異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

文字の大きさ
185 / 529
第4章 ネシア国〜

ラブさんの帰国

しおりを挟む

その後、宿に着くと早々にルーシェさん達はローランへと帰っていった。

今回は俺とグリーさんだけで王都のラブさん夫婦の元へと向かうことになり、他の人は部屋で待機だ。

その間みんな手持ち無沙汰なので、昨日購入しておいたみんなへのお土産を取り出して置いていく。

帰ってくるまでに食べておいてね、また買ってくるから!


それから俺とグリーさんは、王都のゼネラル商会の1階に転移した。
……ごめん、そこしか覚えてなかったんだよね。エヘッ!

いつも転移する時にかなり光の洪水になるので、今回も転移した先がパニックになっているんじゃないかと焦ったが、そこは王都の有名な大商会、その従業員は何事にも動じなかったようだ。

俺が転移してくるのが分かった途端に代表のフォードさんへと連絡が入ったらしく、光が収まった頃には階段から降りてくるのが見えた。

「待ってましたよ、シエルさん。」

フォードさんはそう言って俺へと近づいてきた。

そのまま3人でラブさんのいる屋敷へと移動する。

ホント、近いからすぐだね!


屋敷に着くと、その足でラブさんのいる所へと向かった。

どうやら俺たちが来るのを待っていたらしく、応接室にいたようだ。

「ただいま、ラブ。シエルさん達を連れてきたよ。」

「おかえりなさい、フォード。」

ラブさんはソファーから立ち上がるとフォードさんの元へと向かい、お帰りのキスをその頬へとする。

……これ、クーガーが見たらショック受けそうだな。

「こんにちは、ラブさん。ネシアに行く方法を何にするか決めました?」

「実はまだ決めかねていて……。」

「じゃあ、もしだったら俺たちが話し合って来た方法で行ってみませんか?」

俺がそう言うと、ラブさん達は顔を見合わせた。

「それってどんな方法ですか?」

フォードさんが俺に聞いてくる。

俺は昨日あれから頑張って(?)睡眠魔法を覚えた事、グリーさんの背中に乗った後にそれを使って結界を張れば落ちることもない事を伝えた。

「……なるほど、それなら私達も恐怖に怯えなくてよさそうですね。どうせなら私にもその睡眠魔法をかけてもらえないですか?」

「分かりました。でも今は俺しか補助できる人がいないので、竜になったグリーさんの背中には自力で登ってもらってもいいですか?ラブさんは身重なので俺が慎重に運びます。」

「そうですか、それは助かります!私、体を動かす仕事に就いてないので、男としては非力なんですよ。」

フォードさんが少し恥ずかしそうにそう言ってきた。

なるほど服の上からでもわかるが、確かにこの世界の人にしては筋肉が少なそうな体型だ。

身重のラブさんを落としたら大変なことになってしまう。

「……重いかもしれませんが、大丈夫ですか?」

ラフさんが不安そうな顔で聞いてくる。

多分俺の体型もフォードさんに負けず劣らずの体型だから不安なんだろう。

「大丈夫やで、こう見えてもシエルさん、めっちゃ力持ちなんやで?」

「そうなんですか?全くそうは見えないんですが……あっ、すみません!失礼なことを言ってしまいましたね!」

うっかりそんな事を言ってしまったラブさんが、慌てて俺に謝ってきた。

「いや、それはしょうがないですよ、だってこの体型だし、子供ですからね。でもグリーさんが言うように、見かけと違ってかなりの力持ちなんで、安心してください!」

俺はそう言うと服はまくらなかったが、力こぶを出す仕草をした。

それを見て2人は吹き出し、笑いだした。

どうやら竜に乗って移動することへの緊張が少しは取れたようだ。

だけど、なんだか複雑な気分だ。



それから俺たちは街の外へと歩いて移動をし、途中でみんなへのお土産を買う。

王都で今流行っている物を紹介してもらって買いながら門へと向かう。

門から出ると暫く歩き、門番から見えないように近くの森へと入った。

そして少し広いところでグリーさんが竜へと戻ると、2人はかなり驚いていた。

やっぱり話で聞いているのと実際に目の前で見るのとでは全く違ったんだろうね。

「さあ、はよ私の背中に乗ってや~。シエルさんも優しく乗せてやってな~。」

グリーさんに促され、フォードさんは恐る恐るグリーさんの体によじ登ろうとしたんだが……非力すぎて自力で登れなかったので、まずはフォードさんを背中に乗せることにした。

かなりの身長差があるのでお姫様抱っこは無理ということで、おんぶをしてグリーさんの背中に登る。

俺はフォードさんを背負ってひょいひょいと簡単に登っていく。

それを身近で体験している背負われている本人は、相当に驚いたんだろう、降ろしても暫くは唖然とした顔のままだった。

俺は彼を降ろすと、すぐにラブさんの方へ向かう。

ラブさんはまだそこまでお腹は目立ってはいないが、だからこそ安定期前だろうから慎重に運ばなくてはならない。

ラブさんはフォードさんほど身長差がないのでお姫様抱っこをすると、グリーさんが手のひらを差し出した。

「手に乗ったら合図しいや~。背中に手の届くまで持ち上げてやるさかい、そこから背中に乗ってや~。」

なるほど、簡易リフト?みたいなものだね!

……あれ?それ、フォードさんの時にもしてあげればよかったんじゃ?

ふと俺はそう思ったけど、お口にチャックだ。

下手に言って要らぬいざこざをもたらしてもしょうがないからね!


俺が合図をするとグリーさんはゆっくりと手を背中に向けて上げていく。

あともうちょっとっていう所で手の動きは止まった。

そこから俺はグリーさんの背中へとゆっくり移動する。


俺も含めて3人が背中に乗ると、グリーさんにそのまま動かないようにお願いをして、2人に睡眠魔法を同時にかける。

かけ始めてから数分経った頃には、2人はぐっすりと横たわって寝始めた。

俺はグリーさんの背中全体に結界を張ると背中に布団を敷き、そこに2人を寝かせる。

もちろん掛け布団も掛けてあげないとね!


準備ができたのでグリーさんに声をかけるとゆっくりと上昇していき、かなりの高度になると一気に高速水平飛行を始めた。

2人が眠っていて結界も張っているからって、無茶し過ぎだよ!俺も怖いじゃないか!



そう思っているうちに王都からネシア国の門前まであっという間に移動してしまった。

門前では門番さんが「またか!」みたいな顔で俺たちを見た。……ごめん、何回もやっちゃって。

俺はグリーさんの背中から2人をゆっくりと降ろす。

そして門番さんが誘導してくれた先にある椅子に倒れないように座らせていった。

「また君たちか?今度は何だ?」

「すみません、驚かせちゃって。今度はこの人達を連れてきたんです。……寝ているのは、グリーさんの背中で運ばれる恐怖を味わないためですので、決して攫ってきたわけじゃないですからね?」

「……そんなことは思ってないが、眠っているのはそういう理由なんだな。彼らは目覚められるか?」

「はい、いま起こしますね。」

俺はそう言うと、グリーさんの背中から降ろして椅子に座らせた2人に回復魔法を流す。

すると2人は直ぐに目を覚ました。

2人は目を覚ました途端にとても驚いた顔になり、辺りをキョロキョロしていた。

それでもラブさんは門番を見ると笑顔になり、フォードさんに告げた。

「フォード、ここがネシアよ!私の故郷だわ!」

「……ここが?」

「そう!この部屋はまだ入国のための部屋だけど……この部屋を出たらネシアなの!久々だからとても嬉しいわ!家族や友人達はみんな、変わらずに元気しているかしら?」

「そうか、それなら頼んで連れてきてもらったかいがあるね。」

2人はとても嬉しそうな顔で見つめ合って会話している。

それを見ていた門番さんが「そうか、久々の帰国ならさぞ嬉しかろう。存分に楽しみなさい。」と言って笑った。



それから俺たちはその部屋からネシアの中へと続いているドアから外へと出る。

さあ、みんなの待つ宿へと戻ろうか!
しおりを挟む
感想 30

あなたにおすすめの小説

オレの異世界に対する常識は、異世界の非常識らしい

広原琉璃
ファンタジー
「あの……ここって、異世界ですか?」 「え?」 「は?」 「いせかい……?」 異世界に行ったら、帰るまでが異世界転移です。 ある日、突然異世界へ転移させられてしまった、嵯峨崎 博人(さがさき ひろと)。 そこで出会ったのは、神でも王様でも魔王でもなく、一般通過な冒険者ご一行!? 異世界ファンタジーの "あるある" が通じない冒険譚。 時に笑って、時に喧嘩して、時に強敵(魔族)と戦いながら、仲間たちとの友情と成長の物語。 目的地は、すべての情報が集う場所『聖王都 エルフェル・ブルグ』 半年後までに主人公・ヒロトは、元の世界に戻る事が出来るのか。 そして、『顔の無い魔族』に狙われた彼らの運命は。 伝えたいのは、まだ出会わぬ誰かで、未来の自分。 信頼とは何か、言葉を交わすとは何か、これはそんなお話。 少しづつ積み重ねながら成長していく彼らの物語を、どうぞ最後までお楽しみください。 ==== ※お気に入り、感想がありましたら励みになります ※近況ボードに「ヒロトとミニドラゴン」編を連載中です。 ※ラスボスは最終的にざまぁ状態になります ※恋愛(馴れ初めレベル)は、外伝5となります

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

追放されたけど実は世界最強でした ~元下僕の俺、気ままに旅していたら神々に愛されてた件~

fuwamofu
ファンタジー
「お前なんか要らない」と勇者パーティから追放された青年リオ。 しかし彼は知らなかった。自分が古代最強の血筋であり、封印級スキル「創世の権能」を無意識に使いこなしていたことを。 気ままな旅の途中で救ったのは、王女、竜族、聖女、そして神。彼女たちは次々とリオに惹かれていく。 裏切った勇者たちは没落し、リオの存在はやがて全大陸を巻き込む伝説となる――。 無自覚にチートでハーレムな最強冒険譚、ここに開幕!

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

処理中です...