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第10章 国立学校 (後期)
『ブレイズ』へのダンジョン遠征 31
しおりを挟む「……なぁ、あれってどういう事だと思う?」
リッキーが『ボス』から目を逸らさずに、隣にいる俺に向かって声をかける。
俺はすぐにブレイズに話しかけた。
『ブレイズ!今、俺達を見ているか?』
俺の言葉に、ブレイズは焦った声で『見ています!』と答える。
『これは一体どういう事なんだ?』
『私にも分かりません!今朝までは普通にボスが出現していたんです!』
『……ちなみにそのボスって何だったんだ?』
『今となっては意味がないですが、サメの魔物だったんですよ!それも来た人数に合わせての数なので、結構な数いたんですが……。』
『……それはそれで厄介だったかもな?』
『……エヘヘ?』
俺の言葉にそう笑って誤魔化したブレイズに、俺はため息をつく。
『それはまぁ良いとして……一体どうしてこんな事になったんだろうな?』
『それは本当に分からないんです。一体、いつの間にそんな事になったのか……。ただ、あのドラゴンは「ダンジョンが創り出した魔物ではない」という事だけは間違いありません。もし創り出したのであれば、私は消す事が出来ますから。でもあのドラゴンは私が干渉出来ないんです。』
ブレイズは真剣な声色で俺にそう言った。
……なるほど、あれはダンジョン産じゃない、と。
そういえば一昨日の夜に19階層で宿泊した時、アンドリューを訪ねてきた兵士が『ボス部屋で何か起きる』的な事を言っていたっけ。
もしかしてこれの事だったのかもしれない。
「なぁ、リッキー。」
俺が真剣な顔でそう呼びかけると、リッキーも目を離さずに「何だ?」と答えた。
「聞いたんだけど、あれ、ダンジョン産じゃないらしい。」
「……やっぱりか?」
「ああ。19階層での話と合わせると、これは例のやつらの仕業なんじゃないかと思うんだ。」
「まぁ……それはあり得るな。だが、一体何の為にこんな事をしたんだと……っ!やべぇ!こっち来るぞっ!」
俺たちの話の途中で、その漆黒のドラゴンはこちらへとすごい勢いで飛んで突っ込んできた。
俺は咄嗟に入り口に結界を張ったが……ドラゴンは口から炎を出して建物を焼き払った。
「マジかっ!一旦、退避っ!」
リッキーは慌ててそう叫ぶと、皆を走って後退させた。
俺はそれを見て、とりあえず皆の周りに結界を張る。
その場には残っていたスノーホワイトとリーシェさん、グリーさんの他にも、逃げ遅れてしまった王族4人と副将軍たちがドラゴンの目の前で立ち竦んでしまっている。
「セインたちも急いでそこから逃げろっ!」
目の前のドラゴンから目を逸らせずにいた王族4人は、その俺の声でハッと意識が戻り、振り向いて走り出そうとする。
するとそれを見てドラゴンが『獲物』と定めたのか、口を開いて噛みつく仕草をした。
……その口は、アンドリューへと向かっている。
俺はやばいと思って咄嗟にアンドリューに手を伸ばしたのだが、その前にアンドリューの隣で走り出そうとしていたカイヤさんが急に嗤いだし、アンドリューの足を払った。
そのせいで転んでしまったアンドリューは、そのままドラゴンの口の中へと消えてしまった。
あまりの事に皆が動きを止めた時、それを招いた張本人の副将軍が周りに聞こえるように大きな声で高らかに嗤い出す。
「アッハッハッハ!馬鹿な王子だなぁ?まさかこんなに上手くいくとはな!簡単すぎて笑いが止まらないわ!」
その言葉に、俺達は唖然とする。
自国の王子を、ああも簡単に殺そうとするなんて。
そんな声がクレイン国側の人間から聞こえてきそうだ。
「……貴様、やっぱりアンドリューを殺そうと考えていた主犯格だな?」
呆然とした顔の俺に代わって、リッキーが副将軍であるカイヤさんにそう言った。
問われたカイヤさんは、心底面白いと思っている顔で「それがどうした?」と言う。
「それがどうした、だと?なんでアンドリューを……?」
俺は振り絞るような声でそう聞く。
カイヤさんはフフンと笑うと、ニヤニヤした顔で答えた。
「決まってるじゃないか。ネシアの王族を根絶やしにする為だよ。」
「……何でそんな事を?」
「そんなの、ネシアを乗っ取るために決まってるじゃないか!そんな事も分からないのか?」
カイヤさんはとても馬鹿にした顔で俺に向かってそう言った。
「……何で『乗っ取ろう』と?」
「そんなの……我が国のために決まっている!しばらく帰ってはおらぬが、私のこの功績を知れば、我が主である『女神』がさぞお喜びになられるだろうっ!」
カイヤさんはそう言うと、また高らかに笑い出す。
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「……ネシアの『巫女』はそんな事を本当に望んでいたのか?」
訝しんだ顔をしているリッキーのその言葉に、笑っていたカイヤさんはピタリと笑うのを止めた。
「……『巫女』だと?はっ!あんな得体のしれない女狐なんか我らの女神の足元にも及ばんわ!」
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……じゃあ、その『女神』って……まさか?
「……貴様、まさかとは思うが……神聖法国の回し者か?」
リッキーのその言葉にニヤリと嗤うカイヤさん。
えっ、本当に!?
俺たちが驚いた顔でカイヤさんを見ると、周りにいる彼に付き従っていた獣人兵達も驚いた顔をしていた。
そんな彼らを見るカイヤさんの目は、明らかに汚らしいものを見るような目をしている。
「フッ、ハハハハッ!お前達も馬鹿だなぁ?まんまと俺の口車に乗って『一緒にネシアを変えましょう』だなんてなぁ?」
「っ!我らを騙したのかっ!?」
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