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第10章 国立学校 (後期)
テスト結果
しおりを挟む翌日、みんなで学校に到着すると、玄関先にはもうすでに学年毎にトップ10の名前が張り出されていた。
前期のテストでは俺が1年生の総合1位だったんだけど……おぉ、今回も俺が総合1位だね!
ちなみに2位はクロード、3位がアンドリューで、セインとローラはランク外の様だ。
まぁ2人とも得意な強化と不得意な教科にものすごく差があるから、それでランク外になってしまったんだろうな。
玄関先で同じく立ち止まって順位を見ていた王族4人組はそれぞれ表情が分かれてしまったようだ。
そんな中で、しょんぼりしてしまったローラにアンドリューは励ますような言葉をかけている。
……本当に変わったなぁ、アンドリュー。
「また今回もシエルに負けてしまったな。」
教室へと歩き出した俺を追うように4人が速歩きをしてくると、クロードが俺にそう声をかけた。
「まぁ、そりゃあそうだろ?いろんな場面でこいつは活躍してるからな!それに勉強してる風でもないのに授業でもしっかり発言できるし、ここの出来が違うんかなぁ?」
セインはそう言いながら頭を指さす。
……それはどうだろ?
単に日本での計算能力やテストのための記憶力があるからじゃないだろうか?
俺は心の中でそう思いながら、苦笑いをする。
「まぁ何にせよ、こいつには敵わないってこった。俺なんて筋肉バカだから他の教科では無理でも、剣術の授業では勝てるかと思ったのに、シエルは次元が違うからな。」
セインはそう言うと大きくため息をつく。
それにはローラもコクコクと頷いているので、どうやら同意見のようだ。
「まぁまぁ。たまたまだよ!」
「……たまたま、には思えんがな?勉強の仕方にも工夫があるのだろう?」
「……それはどうかなぁ?」
「まぁ、今度のテスト前にはこの5人で一度勉強してみるのも良いかもな。」
アンドリューが俺に勉強の仕方を聞いてきたが、別に大したことはしていない。
だがクロードの提案も良いかもしれないね!
そんな話をしながら教室へと到着すると、教室ではみんながワイワイと順位のことを話している。
俺が中へはいるとみんなから「やっぱりシエルくんが1位だったね!」と笑顔で言われた。
みんなの中では「シエルは別格」と思っているんだろうが、そんなことはないんじゃないかな?
俺たちが席に座ってしばらくすると担任のマール先生がやってきた。
「おはよう、みんな!玄関先で学年の上位10名が張り出されていましたが、5位以下の生徒はランク外も含めてそこまで差はあまりなかったですよ。今年はいつものダンジョン遠征よりとても濃密な時間を過ごせたこともあり、全体的に好成績で校長からもかなり評価が高かったようです。」
開口一番にそんな事を言うマール先生。
それを聞くと、あの『普通の人では忘れられない程の体験』はきちんと身になっていたようだね。
あの時のことを思い出していたらしいクラスメイトが、それぞれいろんな表情をしているのには思わず笑っちゃったよ。
「じゃあ、これから皆さんの成績表を配ります。ご家族の皆さんにきちんと見せてサインを貰ってきてくださいね。」
マール先生はそう言うと上から順番に名前を呼び、生徒はその成績表を受け取りに行っている。
どんどんみんなが呼ばれる中、俺たち5人はなかなか呼ばれない。
「そういえば今、先生から『ご家族にサインを』って言われたけど、アンドリューは実家に帰るのかな?」
俺はふと思い出したようにアンドリューに聞いてみた。
すると彼はちょっと複雑そうな顔をして俺を見た。
「そうしたいのは山々なのだが、昨日連絡を入れたところ『こっちは少しゴタゴタしているのでしばらくはそちらにいなさい』と言われたのだ。やはりあのダンジョンでの事が問題になっているのであろう。」
「そっか、それもあったよね……。でも確かアンドリューの誕生日はもう少しじゃなかったっけ?家族と祝えないのは残念だよね。」
俺は以前、何だったかの時にアンドリューに聞いてみたことがあるのだ。確かクリスマス当日だったはず。
「そうであるな。それに……今年は特別な日でもあるのだ。」
「特別な日?」
「そう、特別な日。我は次の誕生日で16歳になる。我の国では子供は16歳になると成人の儀式をせねばならん。だが父上はそれを忘れているのか帰ってくるなと言うのだ。どうしたらよいものか……。」
アンドリューはそう言うと眉間に皺を寄せて考え込む。
……なるほど、それはなおさら帰らなきゃならないわけだ。
「もしだったら25日になったらネシアに送っていこうか?」
俺はなんとなくそう言ったら、アンドリューはとても嬉しそうに「本当に頼めるか?」と俺に聞いてきた。
「うん、良いよ。ちょっと前日には用事があるから無理だけど、25日なら大丈夫。一緒にネシアに行こう。」
「ではシエルには我の成人の儀に参加してゆくがいい。」
「え~っ!シエルだけ参加はずるくない?私たち3人も友人として参加したいわ!」
「そうだぞ!友人として水臭いこと言うなよ!」
「そうだな。アンドリューさえ良ければ我々も是非参加させてくれないか?」
アンドリューが俺に成人の儀に参加はどうかと打診したところ、他の3人も「自分たちも参加したい!」と意思表示してきた。
それを聞いたアンドリューは少し考えたが、すぐに笑顔で参加の許可をくれた。
「こ~ら、お前ら!呼んでるのに取りに来ないのはどういうことだ?」
マール先生はそう言って丸めた成績表でセインの頭をぽすんと叩く。
それにびっくりしたセインが「うひゃぁっ!」と言って飛び上がり、椅子から落ちてしまった。
「痛ってぇな、マール先生!何すんだよっ!」
「何するもなにも、さっきから君とローラさんを何度も呼んでいるのだが?……ほら、成績表。休み明けには忘れずにお父上のサインを貰って来なさい。」
マール先生は2人に成績表を渡すと、ついでに俺たち3人の分も配ってくれた。
成績表を配り終えると、今日はこれだけの予定だったのですぐにお帰りだ。
4人はこの後王宮に戻り、セインたち3人は国王に成績表を見せることになっているとぶつくさ言っていた。
「明日はあの時に購入した品の引き取りと、ダンジョン産の素材の買い取りをするから、忘れずに来なさいよ?」
俺は別れ際にローラにそう言われた。
……おぉ、そうだった!
これは必ず受け取らないと皆と一緒にスノービークに帰れない。
俺はローラに「分かっているよ!」と答えると、4人とは別れた。
さあ、帰ったらリッキーたちと一緒にどれを出すかの検討会をしないとね!
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