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第2章 エルフの隠れ里〜
街の外に出てみた!
しおりを挟む門をくぐって一歩外へ出ると、なんだか不思議な感覚に包まれた。
なんて言えばいいんだろう……まるで見えなくて濡れない水の中に入り込んだ感じがする。
別にホントに水の中にいるわけじゃないので動きにくいわけではない。
ただ、なんだか少しヒヤッとした『何か』に包まれている、そんな感じだ。
俺はルーシェさんの隣を歩いていたので、スコットさん達の方を振り返る。
するとなんだか俺と違って、皆はボ~ッとしている人もいれば、しきりに頭を振っている人もいる。
いったい皆、どうしたんだろう?
俺は隣にいるルーシェさんの方を見る。
ルーシェさんも皆を振り返っていて、その症状を観察していた。
「……どうやらリリーとエミリーはこのまま進むのは厳しいかな。2人共このまま門の中に戻って中で少しだけ待っててよ。森の中を一周したら戻るからさ。」
なるほど、ボ~ッとしていた2人は自分ではぐれないようにする判断ができないから居残りなんだね。
さっき頭を振っていた2人はもう頭は振っておらず、ルーシェさんの言葉でエミリーさん達を門のところまで連れて行ってライトさん達に引き渡していた。
2人が戻ってくるとルーシェさんが「良いかい、しっかり僕やシエルくんのことを認識できなくなってきたらちゃんと僕たちに伝えてね?」と2人に伝えた。
それから改めて4人と1匹で森の中を探索することになった。
森の中はとても静かで、鳥のさえずりと俺たちの歩く葉擦れの音しかしない。
ユーリは街中じゃないからなのか、俺の腹から離れて木々の間をヒュンヒュン飛び回っている。
……おや?
どうやらただ飛んでいたわけじゃないらしい。
帰ってきたユーリの両腕には何羽もの大きな鳥が抱えられていた。
『ママ、見て見て!いっぱい美味しそうな鳥を捕まえてきたよ!今度これを唐揚げにして欲しいな!』
そんな事をユーリが言う。
そんなに唐揚げが美味しかったのか。良いよ、作ってあげよう!
それを見ていた3人は呆れた顔をしながらも微笑ましいものを見るような表情をしていた。
それからさらに森の中を歩いていると、急に強い魔物の気配がした。
それは俺だけでなく皆が感じ取ったようで、すぐに臨戦態勢を取る。
するとその強い魔物の気配が威嚇から警戒になり、しばらくするとその警戒している気配すらなくなり、ゆっくりと森の奥から姿を現した。
それは白銀の9つの尻尾を持つ巨大な狐だった。
その狐は俺とユーリの目の前に近寄ってくると、ちょこんとお座りをして俺たちを見下ろしてきた。
「お初にお目にかかります、聖獣妖狐でこざいます。新しい神竜様におきましては素晴らしい御方をパートナーに選ばれたようで、とても羨ましい事でございます。是非とも私とも契約を結んでもらいたいのですが、いかがでしょうか?」
妖狐からそんな事を言われて俺は驚いた。
えっ、いったい俺の何を見て契約したいって思ったの???
俺がそんなふうに少し混乱していると、お伺いを立てられたユーリは眉間にシワを寄せて悩んでいた。
『君はなんでママと契約したいと思ったのぉ?』
「そんなのは決まっているではないですか。自分より強い者に惹かれるのはもちろんのこと、貴方様のそばにいられるではないですか。」
『何のために側にいたいの?』
「神竜様は聖獣のトップであられますれば、やはり我々聖獣といたしましても一度はお目にかかりたく存じます。さらにそのお側にいられるとなれば、それは誉れとなりますれば…」
『なるほどぉ、僕に仕えたいっていうわけだねぇ?』
ユーリが妖狐の言葉に、かぶせ気味に話す。
『ママはどう?従者はいる~?』
と、突然そんな事言われてもなぁ……。
別に従者は必要とはしてないけど……そもそも大きい狐が人間みたいな従者になれるわけないしねぇ?
俺がそうユーリに言うと、それに答えたのはユーリではなく妖狐だった。
「なるほど、人の姿になればよろしいのですね?」
そう一言言うと、飛び上がって一回転し、着地するときにはもう人型になっていた。
えっ、人化できるの!?すごいね!
「これでよろしいでしょうか?」
そう言った妖狐は、執事服を来た細身の壮年のイケメン男性姿だった。
髪は白銀の長髪を後ろで一つに縛っている。
何となく話し方から執事っぽいなとは思っていたけど、まさにドンピシャだったね!
「これで貴方様の契約獣としてもらえるのであれば、何でもいたしますよ?」
う~ん、確かに『人』ならばいろいろ手伝ってもらえるから助かるよね?
「ユーリはどう?1人仲間が増えても大丈夫?」
『うん、僕はママが楽できるなら良いよぉ!それに人化も教えてもらえそうだしねぇ。』
あ、そっか、ユーリも人化スキル持っていたね!
それを覚えたら、もうどこでもユーリと歩けるし、彼は俺たちの仲間になってもらおうかな!
「じゃあ君と契約をしたいんだけど、どうすれば良い?」
俺がそう言うと妖狐はとても嬉しそうな顔をして「それでは私の額に手を置いてもらえますか?」と言って、俺の目の前に跪いた。
俺は彼の額に手を置くと、急に額と掌の間から光がほとばしり出てきた。
周りが眩しい光に満たされた後、その光が消えると彼の額には俺の手にある印と同じものが小さく付いていた。
「これで私はあ貴方様の契約獣となりました。これからはどうぞよろしくお願いします。」
そう言って妖狐は優雅に一礼した。
「シエルくん、彼に名前をつけてあげてね。それで彼を縛れるから。」
それまで成り行きを見守っていたルーシェさんが俺にそう言って、名前をつけるよう促した。
ん?縛る?名前をつけると相手の行動に制限をかけられるようになるってことか?
気になりはしたが、とりあえず名前をつけなければ。
「君の名前は……執事服を着ているし『セバス』なんてどうだろう?」
安易だけどな!と心の中で思ったが、別にみんなは意味が分からないだろうし良いと思う!
「私の名前はセバス…了解いたしました、これからはセバスとお呼びになってください。」
「ああ、これから宜しくな、セバス。」
ずっと黙ったままのスコットさんとリッキーさんを見ると、ものすごく驚いた顔のまま固まったいた。
……だよねぇ~、そうなるよねぇ~。
「さて、ホントはまだ森の中を散策したかったんだけど……ユーリちゃんは獲物を、シエルくんは従者を手に入れたし、街に戻ろうか。」
そう言うルーシェさんにみんなは同意した。
なんか短い間にいろいろあったけど、街に戻ろうかな。
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