49 / 529
第1章 出会い〜旅の始まり
風呂場にて
しおりを挟む「それはそうと女将さんが言っていたんだが、今夜の夕飯に出た『カレー』とかいうメニュー、君が作ったんだって?」
急に暁の星のリーダーがそう聞いてきた。
「俺の名前はシエルっていいます。これからは名前で呼んでくださいね!あと、確かに今夜のメニューのカレーは俺が作りましたよ?」
俺がそう言うと、リーダーさんは自分も最初の自己紹介で名前を言ってなかったことに気がついたようだ。
「すまなかった、お互いに名前を言ってなかったな。俺は暁の星でリーダーをやっているブラックという。改めてよろしくな!」
「はい、よろしくお願いします!」
「俺はスコットという。で、こっちがリッキーだ。」
みんなで今更ながらの自己紹介が終わると、ブラックさんが口を開いた。
「やっぱりカレーはシエルが作ったんだな。実はうちのメンバーで何人か食べたんだが……あ、もちろん俺も食べたが、あんないろんな香辛料が入っていて複雑な味の食べ物は初めて食べたよ。やみつきになる美味さだったな!」
そう言ってブラックさんはニカッと笑った。
おぉ~、メンバー以外で実食した人のリアルな感想もらったよ!
そうだよね、カレーって中毒性あるよね~、わかるよぉ!
俺がブラックさんの言葉にうんうん頷いていると、突然リッキーさんが一言、苦々しげに言った。
「シエルはお前達にはやらないからな。」
俺は思わず「えっ?」と聞き返してしまったが、言われた本人のブラックさんは少し驚いていた。
「シエルはもう正式にうちのメンバーなんだから、暁の星には移籍させないぞ。なぁ、シエル?」
「は、はいっ!移籍なんて考えたことありませんから大丈夫ですよ!」
俺は慌てて、そう返事した。
俺のその発言を聞いてリッキーさんとスコットさんはホッとした顔をして、ブラックさんは残念そうな顔をした。
あれ?もしかしてブラックさんはホントに移籍して欲しかったのかな?
「それは残念だ。うちも毎日あんなに美味しい料理を食べられたら良いなと思っていたからな。」
なるほど、料理番で欲しかったのね。
それを聞いて俺は苦笑いをする。
「すみません、期待されているところ申し訳ないんですが、俺そんなに料理が上手ってわけじゃないですよ?」
そう、単に日本の調味料とかが素晴らしいだけだと思う!
俺がそう言うとブラックさんは残念そうに「完璧に振られたなぁ」と苦笑した。
それからブラックさんは思い出したかのように話し出した。
「そうそうこの前ギルドの解体場で会っただろ?あの後俺たちもオークを買い取りに出してきたんだが、スコット達はすごい量のオークを倒してきたんだな!……お前たち、確かBランクなんだよな?それにしては凄く強くないか?」
スコットさんたちは話の途中から何を聞かれるのか分かったらしく、苦笑いしている。
2人は目線を合わせると、代表としてスコットさんが答えた。
「……確かに俺たちの実力はもっと上だという自覚はある。だがあまり高ランクすぎると国に目をつけられて、今までのような自由に生活ができなくなるからな。だからこのままで良いんだよ。俺たちの実力は、知り合いのギルマスだけが知っていれば良いんだ。……それに今回のオークの巣の殲滅依頼で、俺たちもまだまだ上に行けると分かったしな。」
それを聞いたブラックさんは苦笑いのまま頷いた。
「それもそうか、Aランクともなるとギルドは国にその存在を報告しなければならず、本人たちは移動したら必ずギルドに滞在することを報告しないとならないもんな。そりゃあ自由にしていたい奴は昇進試験は受けないか。だがほとんどの冒険者は国に認められて『お抱え冒険者』になりたい奴らばっかりだがなぁ。」
「……良いんだよ、俺たちは目立ちたくない。」
いつもはとてもフレンドリーな雰囲気をしているリッキーさんが、珍しく硬い表情だ。
あ、そういえば前にリリーさんが神聖法国に捕まえられたって言っていたっけ……。
さらに強くなると神聖法国だけじゃなくて他の国にも目をつけられて、強制的に国のものにされたりしたら困るもんね。
それでもまだスコットさんたちだけならまだいいが、俺がいる時点でアウトだ。
あちこちの国から狙われてしまう。
そう考えると冒険者ランクのレベルアップは良し悪しなんだね。
それからブラックさんは先に上がっていき、風呂場は俺たちだけになった。
「冒険者ランクが上がるのも良し悪しなんですね。まさかAランクになると国に報告が入るなんて知りませんでした。」
「そりゃあそうだろうな、通常受付では説明されないからな。俺たちはルーシェから教えてもらったんだ。」
「そうそう、ギルマスから『Aランクになると国に報告しなければならなくなり、自由に国を跨いで活動することができなくなるから、Aランクになるのはよしたほうが良いよ?』って言われたんだよ。」
「えっ、国の移動も禁止なんですか!?」
「そうなんだ。国としては貴重な高ランクを他国に取られたくないのと、高ランクを偵察や何かに他国へ派遣したなんて思われたくないからな。」
なるほどねぇ~……高ランクともなるとそれだけで兵士何人分もの強さがあるもんね。
そりゃあ警戒されるか。
俺はまだまだ低ランクだから、頑張ってみんなと同じランクまでは上げるけど、揃ったらそれ以上ランクは上げなくていいかな。
そんな事を話しているうちに流石にのぼせそうになり、上がって部屋に戻ることにした。
部屋に戻るとまだユーリは帰ってきておらず、とりあえず俺は山田にメッセージを送る。
「『風呂から上がってきたから電話できるぞ』っと。あ、そうだ、買い物リストも送っておくか?」
とりあえず俺は電話する前に買い物リストを作っておくことにした。
「やっぱり炊飯器とIHコンロは欲しいなぁ。そうすれば部屋でも料理の作り置きを作ったり、旅の間もかなり楽することできそうだしな!あとは……いろんな調味料を頼もう!醤油とみりん、料理酒、砂糖、塩、酢は外せないよね。あとはチューブのすりおろし生姜やすりおろしにんにく、焼肉のタレやステーキ醤油なんかもあるとバリエーションあるよね!あ、顆粒だしもお願いしよう!なんか久しぶりの料理、意外と楽しみだな!」
俺は他にも日本のいろんな食材を買ってもらおうとリストを作りつつ、山田のところからユーリが帰ってくるのを待つことにした。
858
あなたにおすすめの小説
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。
キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~
サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。
ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。
木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。
そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。
もう一度言う。
手違いだったのだ。もしくは事故。
出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた!
そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて――
※本作は他サイトでも掲載しています
猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。
異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。
ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
お人好し転生鍛冶師は異世界で幸せを掴みます! ものづくりチートでらくらく転生ライフ
かむら
ファンタジー
旧題:生鍛冶師は異世界で幸せを掴みます! 〜物作りチートで楽々異世界生活〜
剣持匠真は生来の不幸体質により、地球で命を落としてしまった。
その後、その不幸体質が神様によるミスだったことを告げられ、それの詫びも含めて匠真は異世界へと転生することとなった。
思ったよりも有能な能力ももらい、様々な人と出会い、匠真は今度こそ幸せになるために異世界での暮らしを始めるのであった。
☆ゆるゆると話が進んでいきます。
主人公サイドの登場人物が死んだりなどの大きなシリアス展開はないのでご安心を。
※感想などの応援はいつでもウェルカムです!
いいねやエール機能での応援もめちゃくちゃ助かります!
逆に否定的な意見などはわざわざ送ったりするのは控えてください。
誤字報告もなるべくやさしーく教えてくださると助かります!
#80くらいまでは執筆済みなので、その辺りまでは毎日投稿。
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
剣の世界のβテスター~異世界に転生し、力をつけて気ままに生きる~
島津穂高
ファンタジー
社畜だった俺が、βテスターとして異世界に転生することに!!
神様から授かったユニークスキルを軸に努力し、弱肉強食の異世界ヒエラルキー頂点を目指す!?
これは神様から頼まれたβテスターの仕事をしながら、第二の人生を謳歌する物語。
追放されたけど実は世界最強でした ~元下僕の俺、気ままに旅していたら神々に愛されてた件~
fuwamofu
ファンタジー
「お前なんか要らない」と勇者パーティから追放された青年リオ。
しかし彼は知らなかった。自分が古代最強の血筋であり、封印級スキル「創世の権能」を無意識に使いこなしていたことを。
気ままな旅の途中で救ったのは、王女、竜族、聖女、そして神。彼女たちは次々とリオに惹かれていく。
裏切った勇者たちは没落し、リオの存在はやがて全大陸を巻き込む伝説となる――。
無自覚にチートでハーレムな最強冒険譚、ここに開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる