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第11章 冬休み編
ベビーダンジョン攻略 5
しおりを挟むダンジョンマスターの部屋に到着したのだが……そこはなんてことの無い、普通の洞窟の1部屋だった。
たが違いがあるとすれば、その洞窟の中には巨大で透明な石が台座に乗っている物があった。
ダンジョンマスターはそのとても巨大な石の台座のそばへと寄り、その台座についているボタンを押す。
するとその透明な石が光り、まるでモニターのように映像が映っている。
「なんだ、それ?なんかさっきまでいた場所が写ってないか?」
俺の言葉に、ダンジョンマスターの少年は振り返って「そうですね。先ほどいた場所を映しています」と答えた。
「それって……もしかしてダンジョン内をどこでも見れる物だったりする?」
「ええ、そうです。よくお分かりですね?」
「……いや、友人のダンジョンマスター達がどうしていつも俺の行動を知っているのかとても不思議だったんだよな。そうか、こんな道具があればどこでも覗けるよな。」
俺はダンジョンマスターの少年にそう言いつつ、今までの出来事を振り返っていた。
確かにいつもあの2人は……いや、3人か。
あの3人は俺の動きを常に見ていた気がする。
……特に、『ブレイズ』の前ダンジョンマスターは。
少し複雑な気持ちでモニターを見ると、残った5人はとりあえず後片付けを始めていた。
なるほど、確かによく見えるね。
「で?これを見せるためにここに来たわけじゃないんだろ?」
俺はそう言ってダンジョンマスターの少年を見る。
すると彼は頷き、更に違うボタンを押した。
すると次に現れた画面は、このダンジョンに出現させる魔物のデータの一覧表みたいなものだった。
「それ、このダンジョンに出る予定の魔物か?」
「はい、そうです。シエルさんがたっぷり魔力を補充してくださったので、こうやってたくさんの種類の魔物が出せるようになりました。」
彼はそう言うと一覧表を見て、先ほどリッキーが言っていた「アンデッドとドラゴンの様な巨大な魔物は出さない」という方向性の為に、それに該当する魔物を一覧表から除外していく。
そして残った魔物の中で、いわゆる『魔獣』と呼ばれるものだけを残していった。
「なぁ、さっきリッキーが言っていたように『魔獣』だけ出現するダンジョンにするのか?」
「その予定ですが……他に何か案がありますか?」
「そうだなぁ……5階層ごとのフィールドフロアには他の階層では出てこないような魔物を出すことにして、他の魔物も数種類は残しておけばいいと思うんだけど?」
俺は新たな提案をしつつ、残す魔物をピックアップしていった。
結局5階層ごとの魔物には、あまり大きくない爬虫類系も残してみた。
『魔獣』ばかりだと面白くないって思われたら嫌だしね!
「それで……次は何をするつもり?」
それまで黙って成り行きを見ていたユーリが、おもむろに声をかけてきた。
おぅ……てっきりいつものように黙って見ているだけかと思っていた。
そう、いつもなんで黙っているのか不思議に思っていて一度聞いたことがある。
すると「この世の事にはあまり関与しない事にしている」と言っていたのだが……俺が思うに、もうすでに結構関与しているんじゃないかな?
するとそれを聞いたダンジョンマスターの少年は一度、一覧表から顔をこちらに向けて「先ほどあなたたちの仲間の一人が『魔石を宝石に変えられないか?』と聞いてきましたよね?」と答えた。
「この一覧表からそれぞれの魔物の詳細を見ることができるのですが……そこからドロップ品を変えられるのかを試したことがなくて。それでちょっと試しに来てみたのです。」
少年はそう言うとまた一覧表に顔を向け、とりあえず1つの魔物をピックアップした。
それはよく見かける魔物のフォレストウルフだったのだが、それのドロップ品は魔石と爪だけだった。
「これを何とか違うものに変更できませんかねぇ……。どうやって変えればいいんだろう?」
少年は途方に暮れたような顔をして、画面を見つめる。
「なぁ、君は他のダンジョンマスターと通信できないのか?」
「……えっ?」
俺が少年にそう言うと、少年はとても驚いた顔で俺の方を見た。……えっ、知らないの?
「その表情だと、通信できることを知らなかったって事だね?」
「はい……全く知りませんでした。そんな事できるんですか?」
「ああ、できるらしい。俺も実際に話しているところは見たことないが、そうやって話を通してくれた事もあったから、間違いないと思う。」
俺の言葉に少年はとても目を輝かせ、「僕も他のダンジョンマスターとお話してみたいですっ!」と興奮気味に俺にしがみついてきた。
するとユーリがムッとした顔で俺と彼の間に入り込み、「にぃにに近づくな!」と拗ねだした。
「まぁまぁ、彼は生まれてからずっとひとりぼっちでこのダンジョンで奮闘してきたんだ。自分と同じ事をしている人と話を共有できることを知ってとても喜ぶのはユーリだって分かるだろ?」
「……。」
「じゃあユーリに聞くけど、皆はどうやって最初他のダンジョンマスターと連絡を取っているんだ?」
「……しょうがないなぁ、にぃにのお願いだから聞いてみるから、ちょっと待っててね?」
ユーリはそう言うと黙って天井に向かって目をやる。
しばらくそうやっていると、急に1つ頷き、俺の方を見た。
「にぃに、あの人がね、今回はこの小さなダンジョンマスターの為に1度だけ手を貸してくれるらしい。……君、少し待っててごらん。画面が切り替わるから。」
ユーリがそう言って少年を振り返ると、彼はとても喜んでうんうんと頷いた。
それを聞いて俺は少しホッとする。
この小さなダンジョンマスターがこれからの長い人生をずっと孤独で過ごさなくて良くなるのならそれにこしたことはない。
それに分からないことだらけの初心者だから、できればベテランと縁がつながると良いよね!
さぁ、誰と繋がるのかなぁ?
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