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第1章 出会い〜旅の始まり
ユーリのことについて話を聞こう
しおりを挟むとりあえず俺はしばらく自分の思考にどっぷり浸かってしまっていて周りが見えていなかったが、どうやらスコットさん達はユーリがとんでもなくこの世界にとって重要なドラゴンなんだということが分かってかなり動揺していたようだ。
とりあえず俺達がまた聞く姿勢に戻るまでルーシェさんは待っていてくれたが、あまりにも時間がかかりそうなので結局話し始めることにしたようだ。
「さて、ここまで話すとわかるとは思うが、ユーリちゃんは特別な存在でこの世に1体しかいないドラゴンなんだよ。それも神の代理だから神託も受け取ることができるしね。本来そんなドラゴンが従魔になるっていうこと自体がおかしいはずなんだけど、実はこの神竜、親が卵を産むわけではなく、神の力によって創り出された卵から産まれるんだよ。卵を神が選んだ人物に託し、その人物の魔力によって育てられるから必ずその人物の相棒になるんだ。」
「ルーシェさん、その事を言い切るってことは、何か根拠でも?」
俺はそこが気になって聞いてみたが、その答えはちょっと意外だった。
「ああ、僕は先代の神竜から直接話を聞いたからね。自分の死期が近いのを知っていたんだと思う。自分が亡くなった後にそういう過程で後継者が産まれるから見つけたら色々教えてやって欲しいって頼まれたんだよ。」
皆が驚いているとさらに驚くべき話をされた。
「皆知ってるかはわからないけど、図書館にもあるドラゴンの生態について書いてある本に『人間と共存していた神の代理となるドラゴン』っていうのがあるんだけど、このユーリちゃんのような神竜のことなんだ。それで、それを害そうとしたのが今でいう神聖法国なんだよ。当時の神竜は成竜だったから害されることはなかったけれど、今のユーリちゃんはまだ産まれたばかりの赤ちゃん。この意味、わかるかな?」
「……もしかしてユーリの存在を神聖法国に知られてしまうとかなりまずいってことですよね?」
「ああ、そうなんだ。もしかすると洗脳が成功して、この世界が狂ってしまう可能性もありうるからね。」
ルーシェさんにそんな事を言われるとかなり信憑性があって怖いな。
俺は思わずユーリをギュッと抱きしめてしまったが、ルーシェさんの話を本人(本竜?)は気にしていないのか、「キュッキュ~!」と鳴いてご機嫌だった。
俺が2人の顔を見ると、それぞれ頷いてくれた。
多分一緒に守ろうとか秘密は絶対に守るとかそういうことなんだと思う。
「ありがとう、2人共。そしてユーリ、お前にはしばらく不自由をさせるが我慢してくれな。」
「キュッ!」
これから行動に不自由をさせることになるユーリに話しかけると鳴きながら頷いてくれた。とても賢い子だなぁ。
「さてシエルくん、先代の神竜からの伝言でもあるんだが、ドラゴンたちの住む山に行って子育てをしたければ案内するよ?実はその山なんだけど、裾野の森には僕達エルフが住んでいて勝手に登ろうとする者を排除しているんだよ。だから登るにはエルフの里の長老に許可をもらう必要があるんだ。もし他のドラゴン達に会ってみたければ僕に声をかけてね?連れて行ってあげるからさ!」
そう言ってルーシェさんは俺に向かってウインクをした。
そっか、そういえばあの本にも『全てのドラゴン達は人間から離れてどこか人が来れないような場所へと去っていってしまった』ってあったもんな。
そんな簡単には行けるわけないよな。
「わかりました、いつかはユーリを他のドラゴン達に会わせてあげたいと思っているので、その時はよろしくお願いします!」
「ああ、その時は任せてくれ。」
そのあと俺たちはルーシェさんのドラゴンの話やエルフの里の話なんかを色々聞かせてもらった。
どうやらドラゴン達はその山以外にも住んでいる種があるらしい。
その山の中でも種類によって住処が違い、火属性のレッドドラゴンは火口の中、水属性のブルードラゴンは湖の中や海の中、風属性のグリーンドラゴンは自由気ままに空を飛び、土属性のドラゴンは森の中や山頂付近に、いるらしい。
だからその山以外でも会うことができる可能性があるのはブルードラゴンとグリーンドラゴンなんだって。
グリーンドラゴンはホント行動が読めないくらい自由な性格の竜らしく、世界のあちこちで目撃されているのは皆その種なんだそうな。
ドラゴンたちは知能がとても高いから人語も理解し話せるけれども、それぞれの属性竜の長達は人化もできるそうだ。
それを聞いて俺はニヤニヤが止まらない。
そっかぁ、なるほどぉ~……っていうことは、いつかはユーリも人になれるのかな!?
そして俺はふと、そんな情報をリリーさんが知ってしまったらどうなってしまうだろうか?と考えた。
……まずいな、テンションがやばいことにしかならない気がしてきた。
ふと、リッキーさんの方を見た。
するとリッキーさんもちょうどこちらを向き、お互いに真剣な顔で目線を合わせて頷き合う。
この情報はリリーさんにはしばらくの間ほ内緒にしなければならないと!
とにかく、ユーリが言葉を話せるようになるだけじゃなく、人化もできるようになるかもしれないと考えると、今からすっごく楽しみだなぁっ!
そしてエルフの里に関してはまだまだ話せないことがいっぱいあるせいでドラゴンほど詳しくは話してくれなかったが、意外なことが分かった。
俺の想像ではエルフの里っていうのは木の幹を多少加工した樹状ハウスとかの自然と調和しているイメージだったんだけど、実際はそうではなくて森の中の開けた場所に結界の張られた村があって、村の中はいたって普通の家屋が並んで建っているらしい。
その結界は周囲1キロほどに渡って張られ、入り込んだ人や魔物の方向感覚を狂わせてテリトリーからいつの間にか出ていってしまう、そんな結界だそうだ。
もちろん村に住んでいる人なんかは平気だけどね。
「もしエルフの里に行くことになったら、シエルくんには魔法の才能があるようですし長老にお願いしていろいろな魔法を習うと良いですよ。私からもお願いしておきますからね。」
「はい、それはとても楽しみですね!」
するとずっと黙って話を聞いていたリッキーさんが急に手を上げた。
「はい、リッキーくん。」
「1つ質問です!その長老に魔法を習えるのはシエルだけですか?」
「いえ、他のメンバーの事も頼むことは可能だと思いますよ?」
「じゃあじゃあ、俺やエミリー、リリーも少しでいいので習いたいでっす!」
そうリッキーさんがお願いすると、ルーシェさんは「一応、一緒に頼んでみますね。」とにこやかな笑顔とともに言ってくれた。
エルフの里に行ったら4人で仲良く学べると良いな!
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