異世界漫遊記 〜異世界に来たので仲間と楽しく、美味しく世界を旅します〜

カイ

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第4章 ネシア国〜

クーガー、ごめんね?

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3人がこちらと到着すると、『巫女』がとてもにこやかな顔でこちらに2人よりも先に早足で歩いてきた。

「どうでしたか、私の回復魔法?貴方よりすぐに立ち上がれるようにできるんですのよ?」

「……。」

……何故か勝ち誇った顔をされたんだけど?

いや、俺、別に回復メインじゃないし?
むしろ戦いがメインだよ。

俺が呆れた顔で見ていると、今度は拗ねた顔をされた。……何故に?

「んもう!あの方の寵愛を一身に受けているくせに、全く気づいていないなんて!酷いわ!」

誰だね、その人?

もしやユーリにたまに話しかけている『自称神様』とリッキーに呼ばれている人かね?

俺自身は会ったことないから知らないよ?

「……まぁ良いわ。比べたってしょうがないものね。そうそう、一応貴方と戦った選手も診てきたから、安心してね。あちらの選手ももう起きてこちらへ来るんじゃないかしら?」

なるほど、クーガーももう意識取り戻しているんだね。

そんな話を2人でしている間に、スコットさんとヒューザが話をしながら到着したようだ。

どうやら2人は、先ほどの試合の話をしながら 来たようだ。

ちょうどこちらに着いた時には話が切り替わってしまったようだけどね。

「そっか……すごいな、お前ら。俺もやっぱり外に出て修行するのもあり、かなぁ?でも弟の件もあるから、難しいか?」

「ん~……どうだろう。もう神聖法国を支配していた神はいないから、大丈夫だと思うが。」

「……えっ?それは弟から聞いてなかったぞ!?どういうことだ?」

「あっ……あ~、今のは聞かなかったことにしてくれ。ただ、暫くの間はあの国は混乱しているだろうから、獣人も捕らえられることはないと思うとだけ言っておく。」

「……なんだよ~、理由知ってんだろぉ?教えろよぉ~!」

ヒューザはスコットさんと肩を組んで、お酒も飲んでないのに絡んでいる。

……いつの間にあんなに仲良くなったんだ?

俺がジト目で2人を見ていると、スコットさんがやれやれと肩を勧めて俺の隣に並んだ。

「とにかく俺たちからは言えないが、これからはあの国も良くなるだろう。そうなればもっと獣人も世界のあちこちに安全に行けるようになるだろうし、そうなってから修行の旅に出ても良いんじゃないか?」

スコットさんがそう言うと、う~んと唸ってヒューザは悩みだした。

それを見ていた『巫女』はヒューザへと声をかける。

「大丈夫ですよ、彼の言う通り、あの国に新しい女神が降臨したら、間違いなく今度は他の国と仲良くやっていけるようになるはずです。今はまだ選定中のようなので暫くは何の動きもないはずですし、外の世界に出ても大丈夫かと。」

にっこり笑った『巫女』に対してヒューザは、とても神妙な面持ちで頷く。

「それならば、弟がもう少し外の世界への恐怖がなくなった頃合いに、一緒に修行の旅へと行ってみようと思います。巫女様、情報、どうもありがとうございました。」

ヒューザは『巫女』に向かって深々とお辞儀をすると、その場を辞した。



「さて、じゃあ俺たちもみんなの所へ行こうか。」

「うん、そうしよう。じゃあ『巫女』様、お先に失礼します!」

「あっ、ちょっとお待ちなさいな。さっきも言ったように、貴方と戦った選手が……」

『巫女』が話し始めた時に、廊下の向こうから誰かが歩いてくるのが見えた。

その人物は俺たちを見かけると走ってこっちへとやってくる。

そう、その人物とはクーガーで、イライラしたような顔をしていた。

「……おい、てめぇ。やってくれたなぁ?」

クーガーは青筋を立てているんじゃないかと思えるような雰囲気で俺に向かってきた。

すぐ近くに『巫女』がいることにすら気づいていないかのようだ。

「やったって言われてもね?試合なんだし、俺がわざと負ける筋合いもないよね?」

俺はクーガーに向かってそう言う。

スコットさんも『巫女』もそうだと肯定してくれた。

「まさかこの俺がっ!人族のガキに負けるはずがない!何かズルをしたに決まっている!」

「いや、別にズルなんてしてないんだけど……?」

「とぼけるなよ!」

クーガーは段々と勝手にエスカレートしていき、俺の胸ぐらをつかんで持ち上げようとしてきた。

「何してんのよ、クーガー!」

「……っ!?」

その女性の声を聞いて、クーガーは目を見開いて振り向く。

どうやら皆が客席からこちらの方へとやってきたようだ。

そしてクーガーに声をかけたのはラブさんだった。

「ラ……ラブ、なのか?本物か?」

あまりにも驚きすぎたクーガーが呟くようにそう言った。

「ええ、本物よ?昨日、そこにいるシエルくんに連れてきてもらったのよ。」

ラブさんの言葉に、クーガーはものすごい勢いでこちらを見た。

俺が頷くと、改めてラブさんの方を見た。

「ラブ……おかえり。兄貴しか帰ってこなかったから、ものすごく心配した。帰ってきたってことは、もうどこにも行かないんだろう?」

クーガーは、まるで縋るかのようにラブさんを見ながら近寄っていく。

するとラブさんの隣にいたフォードさんが眉を顰めながらクーガーに言った。

「……君がクーガー君か?ラブから話を聞いている。兄弟のように育った幼馴染なんだってね?」

「……誰だ、てめぇ。」

ラブさんしか目に入ってなかったクーガーは、その言葉で初めてフォードさんや周りにいる仲間を認識したようだ。

「誰って言われても、ラブの夫だ。」

「……はぁ?ラブは獣人だ。人族となんて結婚するわけねぇだろ!何ほざいてんだっ!」

「そう言われてもな。信じられないなら、書類上でも結婚していることは証明できるよ?」

「ふっざけんじゃねぇっ!!誰が貴様のようなヒョロヒョロな奴なんかを好きになんだよ!寝言は寝てから言えや!」

今にもフォードさんに殴りかかりそうなクーガーに、ラブさんが怒りを爆発させた。

「あんたこそ何言ってんのよ!フォードは私の『運命の番』なのよ!?馬鹿にしないでほしいわね!彼への言葉はそのまま私への言葉と取らせてもらうわよ!」

「……っ!!!……『運命の番』!?」

「そう、彼は私の『運命の番』なの。それにクーガーには何の関係もないでしょ?私とはただの幼馴染なんだから。」

夫を罵倒されたラブさんは冷たい言葉と共に、とても冷たい目でクーガーを見ている。

……おぉ、その目は効いてるねぇ?クーガー、涙目じゃない?

「……お、俺はお前の事を好きなんだ。お前も実はそうなんだろう?」

「はぁ?そりゃあ兄のようには思っていたわ。それ以上でも、それ以下でもない。それもこの人を罵倒するまで。もう貴方のことは大嫌いだわ。もう2度と顔も見たくない。」

「……。」

「さあ、皆さん、行きましょう。」

ラブさんはクーガーにそう告げるとフォードさんの腕に自分の腕を絡め、俺たちにも外へ出ようと促した。

……遠慮ないなぁ、ラブさん。
運命の番を侮辱されるとこうなるんだねぇ?


その場を去る時にチラッとクーガーを振り向くと、ショックのあまり膝と両手を床につき、うなだれているところだった。……頑張れ、負けんな!

そして今気づいたが、いつの間にか『巫女』は姿も形もなかった。……一体いつの間に消えた?



それから俺達は闘技場の外へと出て、今夜は皆でラブさんのオススメのお店で夕飯を食べることになった。

それは俺達が泊ってる宿の近くの場所にあり、ラブさんの話だとこの辺りはネシア国でも相当治安の良い場所で、人族が1人で歩いていても問題がないほどなんだそうだ。

ちなみに薄暗い路地なんかは1人では歩かないほうが良いと忠告されたよ。見目の良い子供は攫われてしまうんだってさ!

ラブさんのオススメの店に着くと、そこは常夏の地域に生えている植物に囲まれた外観の、いかにもネシアっぽい雰囲気の店だった。

「おじちゃ~ん、いる~?」

ラブさんが大きな声でそう声をかけると、店の奥から目の細いキツネ顔のおじさんが出てきた。

「おや……?その声は、もしかしてラブちゃんかい?」

「うん、そうだよ!」

「すごく久しぶりだねぇ!元気していたかい?……ばあさんや、ばあさん!!ラブちゃんが店に来たよ!」

おじさんが奥の部屋にそう声をかけると、同じくキツネ顔のおばさんが出てきた。

「おや!ラブちゃんじゃないか!久しぶりだねぇ!」

「うん、久しぶりだよ!実は今日はね、私の『運命の番』も一緒に来ているの!ずっと紹介したかったんだよ!フォード、この人達は私の小さい頃から近所に住んでいる人達なの!とてもお世話になっていたんだよ!」

「そうか、ラブが小さい頃からお世話になっていたんだね。……初めまして、ラブの夫のフォードといいます。どうぞよろしく。」

ラブさんの紹介に驚いている2人に、フォードさんは右手を差し出した。

すると2人はハッとして、交互に握手をする。

「驚いたなぁ、ラブちゃん!もうそんな年になったんだね!時が経つのは早いもんだ!」

お店のおじさんはしみじみとそう言う。

そうだよね、他の人の子って早く大きくなるよね!悠馬、元気かなぁ?


それからそのお店でお腹いっぱいになるまで、ネシアの郷土料理やお酒を飲んでその日は楽しんだよ!

……もちろん、俺とユーリはソフトドリンクだけどね!
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