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第3章 スノービーク〜
……うまくいくかな?
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俺たちは正直に、ウォールさんに当時の状況を1から話して聞かせた。
「……で、見かねてお前が出てきたらミストが魔法の準備をし始めた、と。そういう事なんだな?」
「そうなんだ。俺は何の魔法が来ても受け止められるよう、防御用に魔力を高めていただけだ。魔法自体は使っていない。」
俺達の話を聞き終わった後、ふむと顎に手を当ててウォールさんは考え込む。
「なるほどなぁ……確かにその方が情報と辻褄が合う。問題はその事を証明してくれる人がいるかだな。その場にいた人でここに連絡してくれた人はいたが、その人は実際に魔法を使ったところは見ていないんだ。そして門番も同様にその目で見たわけではなく声を聞いただけで、遠目で上空から雷が落ちるのを見ることは出来たが、誰が使ったかまでは分からないんだ。だから目撃証言が必要になる。」
「……だけど、街の人はヘイス叔父一家を怖がっているから本音を言えずに誰も証言をしてくれないってわけか。う~ん、このままではまたうやむやにされちゃうぞ?」
リッキーは眉間にシワを寄せて考えながらそう言った。
確かにそれじゃあ証言をしてもらえないどころか、嘘をつかせてリッキーに罪をなすりつけてきそうだ。
「あの時、誰か顔見知りの人はいなかったのかなぁ……。もしいれば、何とか頼み込んできちんと証言してもらえるかもしれないんだけど。」
「あとは……ヘイス叔父一家を追い出すのに協力してもらうために街のみんなに立ち上がってもらうか、だな。」
「それは簡単そうでいて、難しいわね。かなり根深いもの、ヘイスさん達の支配力は。」
俺の言葉に、リッキーとエミリーさんが続く。
そうだよね、どうも話に聞くと相当前から街の皆を支配していた感じだよね。
その間、ウォールさんはどう思っていたんだろう?
俺達の話を聞いていたウォールさんが、顔を手で覆って悩み始めた。
「実の弟を街から追い出すのにはやはり迷いがある。小さい時から一緒に過ごしてきた、たった1人の弟だからな。私はこれまで弟にいろいろとしてあげていたが、それのせいで弟が『自分は将来、領主になるんだ』と勘違いしまったのも、今となっては後悔している。」
どうやら本人の自覚もあったらしい。
ヘイスさんとしては、次期領主になる予定の兄が自分の事を可愛がって何に対しても優先してくれている。
そんな状態では兄を甘く見て、『自分のほうが立場は上だ!』と思い込んでしまったんだろう。
「とにかく、こうなっては私の方でも街の人に働きかけてみることにする。……私も、そろそろ腹をくくらなければならないのだろうな……。」
顔を覆っていた手をどかすと、その下の顔には疲れ果てたような表情があった。
それから俺達は執務室を退室して、玄関へ向かう。
玄関先で3人に対して「危ないだろうから、できるだけ家にこもっていたほうが良い」と伝え、スコットさん達とその場で別れた。
その後、残った4人で俺の部屋へ向かう。
リッキーはまた部屋にいるとあいつらがやってくると面倒だから、とりあえず夕飯まで俺の部屋に避難することになったのだ。
はぁ…、これからどうするかなぁ。
- - - - - - - - - -
(ヘイス視点)
私は兄の執務室でリッキー達と会った。
私が息子たちに聞かされたことを報告に来たところ、彼らも報告に来たのだ。
たぶん彼らは自分たちに都合の良いことをでっち上げるに違いない。
こんな所で無駄に怒りを感じるのも癪なので、早々に部屋を出てきた。
それから私は敷地内にある私の家へ向かう。
そこには私と息子2人、それとメイド数人が住んでいる。
メイドに関しては母屋のメイドと交代で仕事をしているようだ。
私は自分の屋敷の中に入ると、自分の部屋に戻った。
その道すがら、息子たちに私の部屋に来るよう伝えた。
兄から聞かされたことを、一応息子たちに問いかけるためだ。
部屋に息子たちが来ると、さっそく気になったことを聞いてみた。
すると2人は顔を青ざめつつ、ポツリポツリと答えた。
どうやら兄のところに来た報告は正しかったようで、兄の予想通りの展開があったらしい。
私は思わす額に手をやって、天を仰ぐ。
困った展開だ……。
このままでは息子たちのほうが法を犯したので、犯罪人になってしまう。
まぁ兄のことだから、私か泣きつけば罪はなかったことにしてくれるだろう。だから問題ない。
でもだからといって、証拠も今のところ上がっていないのだ。
街の奴らには証言しないよう圧力をかけてさえおけば……もしくは嘘の証言をさせるのも良いかもしれない。
「なんで初めから本当のことを話さなかった?もし最初からその事を知っていれば対応も変わっていたのに!」
私が怒りもあらわに息子たちを怒鳴りつけると、2人は謝罪の言葉を言ってくる。
「はぁ……まぁもう過ぎてしまったことだからしょうがあるまい。ともかく早めに次の手を打たないとならん。お前たちはすぐに街へ向かい、街中の連中にさっきの騒動のことはしゃべるなと圧力をかけてこい。いいな!」
私はそう言って息子2人を街へ送り出した。
一人になった所で、ソファーにもたれかかって力を抜いた。
なんとか上手く行けばよいが……。
もし駄目だったら、もう1度兄の所へ行って先ほどの態度を謝り、罪を無かったことにしてくれるよう頼んでみよう。
兄は私に甘いので、間違いなく受け入れてくれることだろう。
私はもう一度ため息をつき目を瞑っていると、だんだん眠くなってきたようだ。
その意識がなくなる頃、胸ポケットに入れていた『黒い球』が薄っすら光りだしていたのだが、その事に私は気が付かなかった。
「……で、見かねてお前が出てきたらミストが魔法の準備をし始めた、と。そういう事なんだな?」
「そうなんだ。俺は何の魔法が来ても受け止められるよう、防御用に魔力を高めていただけだ。魔法自体は使っていない。」
俺達の話を聞き終わった後、ふむと顎に手を当ててウォールさんは考え込む。
「なるほどなぁ……確かにその方が情報と辻褄が合う。問題はその事を証明してくれる人がいるかだな。その場にいた人でここに連絡してくれた人はいたが、その人は実際に魔法を使ったところは見ていないんだ。そして門番も同様にその目で見たわけではなく声を聞いただけで、遠目で上空から雷が落ちるのを見ることは出来たが、誰が使ったかまでは分からないんだ。だから目撃証言が必要になる。」
「……だけど、街の人はヘイス叔父一家を怖がっているから本音を言えずに誰も証言をしてくれないってわけか。う~ん、このままではまたうやむやにされちゃうぞ?」
リッキーは眉間にシワを寄せて考えながらそう言った。
確かにそれじゃあ証言をしてもらえないどころか、嘘をつかせてリッキーに罪をなすりつけてきそうだ。
「あの時、誰か顔見知りの人はいなかったのかなぁ……。もしいれば、何とか頼み込んできちんと証言してもらえるかもしれないんだけど。」
「あとは……ヘイス叔父一家を追い出すのに協力してもらうために街のみんなに立ち上がってもらうか、だな。」
「それは簡単そうでいて、難しいわね。かなり根深いもの、ヘイスさん達の支配力は。」
俺の言葉に、リッキーとエミリーさんが続く。
そうだよね、どうも話に聞くと相当前から街の皆を支配していた感じだよね。
その間、ウォールさんはどう思っていたんだろう?
俺達の話を聞いていたウォールさんが、顔を手で覆って悩み始めた。
「実の弟を街から追い出すのにはやはり迷いがある。小さい時から一緒に過ごしてきた、たった1人の弟だからな。私はこれまで弟にいろいろとしてあげていたが、それのせいで弟が『自分は将来、領主になるんだ』と勘違いしまったのも、今となっては後悔している。」
どうやら本人の自覚もあったらしい。
ヘイスさんとしては、次期領主になる予定の兄が自分の事を可愛がって何に対しても優先してくれている。
そんな状態では兄を甘く見て、『自分のほうが立場は上だ!』と思い込んでしまったんだろう。
「とにかく、こうなっては私の方でも街の人に働きかけてみることにする。……私も、そろそろ腹をくくらなければならないのだろうな……。」
顔を覆っていた手をどかすと、その下の顔には疲れ果てたような表情があった。
それから俺達は執務室を退室して、玄関へ向かう。
玄関先で3人に対して「危ないだろうから、できるだけ家にこもっていたほうが良い」と伝え、スコットさん達とその場で別れた。
その後、残った4人で俺の部屋へ向かう。
リッキーはまた部屋にいるとあいつらがやってくると面倒だから、とりあえず夕飯まで俺の部屋に避難することになったのだ。
はぁ…、これからどうするかなぁ。
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(ヘイス視点)
私は兄の執務室でリッキー達と会った。
私が息子たちに聞かされたことを報告に来たところ、彼らも報告に来たのだ。
たぶん彼らは自分たちに都合の良いことをでっち上げるに違いない。
こんな所で無駄に怒りを感じるのも癪なので、早々に部屋を出てきた。
それから私は敷地内にある私の家へ向かう。
そこには私と息子2人、それとメイド数人が住んでいる。
メイドに関しては母屋のメイドと交代で仕事をしているようだ。
私は自分の屋敷の中に入ると、自分の部屋に戻った。
その道すがら、息子たちに私の部屋に来るよう伝えた。
兄から聞かされたことを、一応息子たちに問いかけるためだ。
部屋に息子たちが来ると、さっそく気になったことを聞いてみた。
すると2人は顔を青ざめつつ、ポツリポツリと答えた。
どうやら兄のところに来た報告は正しかったようで、兄の予想通りの展開があったらしい。
私は思わす額に手をやって、天を仰ぐ。
困った展開だ……。
このままでは息子たちのほうが法を犯したので、犯罪人になってしまう。
まぁ兄のことだから、私か泣きつけば罪はなかったことにしてくれるだろう。だから問題ない。
でもだからといって、証拠も今のところ上がっていないのだ。
街の奴らには証言しないよう圧力をかけてさえおけば……もしくは嘘の証言をさせるのも良いかもしれない。
「なんで初めから本当のことを話さなかった?もし最初からその事を知っていれば対応も変わっていたのに!」
私が怒りもあらわに息子たちを怒鳴りつけると、2人は謝罪の言葉を言ってくる。
「はぁ……まぁもう過ぎてしまったことだからしょうがあるまい。ともかく早めに次の手を打たないとならん。お前たちはすぐに街へ向かい、街中の連中にさっきの騒動のことはしゃべるなと圧力をかけてこい。いいな!」
私はそう言って息子2人を街へ送り出した。
一人になった所で、ソファーにもたれかかって力を抜いた。
なんとか上手く行けばよいが……。
もし駄目だったら、もう1度兄の所へ行って先ほどの態度を謝り、罪を無かったことにしてくれるよう頼んでみよう。
兄は私に甘いので、間違いなく受け入れてくれることだろう。
私はもう一度ため息をつき目を瞑っていると、だんだん眠くなってきたようだ。
その意識がなくなる頃、胸ポケットに入れていた『黒い球』が薄っすら光りだしていたのだが、その事に私は気が付かなかった。
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