「なるほど……それならアンドリュー王子殿下のご友人に相応しいか……。いえ、こちらこそ宜しくお願いいたします。これからもうちの王子殿下を頼みますね。」

カイヤさんはそう言うとまたニコニコ顔に戻ったが……なんか俺、この人のこの表情、嫌いかも。

なんか、何考えているのか分からないんだよね。

……少なくても良い印象ではないかな。


互いに自己紹介をした後、カイヤさんは俺の後ろにある海の上に透明な『何か』が浮かんでいることに気づいたようだ。

「……1つ聞きたいのだが、君の後ろの空中に青い布が浮かんでいるのははっきりと見えるのだが、その下…海の上に何か浮かんでいる気がするのは気のせいだろうか?」

彼はすぐ近くにいる俺にそう聞いてきたので、先ほど作った『結界の船』を作ったことを話す。

するとカイヤさんは驚いた顔で俺を見て、「もしかして君が作ったのか!?」と言った。

「ええ、俺が作りました。これからこの先にあるだろう休憩所やボス部屋を探しに行かなければなりませんから。貴方たちも何かしらの移動手段はありますか?」

俺の言葉に、カイヤさんは眉を寄せて唸り出す。

「いや、我々はこのフロアに来てからこの海岸線をずっと歩いて先へと行ける方法を探していたのだが、全く見つからずに戻ってきた所だ。それこそ休憩所はおろか、ボス部屋にすら辿り着けてはいない。」

彼がそう言った事で、何故ネシア軍がこの階層から先に行けていないのかがよく分かった。

そうか、移動手段がなかったんだね。

「では我々と一緒にボス部屋へと向いますか?この『見えない船』に乗って向かうので見た目とても不安でしょうが、強度はしっかりありますので安心してください。」

「……なるほど、それならばお言葉に甘えようか。それで、その船には何人乗れそうなのだ?」

「それは……ちょっと乗ってみないと分からないですが……1つの船に我々が、もう1つにネシア軍が乗るのはどうですか?」

俺がそう提案すると、これは辺りをキョロキョロして人数を確認すると「1隻にそんなにも乗れるのか?」と不安そうな顔をする。

「不安でしたらもう1つ作っても構わないのですが、あいにく帆として使っている素材がもう無いんです。ネシア軍の方で何か大きな布みたいなものは持ってないですか?」

「……少し探してみるので待っていてくれ。」

カイヤさんはそう言うと自軍の方へと歩いていく。

そして1人の軍人に話しかけると何かを受け取ってこちらへと帰ってきた。

「これでは代わりにはならないだろうか?」

俺はカイヤさんから受け取ったものをクロード達と広げてみる。それは巨大なテントの一部の様だった。

「これ……使っても良いんですか?」

「ああ。とりあえず移動の時はそれを使ってもらい。陸に上がったら回収させてもらってもいいかな?」

「ええ、じゃあこれを使ってもう1つ作りますね!」

俺は早速3つ目の結界の船をすぐに作り上げる。

流石に3個目ともなるとすぐに作ることができた。

「……すごい、あっという間に作り上げるとは。」

カイヤさんは驚いた顔のまま、そう呟く。

それは紛れもない、心からの言葉だった。


さあ、とりあえず船は完成した。

まだ日は高い位置にあるので、出発したら休憩所、ボス部屋、どちらを先に探そうかな?
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