異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

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第4章 ネシア国〜

クーガーの事情を知る

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リビングに到着すると、とりあえず従兄弟さんが来る前に皆でソファーに座った。

「さっきの話の続きみたいなものだが、昨日あれから家に帰って弟に、この街を出た後のことを話したんだ。すると話の途中で我慢できなかったのか、『ラブはどうした?』ってあいつに言われてな。あ、ラブっていうのは俺たち兄弟の幼なじみで、俺と一緒に冒険者になったやつなんだ。」

おや?思わぬところで情報が!

「あいつ、あ、弟の方な。ラブに惚れていたんだけど、俺と一緒に行くって言った時にこの国に残って欲しいって引き止めたら断られたらしくてな。『こんな狭い世界じゃなく、もっと広い世界を見たい』と常々言っていたから、この国に来た商隊の護衛という名目で外の世界に出たんだよ。1人だと危険だからって俺も一緒について行ったんだ。」

なるほど、そんな経緯があったんだね!

「で、当のラブ本人は外の世界で『運命の出会い』ってやつがあったらしく、俺たちのチームから抜けて人族の商家に嫁いでいったんだが……俺はうっかりしてその事を弟に知らせてなかったから昨日話したんだよ。そしたらあいつ、荒れてな。どうも暫く前に、以前この国を出る時に俺たちが護衛をした商隊から風の噂として小耳には挟んでいたらしいが、信用していなかったらしい。だが俺というちゃんとした証人が現れたもんだから、認めざるを得なくなった……ってところなんだろうな。」

パニアさんは苦笑いをしながらそんな事を言った。

なるほど……惚れていた女性にこの国に残ることを断られ、そして自分の知らないうちに彼女が結婚したから荒れてしまった、ってことね。

問題はそれを何でリッキーにぶつけたのか?ってところなんだけど……多分大会以外で人を傷つけたら犯罪になるからなんだろうな。

そんな時に人族の冒険者である俺たちが現れたから、大会に無理やり出場させようと思ったんだろう。

そうすれば合法で『人族』を叩きのめせるからね。

もし当たる順番が俺と逆なら、俺にぶつけていたんだろうな。
そういう意味ではリッキーは不運だった、としか言いようがない。
もし俺が先に当たっていれば、返り討ちにしてやれたかもしれないしね。

クーガーについて色々語ってくれたパニアさんは本当に申し訳なさそうに頭を下げる。

「だから本当にあんたには申し訳なかった。本当は弟自身に謝らせたいんだが、あいつはああ見えてまだ中身が子供だから素直に謝るとは思えないんだ。」

するとずっと黙っていたリッキーは苦笑いをすると「もう気にしなくて良い。」と言った。

「身体はシエルのおかげで完璧に治っているから、もう気にしないでくれ。あとは体力が回復するのを待つだけだし、たぶん明日には元気になっているさ。それにクーガーは自分で『八つ当たり』をしたことは自覚しているしな。それに、今度はシエルがクーガーを完膚なきまでに叩きのめすだろうから、それで俺に対する敵討ちは手打ちだよ。まぁ……それで本人が反省するかどうかは分からないがな。」

リッキーは俺の方を見てニヤリと笑うと、そう言った。

おいおい、ハードル上げるなよ!
クーガーが実際どのくらい強いのか、まだはっきりしてないんだから。

そうは思うも、何となく負ける気がしない。
あいつの足首を握り潰せた時にそう感じたんだ。
「ああ、俺のほうが『力』は強いんだな」って。
あとは技術さえあれば間違いなく負けないだろう。

「そういえばリッキーとの試合の時、クーガーのパンチが普通のと違う気がしたんですけど、あれって自分の魔力を相手の体内に直接打ち込んでいるんですよね?パニアさんはやり方、分かります?」

そう、どうせなら俺もできるようになっておきたい。
もし知っていて、教えてもらえるなら教えてもらおう!

多分俺の言いたい気持ちが分かったのだろうパニアさんは頷き、真剣な顔をする。

「ああ、知っている。なにせ俺が教えたんだからな。」

「えっ、パニアさんが?」

「ああ、元々最初はリオンとクーガーに剣術として教えたんだが、そこから発展して格闘術として昇華させたようだ。だが原理は一緒で、剣術では剣に溜めた魔力を投げ飛ばすように使うが、格闘術では投げ飛ばす要領で相手の体に触れた時に体内に『投げ飛ばす』感じでやってみるんだ。……試してみるか?お前は回復魔法が使えるみたいだから、俺がやってみせたものを回復できるだろう?一度実際に体験してみると良い。」

なるほど、それは良いね!

実際に体験してみれば、話で聞くだけとは違って感覚的にも理解しやすそうだよね。

俺はパニアさんに頷くと「是非、お願いします!」と告げる。

するとスコットさん達4人はとても心配そうな顔をしたが、ユーリやセバス達が説得すると渋々俺とパニアさんのやることを認めてくれた。

それから俺たちは、立ったままやって倒れたら危険なので、隣り合って座ってやることにした。

別に戦うわけじゃないから立つ必要性がないんだ。

「じゃあ……さすがに体の中心に打ち込むのは例え弱い魔力だったとしても危険だろうから、拳をぶつけることにしよう。それなら腕だけの怪我で済むからな。別にどんな技なのかを体験するならどこでも良いわけだし。それでも良いだろう?」

「はい、それで良いですよ。じゃあお願いします!」

「わかった。じゃあ始めよう。やり方としてはただ単にお互いの拳をぶつけるだけなんだ。お前は普通の拳で、俺が例の拳だ。」

パニアさんはそう言うと拳を握る。

それを見て俺も拳を握り、それからお互いにスピードは無いが互いの拳をぶつけてみた。

するとぶつかった拳の部分から、何かの衝撃波みたいなものが腕の筋肉の表面を撫でるように通って来たのが分かった。

だけど弱かったのもあってか、ピリピリとした多少の痛みはあったけど体に怪我をするようなことはなかったよ。
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