194 / 529
第4章 ネシア国〜
帰国しよう!
しおりを挟む大会が無事に終わり、今日はとうとうスノービークに帰る事になった。
まぁ、その前に王都に寄ってラブさん夫婦を降ろさないとね!
ルーシェさんとライクさんはもう昨日のうちにローランへと戻っており、今は居ない。
ゴーダさんは俺の転移があるから久々に帰郷して実家に行ってみたいらしく、俺達と一緒に行動することになっている。
そして今、そんな俺たちがいるのはネシア国の門の外だ。
- - - - - - - - - -
昨日、あれから闘技場の外に出ると、ヒューザが弟と一緒に試合を見ていたらしく、俺たちが出てくるのを待っていた。
「さっきの試合、凄かったな!もちろん試合自体も見応えあったんだが、その後のお前のプロポーズもものすごい出し物みたいになってたし。なんかお前達、すげぇ奴らだったんだなって改めて実感したよ!」
「ほら、だから言ったじゃないか、この人達って凄いんだよ!って。4属性竜様たちも人化して同行しているっていうのも伝えたのに、まったく信じてなかったじゃない。」
「悪ぃ、悪ぃ!それは信じてなくてごめんな!でも本当にドラゴンだなんて思ってなかったんだよ。実際、実物を見たことなかったし、存在自体を疑っていたんだ。」
どうやら弟くんはヒューザに色々と話していたようだけど、信じてもらえなかったようだ。
「でもまぁ……大会の全日程が終了したんだから、お前達ももう国へ帰るんだろう?」
ヒューザが少し寂しそうな顔で俺たちに聞いてくる。
そうだよね、特にスコットさんとは仲良くなっていたから、やっぱりもう会えなくなると思うと寂しく感じるよね。
「ああ、明日帰る予定だ。でもこいつが転移魔法を使えるから、例えばダンジョンに潜るときとかに誘いに来るかもな?」
スコットさんはニヤリと笑うと俺の頭を撫で回した。……もうっ!頭グシャグシャになるからやめてよ!
そんな俺たちを見て、寂しそうだったヒューザが途端にワクワクしたような顔になった。
「ダンジョンか!聞いたことはあるが、この周辺にはないから行ったことないんだよ!そりゃあ良い!楽しみに待っているな!」
「おう、楽しみにしていろよ。」
そう言って2人は互いの拳を打ちつけあった。
「そういえばクーガーなんだが……あいつ相当凹んでいるようで、部屋から出てこないってパニアさんが言っていたぞ?昨日、あれから何かあったのか?」
そういえば……と、ヒューザは思い出したように言った。
そっか……やっぱり長年の恋があんな終わり方すればショックだろうなぁ……。
「顔も見たくない!」って言われたし。
俺は昨日ヒューザと別れた後の話をしてやった。
すると彼ら兄弟は苦笑いをして顔を見合わせる。
「な~るほどなぁ。そりゃあ凹んで部屋から出てこないわ。でも何でそんなにラブに執着してんだろうなぁ?」
「う~ん……理由は分からないけど、少なくてもラブさんに『運命の番』が現れたってことは、クーガーの『運命の番』はラブさんじゃなかった、って事だもんね。」
「だよなぁ。っていうか『運命の番』、かぁ……。本当にいるんだな。」
「そうだね、パニアさんに聞いた時はピンと来なかったけど……クーガーがラブさんの『運命の番』に暴言吐いた途端に、あのラブさんが怒り狂うなんて。相当な心の繋がりなんだろうな。」
2人でそんなふうに言い合っている。
確かに2人は相当な繋がりがあるのが、本当にラブラブだ。
「そうそう、クーガーにとっては災難だったかもしれないが、ラブを連れてきてくれてありがとうな。ラブがパニア達と冒険者として国を出ていってからラブの両親や友人がとても寂しがっていたんだ。もしだったら今回みたいにたまにでいいから連れてきてやってくれないか?」
ヒューザは俺に向かってそう言った。
……おや?その口ぶりだと俺たちが連れてきたのは知ってる?
「その事って、誰から聞いたんですか?」
俺は気になって聞いてみると、どうやらラブさんの周りの人達が嬉しさのあまり友人たちに話しちゃっているんだそうな。
……じゃあ、何でクーガーは知らなかったんだろ?
とりあえずその後はヒューザ兄弟も加わって、ネシア国最後の夜を楽しんだよ!
- - - - - - - - - -
……とまぁ、そんな事があったなぁと回想している間に出国の手続きが完了した。
「これで本当にこの国ともさよならだな。」
「そうだな。なんだかんだ言っても、新しい友人もたくさんできたし、良い思い出ばかりだな。」
「そうね。私にとっては『2度目』の記念日もあったしね、スコット?」
「……んもうっ!私の前でいちゃつかないでよ!」
「……。」
この4人はどこへ行っても、本質は変わらないんだな……と改めて思ったよ。
……そういう俺は中身も子供に戻ってしまったけどね!
「おぉ~い!見送りに来たぞ!」
その声に皆で振り向く。
そこにはヒューザをはじめ、この国で出会った人達が見送りに来てくれていた。
「少しだが、お土産にこれを持っていけよ!」
そう言ってヒューザがなにかの包みをいくつか渡してくれた。
匂いからすると、どうやら闘技場の周りの屋台からいくつか買って持ってきてくれたみたい。
「ありがとうな。家に帰ったら、皆で分けるよ。」
「ああ。また食べたくなったらいつでも来いよ?」
「もちろん、ダンジョン行くときも、な!」
そう言ってスコットさんとヒューザは話しているし、他のメンバーも見送りに来た人と話している。
そんな仲間を見ていた俺に近づいて話しかけてきた人がいる。
ラブさんの両親だった。
「貴方ね、ラブを連れて帰ってきてくれたのは。どうもありがとう。あの子、この国を出てから一度も帰ってきてくれなくて、一緒に出ていったパニア達も帰ってこなかったから一体何をしているのか、無事に過ごしているのか全く分からなくて不安だったの。でも帰ってきたと思ったら『運命の番』も連れてきて、更に孫もお腹にいるなんて!なんて素晴らしいんでしょう!それを知ることができたのも、みんな貴方のおかげ。本当に、ありがとうね。」
ラブさんのお母さんはそう言うと、俺を抱きしめた。
俺は2人に「今はラブさんのお腹の子に影響があるといけないからと転移魔法を使っていないが、産まれたらラブさん一家を連れてきますね」と約束をし、離れる。
「みなさん、もうお別れのあいさつは良いんでっか?……ほな私の背中に乗ってや~。」
俺達が見送りの人達と挨拶を済ませると、グリーさんが頃合いを見て竜へと戻った。
今回は人が多いので、来た時よりも大きくなってもらう。
みんなしてグリーさんの背中に乗ると、俺はラブさんとフォードさんに睡眠魔法をかけるか聞いてみた。
すると、今回は起きて空の旅を楽しんでみると返答があった。
そうだよね、絶対落ちないって分かっているんだから、空の旅も楽しまなくちゃ!
みんなが乗り込んだのを確認すると、俺は強力な結界を張る。
あ、ちなみにレッカさん達3人も人型のままグリーさんの背中に乗っているよ!
「ほな行きましょか~。」
グリーさんはそう言うと、翼を一回羽ばたいた。
するとかなりの巨大なのにフワリと空中に浮き上がる。
更にもう一回羽ばたくと、一気に上空へとクレイン国に向かって斜めに急上昇していった。
「ではでは、みなさんお元気で~。」
グリーさんはそう言って一声咆えると、ものすごいスピードで移動し始めた。
俺たちはみんなが見えなくなるまで、後ろに向かって手を振った。
それからしばらくすると、クレイン国の王都が見えてくる。
それを見てラブさん夫婦とゴーダさんはかなり驚いたみたいだ。
「なんて速いんだ!こんなに速いと1日で世界中を旅できてしまうね!」
「そうね!でもとても眺めが良くて、世界ってこんなに綺麗で、広いんだっていうのをとても実感てきたわ。こんな体験、なかなか出来ないものね。ありがとう、シエルくん。」
2人はとても嬉しそうに俺に向かってお礼を言った。
そうしているうちにもう王都の直ぐ側まで来たので、グリーさんは森の中へと降りていく。
そして俺は背中かラブさん夫婦を降ろして、王都の屋敷まで護衛代わりについていく。
屋敷の門の前まで来ると俺は2人に別れの挨拶をして、みんなの待つ森へと走って向かった。
「早かったでんなぁ~?もうスノービークへ向かいまっか?」
「うん、向かおう!」
俺はグリーさんの身体に登りながらそう答える。
俺が背中に乗って再度強力な結界を張ると、グリーさんはスノービークへと飛び立った。
475
あなたにおすすめの小説
オレの異世界に対する常識は、異世界の非常識らしい
広原琉璃
ファンタジー
「あの……ここって、異世界ですか?」
「え?」
「は?」
「いせかい……?」
異世界に行ったら、帰るまでが異世界転移です。
ある日、突然異世界へ転移させられてしまった、嵯峨崎 博人(さがさき ひろと)。
そこで出会ったのは、神でも王様でも魔王でもなく、一般通過な冒険者ご一行!?
異世界ファンタジーの "あるある" が通じない冒険譚。
時に笑って、時に喧嘩して、時に強敵(魔族)と戦いながら、仲間たちとの友情と成長の物語。
目的地は、すべての情報が集う場所『聖王都 エルフェル・ブルグ』
半年後までに主人公・ヒロトは、元の世界に戻る事が出来るのか。
そして、『顔の無い魔族』に狙われた彼らの運命は。
伝えたいのは、まだ出会わぬ誰かで、未来の自分。
信頼とは何か、言葉を交わすとは何か、これはそんなお話。
少しづつ積み重ねながら成長していく彼らの物語を、どうぞ最後までお楽しみください。
====
※お気に入り、感想がありましたら励みになります
※近況ボードに「ヒロトとミニドラゴン」編を連載中です。
※ラスボスは最終的にざまぁ状態になります
※恋愛(馴れ初めレベル)は、外伝5となります
異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
追放されたけど実は世界最強でした ~元下僕の俺、気ままに旅していたら神々に愛されてた件~
fuwamofu
ファンタジー
「お前なんか要らない」と勇者パーティから追放された青年リオ。
しかし彼は知らなかった。自分が古代最強の血筋であり、封印級スキル「創世の権能」を無意識に使いこなしていたことを。
気ままな旅の途中で救ったのは、王女、竜族、聖女、そして神。彼女たちは次々とリオに惹かれていく。
裏切った勇者たちは没落し、リオの存在はやがて全大陸を巻き込む伝説となる――。
無自覚にチートでハーレムな最強冒険譚、ここに開幕!
異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活
空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。
最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。
――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に……
どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。
顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。
魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。
こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す――
※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。
猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る
マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・
何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。
異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。
ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。
断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。
勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。
ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。
勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。
プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。
しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。
それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。
そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。
これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。
転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。
不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。
14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる