異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

文字の大きさ
92 / 529
第2章 エルフの隠れ里〜

えっ、どういうこと!?

しおりを挟む

俺が山田とテレビ電話をしている時、ドアをノックする音がした。
どうやらリッキーさんがお風呂に行かないかと誘ってくれたようだ。

俺は山田にスノーホワイトのメンバーを紹介したかったから、まずはちょうど良いからリッキーさんを一番最初に会わせることにした。

「リッキーさん、ちょっと入ってきてこっちに来てもらえませんか?」

俺がドアの外にいるリッキーさんにそう答えた。

リッキーさんはお風呂道具を抱えながら中に入り、どうしたのかとこちらに近づいてきた。

「山田、お前さっき話していただろ?うちのメンバーに会いたいって。」

『ああ、そう言ってたな。もしかして、そのうちの誰かが今来たのか?』

「そうなんだよ!……リッキーさん、ここに映っているこいつが、元の世界にいる俺の親友の山田です!」

俺がリッキーさんに山田が映っているスマホを見せると、リッキーさんは最初は何のことだ?みたいな顔をしていたが、徐々に目を見開いていき、そして叫んだ。

「それを貸せっ!」

すぐにリッキーさんは持っていたものを放りだしてスマホを俺からひったくると、何も言わずに通話を切った。

……えっ、どういう事!?

俺はびっくりしてリッキーさんを見上げた。

リッキーさんは痛みでなのか顔を歪め、右手でスマホを持ちながらもう片手は頭を押さえている。

痛みのせいなのか、体中から急に汗が吹き出して着ている服の色が変わっていた。

「だ…大丈夫ですか!?ものすごい汗ですよ!?」

俺がリッキーさんを支えようと駆け寄ると、突然リッキーさんに抱きしめられた。

「うっ!くっっ!!頭が割れるように痛いっ…!!」

リッキーさんは痛みを堪えるかのように俺を強く抱きしめた。

その体はすごく熱かった。

急にこんなことになってしまったが、一体どうしたんだろう!?

すると、いきなりリッキーさんの体から目が眩むほどの光が迸った。

俺はあまりの眩しさに目を瞑りはしたが、力が抜けていくリッキーさんを支えるためにさらに腕に力を込めた。

しばらくするとその光はリッキーさんに吸い込まれるように消え、何事もなかったかのように部屋は静まりかえった。

一体何があったのかとリッキーさんの顔を見ると、彼は俺を見つめながら大粒の涙を流して泣いていた。

「えっ!?どっ、どうしたんですかっ!?どこか痛いんですか!?」

俺は慌ててリッキーさんの身体をあちこち見ながら聞く。
身体の熱はもう下がっているようだ。

だがリッキーさんは緩く首を振って答えた。

「いや、今はもうどこも痛くないよ。熱も、もう下がったようだ。ずっと支えてくれてありがとう、紫惠琉。」

「もう何ともないなら良いんですけど……。」

俺がそう言うと、リッキーさんは自分が右手に握っていたスマホを見ながら苦笑いをする。

「そうか、あの時の奴が『リッキー』だったんだな。あの時はめちゃくちゃ失礼なやつだ!と思ったものだが……フッ、『自称神様』の言った『いつか』は今日だったんだな。それにしても『目印』って、もしかして俺の能力の事だったんじゃないだろうな?まあその能力のおかけで、俺は目覚めたんだが。」

俺にはリッキーさんが一体何を言っているのか理解できない。

えっ、「あの時の奴が『リッキー』だったんだな」って、どういう事!?

自分の名前が『リッキー』じゃん!?

俺もリッキーさんの言葉でだいぶ混乱しているようだ。

「やっと……やっとこっちの世界に来れたぞ、紫惠琉。やっとお前とこうやって会えたんだ。……長かったなぁ。」

「……」

「まぁ、お前にはわからないだろうが、俺はリッキーであり……山田でもある。」

へっ!?どうしたの、リッキーさん!?

俺が目を見開いて驚いていると、リッキーさんは苦笑いをしながら俺に話しかけてきた。

「さっきの出来事だが、スマホに映っていた山田の姿を見て、俺の能力が勝手に発動したんだ。それによってあの後の山田の人生が脳裏にものすごい速さでフラッシュバックされて、そのせいで頭が割れるように痛くなったが……おかげでここに至るまでのこと全てを思い出せたよ。」

えっ……ホントに山田なの?

リッキーさん、山田になっちゃったの?

じゃあ、今の山田はどうなったの!?

死んじゃったの!?

俺は思わずリッキーさんにしがみつき、そう叫んだ。

するとリッキーさんは俺の頭を撫でながら語ってくれた。

どうやら今現在の山田は普通に日本で先程のリッキーさんの対応に怒っているだろうとのことだ。

そしてこの後、スマホに送られてきた俺からの買い物リストを見て、その数に驚きつつもちゃんと買って鞄に入れてくれるそうだ。

その後の人生としては、山田は俺の家族と神様から貰った鞄を通して交流が生まれ、数年後に姉さんと結婚して子供2人に恵まれるらしい。

そして……人生の最後の日、山田が言う『自称神様』という存在が山田の魂を迎えに来たらしい。

そして山田はこちらの世界に来て、リッキーとして生を受けたそうだ。

だがしかし、それを覚えていたのも名付けされるまで。
名付けされてからさっきまで、すっかり忘れていたそうだ。

「そう考えると、お前との最初の出会いもやっぱり『自称神様』が仕組んだことなんじゃないか?と思えてくるよな。」

「そうだな、俺が初めてこっちの世界に来た時、みんなが戦っているところに『偶然』出くわしたんだもんな。」

俺が感慨深くうんうんと頷いていると、山田……リッキー?

とりあえずこっちの世界ではリッキーと呼ぼうか。

リッキーがニヤリとしながら俺を見た。

「そういえばお前、こっちに来たの、俺だけだと思ってないか?」

俺はそのセリフに驚く。

えっ、山田の他にもいるの!?

「いるぞ、俺が知っているのはあと3人だがな。」

「えっ、それ誰!?」

「お前の身近な奴だよ。」

一体誰よ!?

俺はそう思ったが……ふとその内の2人にはなんとなく心当たりがあった。

「……もしかして、兄さんと姉さん?」

すると再びニヤリとした、リッキー。

「正解。義兄さんは俺より何年か早く亡くなり、友梨佳は俺より後に亡くなったはずだ。どちらも何となく誰だか分かるだろう?」

「もしかして……兄さんが『スコット』さんで、姉さんが『リリー』さん?」

「これまた正解!ついでにバラすと、残りのエミリーは惠美さんだがな。」

なんですと~っ!?

兄弟の世代がみんな来たの!?

えっ、どういうこと!?
しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~

サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。 ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。 木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。 そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。 もう一度言う。 手違いだったのだ。もしくは事故。 出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた! そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて―― ※本作は他サイトでも掲載しています

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

お人好し転生鍛冶師は異世界で幸せを掴みます! ものづくりチートでらくらく転生ライフ

かむら
ファンタジー
旧題:生鍛冶師は異世界で幸せを掴みます! 〜物作りチートで楽々異世界生活〜  剣持匠真は生来の不幸体質により、地球で命を落としてしまった。  その後、その不幸体質が神様によるミスだったことを告げられ、それの詫びも含めて匠真は異世界へと転生することとなった。  思ったよりも有能な能力ももらい、様々な人と出会い、匠真は今度こそ幸せになるために異世界での暮らしを始めるのであった。 ☆ゆるゆると話が進んでいきます。 主人公サイドの登場人物が死んだりなどの大きなシリアス展開はないのでご安心を。 ※感想などの応援はいつでもウェルカムです! いいねやエール機能での応援もめちゃくちゃ助かります! 逆に否定的な意見などはわざわざ送ったりするのは控えてください。 誤字報告もなるべくやさしーく教えてくださると助かります! #80くらいまでは執筆済みなので、その辺りまでは毎日投稿。

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

剣の世界のβテスター~異世界に転生し、力をつけて気ままに生きる~

島津穂高
ファンタジー
社畜だった俺が、βテスターとして異世界に転生することに!! 神様から授かったユニークスキルを軸に努力し、弱肉強食の異世界ヒエラルキー頂点を目指す!? これは神様から頼まれたβテスターの仕事をしながら、第二の人生を謳歌する物語。

追放されたけど実は世界最強でした ~元下僕の俺、気ままに旅していたら神々に愛されてた件~

fuwamofu
ファンタジー
「お前なんか要らない」と勇者パーティから追放された青年リオ。 しかし彼は知らなかった。自分が古代最強の血筋であり、封印級スキル「創世の権能」を無意識に使いこなしていたことを。 気ままな旅の途中で救ったのは、王女、竜族、聖女、そして神。彼女たちは次々とリオに惹かれていく。 裏切った勇者たちは没落し、リオの存在はやがて全大陸を巻き込む伝説となる――。 無自覚にチートでハーレムな最強冒険譚、ここに開幕!

処理中です...