異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

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第4章 ネシア国〜

大会6日目 1

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控室に入ってきたヒューザは、こちらを見ると近づいてきた。

「なんだ、中で声がすると思ったらお前らか。」

「おはようございます、ヒューザさん。」

「おう、おはよう!……なぁなぁ、1つ、聞いて良いか?」

「……何でしょう?」

声をかけてきたヒューザが俺たちを見比べる。

……やばい、やっぱりさっきの話、聞かれてたか?

「……お前達、兄弟なのか?全く似てないが。」

「……何のことですか?」

「惚けるなよ、お前『兄さん』って呼んでたじゃねぇか。」

「……。」

ど、どうしよう、やっぱり聞いていた!

俺は慌ててスコットさんを見る。

「ん?それは確かに俺の方が年上だから『兄さん』で間違いはないな。」

スコットさんはすました顔でそんな事を言う。

な、なるほど……そう躱したか!

だけど俺の動揺が止まらないから、下手なことを言えない。……兄さん、頼む!

「……。まぁ、それは一理あるな。まぁ、良いだろう。それは納得してやる。だが、『あっちの世界』とか『こっちの世界』っていうのは、何だ?」


……ソレモキカレテタノ!?

どうしよう、変な汗が止まらない。

俺が動揺しまくっているのを横目に、涼しい顔でスコットさんが答えた。

「『あっちの世界』っていうのは俺たちの故郷のスノービークでまだ子供だった頃の、周りの大人達に守られていた安全な世界のことだ。『こっちの世界』っていうのは、故郷を出た後の冒険者となった世界のことだ。シエルはまだ冒険者になって半年も経たないからな。いろいろと冒険者について教えているところなんだ。」

「……まぁ、辻褄が合わなくもないわな。」

「ちなみに、これは俺達のチームメンバーの1人が作ってくれた服だ。」

スコットさんはヒューザの視線が手編みのセーターに向いているのを見て、先手を打ったようだ。

「見慣れない服だが、お前達の故郷ではそんなものが売っているのか?」

「……まぁな。」

「ふぅ~……まぁ、良いだろう。気にしないことにする。」

「そうか。」

おぉ~……とうとう答えきった!

ヒューザは何とも言えない顔でスコットさんを見ているが、おかしなところがないから何も言えないようだ。


そんな話をしていると、今度はクーガーがやってきたようだ。

これで試合に出る人が揃ったね。

クーガーは俺達をチラッと見ると入り口の近くの椅子に座って目を瞑った。

ああやって声をかけにくくしているんだろう。

「ああ、そういえば……クーガー!お前、この国にお前の幼馴染が帰ってきたのを知っているか?」

「!?」

ヒューザがそんな事を言うと、クーガーは驚きの顔でこちらを見た。正確にはヒューザを見たんだけど。

「それは本当か!?」

「ああ、俺の仲間が昨日の夜、お前の幼馴染と一緒にいる人族の2人を見かけたらしい。」

それを聞いたクーガーは改めて俺たちの方に目線を移した。

今のこの国で『人族』と言ったら俺たちしかいないと思っているんだろう。

それに気づいたヒューザは手を顔の前に持ってきて振りながら教えてやった。

「違う、違う。こいつらじゃない。どうやら会話や態度から、とても親密な関係の相手らしいぞ?」

「……ラブは、今どこに?」

「そんなの俺が知るわけないだろ?だが、この街にいるのは間違いないんだから、そいつの実家に行けば会えるんじゃないか?」

「……そうだな、情報、ありがとう。」

クーガーはヒューザにそう言うと、また目を瞑って黙り込んだ。

それを見てヒューザは肩をすくめ、壁際にある椅子に座ろうと俺たちを誘った。

座ってまもなく、案内係の人が控室にやってきた。

「おや、皆さんお揃いでしたか。そうそうクーガーさんとヒューザさんにも話しておきますが、今日の試合の観戦はどうします?」

「どういうことだ?」

「いえ、スコット選手はここで待たずに、シエル選手の試合を入場口で見たいんだそうで、一緒に移動するんですよ。」

「じゃああの部屋に1人で待つのはなんか嫌だから、俺も一緒に行くわ。」

「じゃあ皆さんで行きますか。」

案内係の人はそう言うといつものように入場口に向かって歩き出す。

俺たちも揃って……いや、クーガーだけ少し離れているが、案内係について歩き出す。



はぁ~……なんだか緊張するぅ~!!
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