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第11章 冬休み編
2人とも、おめでとう!
しおりを挟む「なぁ……何の話だ?」
口をモグモグさせながら俺の方を見て、そう言ったセイン。……聞いていなかったんだね?
「どうやらローラがアンドリューの『番』とやらに選ばれたらしいぞ。ただ、それが何なのかはよく分からないがな。」
どうやらクロードは『番』というものが何なのかを全く知らなかったようで、そうセインに言って肩をすくめている。
セインもそれを聞いて首を傾げているので、彼も良く分かってないのだろう。
そんな中でローラだけは獣人にとっての『番』というものを知っていたらしく、驚いた顔でアンドリューを見た。
ローラに見つめられたアンドリューは、『番』独特な愛しい者を見るような目で微笑んでいる。
そんなアンドリューを見て、ローラも顔を赤くしているね。
……ふむふむ、ローラも満更ではなさそうだね?
そろそろ『番』効果が出てきたのかな?
これならアンドリューの『獣人の本能』とやらが安定した段階で2人は婚約し、あの『巫女』に何らかの処置をしてもらう事で上手くいくようになる、というわけだ。
俺がうんうんとにこにこ顔で頷いていると、先程『番』の事を知らなかった2人が俺に「知ってるなら教えろ」と目で訴えてきた。
それを見ていた国王は、2人に「『番』の事を知らぬのか?」と聞いた。
「……はい。知識不足で申し訳ありません。」
クロードは申し訳なさそうにそう言って頭を下げる。
すると国王は苦笑いをして「そんな気にすることではない」と言った。
「これは獣人特有の本能であって、他種族ではないものだからの。知らぬのもしょうがあるまいて。『番』というものはの、他種族でいうところの『妻』と同じなのだ。だがその通常の『妻』と違うのは、この『番』は『神が定めた相手』であり、成人した獣人でなければ見分けることは不可能。それも、出会えるかどうかは運次第であり、我みたいに出会えず普通に結婚することがほとんどなのだ。ちなみに我と妃ももし今後相手に『番』が見つかった場合、離婚して『番』と一緒になることは決まっておる。例えそれまでにどんなに愛し合っていようとも、『番』が現れればそれまでの愛情はすべて無くなり、今のアンドリューの様に『番』にしか目がいかなくなってしまうのだ。」
国王はずっとローラを見つめているアンドリューを苦笑いで見て説明してくれた。
それを見た2人も、何となく『番』というものが分かったようで、苦笑いをしている。
「では先程国王様が『番』と離ればなれになった場合の獣人について話していましたが、あれは本当のことなのでしょうか?」
「ああ、あれは本当のことだ。どうも実際に相当な胸の痛みを伴うらしいのだ。それと番を亡くした場合の話も先ほどしたが、少なくても獣人同士の場合はほとんど同じくらいの寿命になっているようで、間を置かずに亡くなるそうだ。他種族が『番』であった場合でも、そんな何年も違いはないのであまり問題になったという文献はない。だがこたびはそうはいかん。アンドリューは間違いなく今後何百年は生きる。だがそこにいる子はどんなに生きても何十年といったところであろう。先ほどの話では、それでは残されるアンドリューが辛かろう……という話だったのだ。」
国王の話に2人は「なるほど……」と真剣な表情になる。
「ではどう対処なさるのでしょうか?」
クロードが国王にそう聞くと、「それは我にもよくわからぬ」と返された。
「『巫女』がどの様な処置をなさるのかは我も分からぬ。だが、アンドリューの寿命をその子に分け与えることになるのか、はたまたその子の寿命をアンドリューと同じに揃えるのかのどちらかであるはず。……そこら辺はどうなっておるのでしょうかな?」
国王はチラッとユーリの方を見ると、そう言った。
対するユーリは、我関せずと気にもとめていない。
そんな2人を見て俺は苦笑いをしてユーリに聞くと、ユーリはもぐもぐと食べながらも「どちらも可能だと思うよ?」と答えてくれた。
「まぁ……そこはアンドリューが落ち着いて、『巫女』が処置をしたら何をしたのか教えてもらいましょう。」
俺は苦笑いをしたままそう言った。
皆もそれはそうだなといった顔で苦笑いをしたが、当事者となるローラは不安そうな顔をしている。
「大丈夫だって!どちらにしてもお前の寿命は俺たちなんかよりも長生きするんだし。」
「……それが不安なのよ。みんな同じ年なのに、私だけ取り残されるなんて。何だか怖いわ。」
ローラはとても心細そうな顔でしょんぼりしている。
そっかぁ……いつも一緒にいる兄弟と離れて暮らすのも不安だろうけど、その上その2人を見送る側になるわけだもんね。
流石に「3人とも同じ寿命にして」なんて言えないもんなぁ……。
「にぃに、それはどうかなぁ。『考えておくよ』って言ってるから可能性はあるけど、国のトップが長寿命だと、下手すると下の世代が世襲する前にお亡くなりになっちゃうよ?」
苦い顔してユーリがそう言った。
……あれ?俺、また口から出てた!?
慌てて周りを見渡すとみんな笑っている。
「ユーリ様、その場合は息子ではなく孫に継がせても良いのではないですかな?たまに聞きますぞ、息子に継がせるつもりが事故などで亡くなり、孫に継がせたとか。もしくは息子がとても優秀であるならば生前に交代をするのも可能でしょう。」
国王はユーリにそんな事を言う。
なるほど、そういう事も出来るんだね。
それなら引退したクロードが悠々自適に暮らすことも可能だし、『第二の人生』も楽しめるかも。
ともかく、夕方までにアンドリューが落ち着いたなら良いけど、そうじゃなかったら今夜も泊まることになりそうだね。
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