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第11章 冬休み編
披露宴、またの名をクリスマスパーティーという
しおりを挟む結婚式が無事に終わり、皆で屋敷の方へと戻る。
リッキーとリリーさんはそのまま衣装替えでそれぞれの部屋へと向かい、俺たち出席者は別室に用意されている披露宴会場へと案内された。
そこには決まった席はなく、中央に何台ものテーブルがある。
それぞれいくつかの料理が用意されているが、1つの料理に1人のメイドがついていて、その料理を取り分けてくれることになっているようだ。
もちろんドリンクコーナーでもお好きなドリンクをついで渡してくれる。
料理はまた後で、といった感じで皆はドリンクコーナーに集まっているようだ。
「いやぁ~、最後のあの光、驚いたなぁ?ありゃあ一体何だったんだろうな?」
部屋に着くなりゴーダさんが俺たちに聞いてきた。
……素直に教えられないのが心苦しい。
「神父さんは『神に愛されているんですね』的なことを言ってましたよ?」
俺は直球ではなく少し逸れた形で答えてみた。
そんな俺に、ユーリやスコットさんというスノーホワイトのメンバーは苦笑いだ。
……その『まだ認めてないのか』っていう顔、やめてよ?
「確かにそれはあるかもしれませんね。そうは思いませんか、父さん?」
「ああ、あり得るだろうね。君たちスノーホワイトは『特別』だからね。」
ルーシェさんの言葉にそう答えたリーシェさんは俺に向かってウインクをしてきた。
……いや、俺限定にするのはやめて?
「それにしてもリリーさん綺麗だったわぁ!」
「そうだな!そういえばエミリーさんは結婚しないのか?」
うっとりした表情でそう言ったローラに答えたセインが、後半小声で俺に聞いてきた。
「何言ってるんだよ。エミリーさんは学校に来る前にスコットさんと結婚しているよ?これでスノーホワイトの『大人組』はもう既婚者になったってわけ。まだ子供の俺たちはまだまだ先の話だけどね。」
俺のその返答に、王族4人組はかなり驚いたようだ。
「マジかっ!エミリーさん達って既婚者だったのか!?」
「でも、それでなんとなく納得したかな。ほら、『ブレイズ』へのダンジョン遠征を学校の行事で行っただろ?あの時、スコットさんがふっ飛ばされたエミリーさんを庇っていたんだよ。俺はてっきり『仲間』だからだと思っていたけど、『夫婦』だったからなんだね。」
クロードは納得顔でそう言った。
……でもね、リッキーはリリーさんを全く守らなかったのは明白なんだけど?それはどうなの?
それからみんなといろんな話をしていると、執事さんが大きな声で「新郎新婦の登場です!」と言って扉を開いた。
中に入ってきた2人は、互いに対となる色使いの衣装で登場した。
2人とも艶のある綺麗なブルーのドレスとタキシードを着ている。
2人ともとても似合っているね!
2人が入場してリッキーの両親の隣へとやってくると、リッキーの父親であるスノービーク領主のウォールさんが口を開いた。
「この度は私の長男リッキーとリリーさんの結婚式へご参列いただきどうもありがとうございます。まだまだ若い2人ですので、皆様のご教授を賜り、しっかりと成長していくことを願っています。それでは短い挨拶ですが、今宵は沢山の料理やドリンクを用意いたしましたので、心ゆくまで楽しんでください。」
ウォールさんはそう言うと、乾杯の音頭を取った。
それをかわきりに皆はゾロゾロと料理の並ぶテーブルへと向かった。
流石貴族の披露宴といった感じに、豪華な料理が並んでいる。
俺も遠慮なくいっぱい盛ってもらったよ。
料理をもらうと、俺とユーリは壁際にある椅子に座り料理を食べ始める。
食べながらフロア全体を見渡すが、皆は食べながらではあったが今日の主役に挨拶をしている。
……俺達は最後で良いなと思ってるから、まだその列に並ばないよ。
真っ先に挨拶の終わったスコットさん達が俺たちの座っている場所までやってきた。
「まだ挨拶に行かないのか?」
「うん、最後にするつもりだから、食べてから向かうよ。」
「そうか。あいつ、弟のお前の事、大切に思っているからな。『あっち』では聞けなかったお前の祝福の言葉は楽しみにしてると思うぞ?」
スコットさんはそう言うと俺の頭を優しく撫でてくれた。
そうだよね……あちらの世界でも2人は結婚式を挙げたわけだ。
だが俺はそれに参列することはできなかった。
それだけは俺も申し訳なかったと思っている。
……現実では『まだ』2人は結婚していないどころか、まだお付き合いもしていないようだけどね!
それから俺とユーリも持ってきた食べ物が一旦無くなったので、2人にお祝いを言うために少なくなった列に並ぶ。
早めにお祝いを伝えた人はあちこちで談笑をしているようだ。
俺たちの番になり、2人の前に行くと2人から「今日はありがとう」と声をかけられた。
「いや、こちらこそ無事に『サプライズ』ができて良かったよ!」
「そうだよね、にぃに!にぃには結構裏で手伝ったもんね!」
「そうだな。シエルには俺が動けない分、代わりに動いてもらったからな。おかげでこうやって『サプライズ』が出来たってわけだ。感謝してるよ。」
俺とユーリの言葉に、リッキーはニカッと笑った。
「ホント、びっくりしちゃったわよ。当日ギリギリまで言わないなんて!でも……一生忘れられない結婚式になったわね。」
リリーさんは最初ぷんぷんと怒っていた感じだったが、最後には穏やかな微笑みを浮かべていた。
……良かった、心には残ってくれたようだね。
「改めて……結婚おめでとう、リッキー、リリーさん。これからもずっとお世話になるだろうけど、宜しくね。」
「僕も一緒に宜しくね!」
「ああ、こちらこそ宜しくな。」
「しーちゃんとはこれからも一緒よ!」
俺たちのお祝いの言葉に、2人は笑顔で頷いてくれた。
良かった、もう一緒には冒険できないって言われるんじゃないかと少し不安だったんだよね。
それから俺達は皆の所へと戻り、リッキー達は自分達も食事をする為にテーブルへと向かって行った。
後でクリスマスプレゼントの交換をする事になっているから、みんなで集まる事になっているんだよ。
『リッキー視点』
長々と続いた『お祝いの言葉』を受け取る列も、シエルとユーリで最後だ。
それまでは延々と言葉に続いてワインを少し注がれ、少し酔いが回ってきた所にシエル達が来てお祝いの言葉をくれた。
流石に空きっ腹にアルコールは酔いが回りやすい。
どうやらシエルは俺たちがそれぞれ結婚して家庭を持つようになるとスノーホワイトを解散して何処かに定住するのではないかと心配していたようだが、さすがにまだそんな年齢ではない。かなり先の話だ。
それをシエルに伝えると、あいつはとても嬉しそうに笑った。
……そうだな。このままずっと一緒にいたいよな。
それからあいつとユーリはスコットたちの所へと戻り、俺たちもやっと食事にありつける。
あまりに腹が減っていたから思わずがっついて食べていると、両親がやってきて「もっと落ち着いて食べなさい」と苦笑いされた。
俺が「いや、すごくお腹が空いていたからさ!」と言って笑うと、しょうがないなという顔をされた。
しばらく両親と談笑しながら食事をし、お腹が落ち着いたのでシエル達の所へと向かう。
俺たちがやってきたので、シエルは「クリスマスプレゼントだよ!」と言って俺達4人に包みをくれた。
中を開けても良いか聞くとOKを貰ったので、袋を開けてみる。
すると中からそれぞれの夫婦でお揃いのマグカップや食器などが入っていた。
そうだよな、考えてみればいつもシエルが土魔法で作った食器を使っていたので『俺たち専用の食器』というものが無い。
こいつはそれを気にしていたのだろう。
シエルはユーリとセバスとお揃いにしたようだ。
そして俺達からもシエルとユーリにクリスマスプレゼントを渡す。
中は大したものじゃないから、明日の朝開けるよう言っておいた。
それからすぐに王族達やルーシェさん達が帰ることになり、皆で見送る。
やはり転移術を使う者がいるのは便利だなと改めて思った。
そこからは『身内』のみのパーティーが始まる。
俺とリリーは一旦普段の服へと着替えるために退席した。
そして戻ってくると、もうすでにシエルとユーリはうとうとしだしていたので、2人を部屋へとスコットと2人で運んでいく。
流石に身長の伸びたシエルは俺では運べないので、スコットの背中におんぶさせた。
「それにしてもお前、俺たちにも内緒にしてるなんて水臭いぞ?」
スコットはシエルたちを運ぶ時にそう言って苦笑いをした。
「いや、だってどこから漏れるか分からないだろ?特にエミリーは顔に出やすいからな。ばれるわけにはいかなかったんだよ。」
「それはそうなんだが……俺たち、何のプレゼントも用意できなかったじゃないか。」
「そんなの気にすることないって。」
「そうは言ってもなぁ……まぁ、この先何か良いもの見つけたらプレゼントするってことでいいか?」
「ああ、それで良いよ。まぁ気にするな。」
とても不服そうな顔をしてスコットは俺に文句を言ってきたが、別にお祝いの品が欲しかったわけじゃないから別に気にしていないんだけどな。
それからシエルたちをベッドに寝かせて披露宴会場へと戻ると、もうほとんどお開きみたいな状態だったのでそのまま解散することに。
スコットたちは今夜このまま泊まっていくし、リリーの父親もこのまま泊まっていく予定だ。
俺もリリーと一緒に部屋に戻ると、2人だけでワイングラスを片手にバルコニーへと出る。
……もちろん寒さ対策の厚着は必須だが。
外へ出てバルコニーにあるテーブルと椅子に座ると、互いに顔を見合わせて笑う。
「なぁ……覚えてるか?」
「ん?何を?」
「『今日』の事を。」
俺の言葉に、あいつは少し考える素振りをしたが、思い出したように笑い出す。
「あぁ~!そっか、『今日』なのね!そっか、今日なんだ。こんなに長い年月が経つと忘れちゃうわね。」
「ああ、そうだな。俺も実はこの結婚式をいつにするか考えている時に思い出したんだ。」
そう、『今日』の夜、あっちにいる山田と友梨佳は付き合い出す。
そして何年か付き合った後、結婚するのだ。
そしてその日にちも『12月24日』。
だからこそ、俺はこの日を選んだんだ。
「あれからかなりの年月が経ったものだなぁ。」
「そうねぇ……あっ、思い出したついでにあなた覚えてるかしら?」
「ん?何をだ?」
「ふふっ、あなたと最後に交わした『約束』よ。」
あいつはそう言って笑うと、「覚えてないんでしょ?」と言った。
「まぁ……覚えてなくはないぞ、こうやって約束は果たしたんだからな?」
「あら、やっぱり覚えていたのね?死に際に『また来世でも結婚しましょうね?』と約束したことを。」
「……まあな。」
俺は苦笑いをするとリリーに向かってワイングラスを掲げる。
「また今世でもよろしくな?」
するとリリーも同じ事をして「こちらこそ、よろしくね?」と言った。
まだまだ長い人生。
互いに元気に過ごしていこうな。
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